弁 護 人 冒 頭 意 見
2003年3月17日
弁護人 一瀬 敬一郎
第5部 被告人らは無実であるー被告人らの行為はビラまき・説得活動であり、正当な組合活動であって暴行の事実はない
第1 本件被告人らの行為はビラまき・説得活動である
第2 本件ビラまき・説得活動に立ち上がった松崎被告人ら国労組合員の16年間の解雇撤回闘争
1 国鉄分割・民営化という国家的不当労働行為に反対してきた被告人らの闘い
2 松崎、羽廣の両被告人の被解雇当事者・闘争団員としての闘い
3 橘、小泉、原田、富田、東被告人らの不当配転等の不当労働行為との闘い
第3 本件ビラまき・説得活動での被告人らの訴え
第4 被告人らが暴行を加えた事実は存在しない
1 ビラまき・説得活動を無視しようとした不当な国労本部派組合員の対応
2 国労本部派はバス乗降口で説得活動中の被告人らを手で突いたりした
3 国労本部派が警察の暴力的な介入を要請
4 「暴行」にあたる事実はない
第5 本件ビラまき・説得活動への支援活動の正当性
第1 被告人らの本件行為はビラまき・説得活動である
1 2002年5月27日、被告人らは、「東京グリーンホテル御茶ノ水」前で、宿舎から臨時大会会場に向かう国労本部派組合員に対して、国労共闘全国協議会のビラを渡し、説得活動を行った。
松崎被告人ら国労組合員は、「一人の首切りも許さない」「仲間を決して裏切らない」という国労の原則を守り、また、すでに相弁護人が第1部から第4部で述べたような認識をもって、ビラまき・説得活動に立ちあがった。
被告人らのかかるビラまき・説得活動の目的は、言うまでもなく、国労本部執行部の5・27臨大方針案に反対する被告人らの意思を伝え、本部方針案の大会承認をさせないことにあった。
以前から、松崎被告人らは、「4党合意」に反対するために国労の全国大会当日には、国労共闘全国協議会のビラをまき、「4党合意」承認を推進しようとする国労本部を批判、弾劾し、「4党合意」を拒否すべきことを訴えてきた。松崎被告人ら国労組合員のビラまき・説得活動の内容は、「一人の首切りも許さない」という労働組合の根本原則を貫くもので、その国労本部批判は鋭く正鵠を射たものであった。このため、「4党合意」承認を大会決議させなかった2000年7・1臨時大会をはじめ、「4党合意」をめぐる各国労大会での意思形成に大きな影響を与えてきた。
本件5・27臨大においても、松崎被告人らは、大会当日の説得活動を通して、「与党3党声明」を丸飲みし、自民党などの指示通りに、闘争団員を国労から除名しようとする本部の大会方針案の承認を食い止めるために立ちあがった。
2 ところが検察官は、起訴状において、「第69回臨時全国大会の開催を阻止しようと企て」と、被告人らの目的があたかも国労大会の開催自体の阻止であるかのように歪曲する。そのデッチあげられた目的のために暴力行為を行ったかのように描き出している。
しかし、そもそも宿舎前でのビラまき・説得活動は、前回の2001年10月の第68回定期全国大会の際にも行われていた活動である。また、本件5・27臨大当日では、本件現場以外にも、4党合意反対派の国労組合員は、大会代議員の宿舎であった池袋の「サンシャインシティプリンスホテル」前で午前7時頃ビラまきと説得活動を行った。また午前7時30分頃には、傍聴者、代議員等当日の大会参加者の集合場所になっていた千代田区永田町の旧「永田町小学校」前路上でも、ビラまきと説得活動が行われた。
2001年の1・27大会以来、国労本部派の警備要請によって、国労大会の会場は警察機動隊で固められるようになり、被告人らにとって、本件5月27日には、本件現場を含む前記3カ所でしかビラまき・説得活動を行う場所はなかったのである。
このように本件現場で被告人らが行ったことは、前回の10月定期大会また本件5月27日当日他の2カ所で行われていたのとまったく同様のビラまき・説得活動であり、実際、被告人らは、臨時大会方針案に反対する正当な組合活動としての本件ビラまき・説得活動を貫いたものである。
第2 本件ビラまき・説得活動に立ち上がった松崎被告人ら国労組合員の16年間の解雇撤回闘争
1 国鉄分割・民営化という国家的不当労働行為に反対してきた被告人らの闘い
国鉄に入社した松崎被告人らは、いずれも国労に加入し、以後今日に至るまで一貫して国労組合員として組合活動を行ってきた。
国鉄分割・民営化攻撃の中で、政府・自民党、国鉄当局は、国労つぶしの集中的な攻撃をかけたが、被告人らは、国労の方針に基づき、それぞれの職場で分割・民営化に反対し闘った。被告人らにとってこの闘いは、仲間と分断され差別的扱いを受けたり、脱退を強要された仲間が国労を去って行くという厳しい現実に直面しながら、歯をくいしばって、国労の旗を守り抜いた闘いであった。
国鉄分割・民営化を前にして、被告人らは、国労組合員であるがゆえに、「余剰人員」「不採用要員」というレッテルを貼られ、非人間的な人材活用センターに送られたり、あるいは不当配転によって鉄道本来の業務からはずされ、労働者を人間とも思わない扱いを受けた。
国鉄分割・民営化攻撃という国家的不当労働行為を絶対に許せない、仲間を裏切らない、国労の旗を守り抜く、という思いが、解雇された者、採用された者を問わず、被告人らには共通している。
2 松崎、羽廣両被告人の被解雇当事者・闘争団員としての闘い
被告人松崎、羽廣両名は、九州の地で国鉄労働者として働いていたが、人材活用センターに送られたうえ、分割・民営化によってJRに不採用=解雇となり、清算事業団に送られた。そして、1990年清算事業団から最終的に解雇された。両名の解雇には何一つ正当な事由はなく、ただただ国労組合員に対する差別・選別によって不採用=解雇となったものである。
国労は、国労組合員(1047名中966名)に対する不採用=解雇は、不当労働行為であるとして、原地原職復帰を求めて、各地の地労委に救済を申立てた。各地の労働委員会では「JRには責任があり、採用せよ」という勝利命令を得た。被告人松崎、羽廣も、福岡県地労委で勝利命令を得た。しかし、JR及び政府はこの地労委命令を無視し、原地原職復帰をさせず、現在に至るも解雇したままである。
清算事業団から解雇された後、2人は国労の方針に従い、国労小倉地区闘争団の一員として、日豊オルグ班の物資販売活動を中心的に担い生計を立てながら、国鉄分割・民営化以後16年にわたって解雇撤回闘争を闘い続けている。
国鉄労働者として働いてきた2人は、家族の生活を維持するため、労働委員会への申立てを行い、全国の労働組合等を回ってJRの不当解雇を訴え、また、国労大会のごとに上京して、闘争団として解雇撤回闘争を闘ってきた。
収入も少なく安定しない物資販売の慣れない営業活動を必死の思いで行いながら、解雇撤回闘争を貫いてきた2人にとって、この16年間の生活の全体験が、「4党合意」に反対する原点、根拠になっている。
「4党合意」によって、「JRに法的責任はない」ことを国労が認めることは、彼らの16年余に及ぶ生き様を全否定することである。そのうえ、国労本部は、5・27臨大で、「4党合意」に反対し闘う闘争団を除名処分しようとしていた。両名にとって、何としても認めることはできない事態であった。
被告人松崎、羽廣は、国労本部が「4党合意」を受け入れ、屈服路線を取ろうとするのに反対し、2000年7・1臨大後の同年8月に、「4党合意は国家的不当労働行為である」として、4党合意の取り消しと陳謝を求めた福岡県地労委への申し立てを行った。福岡県地労委では、「JR不採用問題四党協議」座長の自民党甘利明氏を証人採用し、尋問することを決定した。これに対し甘利氏が、国労本部に抗議するという驚くべき事態が起きていた。
国労本部の統制処分は、「4党合意」地労委闘争の参加者にまで及ぶことが予測された。「4党合意」地労委申立人である被告人らにとって、処分問題は、まさに自分にかけられてくる問題であった。
また松崎、羽広両被告人は、鉄建公団訴訟の原告となる手続きを進めていたので、処分の対象者になることは必至であった。その立場からも、本件5・27臨大での本部方針案は認めがたいものであった。
3 橘、小泉、原田、富田、東被告人らの不当配転等の不当労働行為との闘い
国鉄分割・民営化攻撃の結果、被告人橘、原田、富田、東はJR西日本、小泉はJR貨物に採用されJR社員となったが、彼ら5名の被告人にとって、採用後も、国労組合員であるということをもって、不当配転や職場での差別待遇、賃金カット、嫌がらせ等、日々かけられてくる国労つぶしの不当労働行為との闘いの連続であった。
「4党合意」によって、国労が「JRに法的責任がない」ことを認めてしまうことは、闘争団の解雇撤回闘争の否定であると共に、JR発足後の被告人らにかけられた不当配転、不当労働行為を全て認めてしまうものである。
実際、「4党合意」が出されてから、国労本部は、個々の職場での闘いを行わなくなり、当局の不当労働行為がますます吹き荒れるようになった。「4党合意」は、橘被告人ら5名にとっても、16年間の苦闘の一切を否定するものであった。
また、橘被告人ら5名の被告人は、分割・民営化に国労が反対し、解雇撤回闘争を闘ってきたからこそ、闘争団と一体の国労組合員として闘ってきたのである。
「一人の首切りも許さない」という国労の大原則を投げ捨てる5・27臨大方針案は、もやは国労が国労でなくなることを意味していた。橘被告人ら5名にとっても、やはり、16年の闘いのすべて、国鉄労働者として生きてきたすべてがかかっているという思いで、5・27ビラまき・説得活動に立ち上がったのである。
被告人橘、原田、富田、東の4名の被告人は、被告人松崎、羽廣と同様、「4党合意」に対する申立を大阪府地労委に行い、審理中である。したがって、被告人橘、原田、富田、東にとっても、統制処分は自分にかけられてくる問題であった。
なお、向山被告人は、後述の通り、松崎被告人らの本件ビラまき・説得活動への支援活動に立ちあがった者である。
第3 本件ビラまき・説得活動での被告人らの訴え
1 被告人らは、本件5月27日当日、国労本部派に対し、「与党3党声明粉砕!奴隷の道を拒否せよ」という見出しの国労共闘全国協議会のビラを手渡した。
5・27臨大は、国労本部が、政府・自民党の指示で大会を開催し、政府・自民党の言いなりの方針を決めようとするものだった。権力の言いなりになる労働組合は、もはや労働組合の名に価しない。それは「権力の奴隷」となることであり、「資本の奴隷」になり下がることである。被告人らは、本部方針案に反対し、「与党3党声明」を粉砕することによって「奴隷の道」を拒否し、闘う国労の旗を守り抜くことを訴えたのである。
2 松崎被告人ら国労組合員がまいた国労共闘全国協議会のビラは、冒頭、次のよう訴えている。
「第69回臨時全国大会に結集されたすべての仲間の皆さん。
本日の臨大は、まさに後のない決戦だ。高嶋・寺内執行部は、またも大会に官憲=機動隊を導入した厳戒体制下で、与党3党声明の暴力的な全面降伏要求を受け入れる大会を強行しようとしている。権力の奴隷となり、自らの手で国労の息の根を止め、『国労が国労でなくなる日』にし│ようとしている。絶対に許してはならない。
甘利は与党3党声明を出した4月26日の記者会見で『5月30日まで1カ月以内に全国大会の開催が純粋かつ物理的に無理だという理由がない限り、臨時大会の延期は認められない』と言い放った。こんなことを政権党に言われ強制されて開く大会など、もはや労働組合の大会ではない。
あの『2000年7・1』のように、渾身の総決起で与党3党声明の丸のみを徹底粉砕しようではないか」。
このように、国労共闘ビラは、本件臨大が、『国労が国労でなくなる日』になろうとしているという危機的な認識を示した。
3 この国労共闘ビラは、第1に、大会方針案は「与党3党声明」を丸飲みしたものであることを弾劾している。「3党声明」は、闘争団の切り捨てを国労に要求し、国労をたたきつぶすことを狙いとしている。ところが、本部方針案は、「3党声明」をそのまま「方針」にしたものだった。国労共闘ビラは、本部方針案は、国労の闘う魂と伝統を踏みじみるものであると断罪した。
第2に、国労共闘ビラは、大会方針案での「闘争団への統制処分の決定」に断固反対することを訴えた。
国労本部は、闘争団員に対して生活援助金の凍結を強行し、さらに本臨大で、「3党声明」の要求する闘争団の除名を決定しようとしている。国労共闘ビラは、闘う闘争団の除名という不正義きわまりない暴挙を絶対に認めさせてはならないことを訴えた。
第3に、大会方針案の「裁判取り下げ」と「ILO提訴の取り下げ」を許さないことを訴えた。本部執行部は、これまで「裁判取り下げは解決時」とか、「ILO最終勧告の履行」などと言ってきたことまで投げ捨て、採用差別訴訟やILO提訴を一方的に取り下げ屈服しようとしている。さらに、JR発足後の不当労働行為に対するすべての訴訟を取り下げようとしている。本部方針案は、労働者の権利も闘いの武器もすべて捨て去り、「資本の奴隷」となることだと訴えた。
4 国労共闘のビラは、最後に次のように訴えている。
「なぜ、この時に国労に対してこれだけの攻撃がかかっているのか。それは、国労こそが日本労働運動の軸であったし、その存在を名前も含めて根絶したいという国家権力の階級意志があるからだ。これは有事立法攻撃のもとでますます強まっている。だが、それは闘争団を先頭とした不屈の国労組合員に対する敵の恐怖の現れにほかならない。だから国労の旗を守りぬくことは、激しい資本攻勢や有事立法攻撃と闘っている全労働者の願いなのだ。
今や、今大会こそが後に引くことのできない大決戦であることは明らかだ。どんなことがあっても方針案の採決強行を許してはならない。ここにすべてをかけて、闘争団とJR本体の一体となった渾身の決起で阻止しよう。
高嶋・寺内らチャレンジ、革同久保一派、酒田一派ら裏切り者をたたき出し、国労の旗を絶対に守りぬこう。『第2の7・1』を実現し、国労の再生をかちとれ」。
本件ビラの冒頭と最後に出てくる「7・1」とは、言うまでもなく、国労闘争団の怒りが爆発した2000年7月1日の第66回国労臨時全国大会のことである。
被告人らは、このビラ全体を通して、国労本部による大会への機動隊導入を強く弾劾し、政府・自民党のいいなりになっている現執行部の総辞職を実現し、闘う国労の再生をかちとることを訴えた。
5 5・27臨大方針案に反対する被告人らの訴えを貫いているものは、国労の団結を維持し、闘う国労の再生を実現することである。
5・27臨大の本部方針案は、組合員の団結を破壊し、国労を崩壊させるものに他ならない、だからこそ、本部方針案を葬り、現執行部を打倒しなければならないことを被告人らは主張し、訴えた。
被告人らのビラまき・説得活動は、闘う国労の団結維持のために必要不可欠な行為だった。
第4 被告人らが暴行を加えた事実は存在しない
1 ビラまき・説得活動を無視しようとした不当な国労本部派組合員の対応
松崎被告人ら国労組合員は、5月27日午前7時前から、「東京グリーンホテル御茶ノ水」前歩道上にいて、国労本部派組合員が出てくるのを、国労共闘全国協議会のビラをもって待機していた。
午前7時ころ、ホテルから、東京地本の酒田委員長、阿部書記長をはじめとする執行委員、中央本部の会計監査、さらに長野地本など地方から大会警備のために動員されてきた組合員などの約40名が出てきた。
そのホテルから出てきた国労本部派組合員らは一団となってホテル玄関から道路方向に移動し、松崎被告人ら国労組合員の訴えかけを無視し、立ち止まろうともせず大半がバスに乗り込んだ。彼ら国労本部派は、バスに乗り込むまでの間に、ビラを受け取ることもせず、また被告人らの話を聞こうともしなかった。
国労本部派は、本来であれば、同じ国労組合員として足を止めて松崎被告人ら国労組合員の訴えを聞くべきであった。とくに東京地本三役などの国労本部派幹部は聞く義務があったにもかかわらず、逆に力ずくで被告人ら国労組合員を押しのけて立ち去ろうとしたことは、極めて不誠実な対応であり、組合役員失格とも言うべきである。
国労本部派組合員の中には、力ずくで被告人らに体当たりして被告人らの身体を押しのけようとしたり突き飛ばしたり、被告人らの身体をつかんで強引に振り回そうとした人もいた。また中にはビラを渡そうとする被告人らにくってかかる者もいた。
松崎被告人ら国労組合員は、このような本部派組合員に対しビラを渡し、「闘争団の除名をやめろ」「これまでの苦闘を水に流すのか」「政府に言われるままに大会を開くのか」「与党3党声明は許さないぞ」と声を発して、国労本部派の組合員と大会方針案について論争し説得しようとした。
ホテルから一団となって出てきた国労本部派組合員は、松崎被告人ら国労組合員の約5倍の人数であった。彼らは、ビラまき・説得活動を受け付けず、被告人らを押しのけ、また被告人らの脇を通り抜け、短時間で車道に駐車中のバスに乗り込んでいった。
また、乗り遅れた本部派組合員の中には、バス乗降口で説得活動をしている被告人らを挑発的に押しのけて無理矢理力ずくでバスに乗り込む人がいた。
松崎被告人ら国労組合員は、力ずくでバスに乗り込もうとする国労本部派組合員にも、「国労の誇りはないのか」と問いかけて話を聞くようねばり強く説得活動を続けた。
ところが検察官は、国労本部派が、本件ビラまき・説得活動を無視して発生した最初の約5分間の出来事を逆に被告人らによる「暴行」とねじ曲げて描こうとしている。しかし、被告人らの本件ビラまき・説得活動は正当な組合活動であり、検察官のいうような「暴行」の事実はなかったのである。
2 国労本部派はバス乗降口で被告人らの説得活動を妨害し続けた
一団となった国労本部派組合員の大半がバスに乗り込んだ後、松崎被告人ら国労組合員は、バスの乗降口付近で、バスに乗り込んだ本部派組合員らに対して、「自民党の言いなりの大会はやめろ」「物資販売で苦労してきた闘争団の首を切るのか」「お前たちに首を切られるために闘ってきたんじゃないぞ」「処分されてたまるか」「自民党の言いなりの本部は辞めろ」と口々に説得を続けた。
しかし、バスに乗り込んだ本部派組合員は、被告人らの説得を聞こうとしないばかりか、被告人らに対して手で突ついたり、被告人らの服や腕、身体を引っ張ったりした。
また、松崎被告人ら国労組合員は、バスに乗らないで様子を見守っている国労本部派組合員に対して、「闘争団の除名を決める大会をやめろ」「闘う国労を守れ」と説得活動を続けた。
3 国労本部派が警察の暴力的な介入を要請
その間に、国労本部派の通報により、交番の制服警官、神田警察署の関警備課長等署員が駆けつけ介入を始めた。さらに警視庁公安部の刑事が来て、遠くの方から写真を撮ったり、メモをとったりした。
松崎被告人ら国労組合員は、国労本部派に対し、「機動隊導入を止めろ。これでは労働組合ではなく、機動隊組合ではないか」「警察とばかり話していないで、おれたちと話をしろ」と抗議した。
向山被告人ら支援者は、警察の介入に対し、制服警官や関警備課長に、「これは労働組合内部の問題だから、警察は介入するな」と何度も抗議した。
しかし国労本部派は、警察と打ち合わせを行い強権発動を依頼し、その直後、警察官の暴力的介入によって、国労本部派は、遅れてホテルから出てきて様子を見ていた組合員を一挙にバスに乗せ、バスを出発させたのである。
4 「暴行」にあたる事実はない
松崎被告人ら国労組合員が5月27日に「東京グリーンホテル御茶ノ水」前で行ったビラまき・説得活動は、臨時大会方針案をめぐる正当な組合活動であった。
一方、国労本部派の行為は、ビラも受け取らない、話も聞かない、力ずくでバスに乗ろうとするなど、同じ組合内の組合員の行為としては通常あり得ない行為であるといわなければならない。
以上のとおり、本件ビラまき・説得活動には、国労本部派組合員に対する「暴行」にあたる事実はまったく存在しない。
なお松崎被告人らは、その後、臨時大会会場の社会文化会館前に行き、午前9時ころから、国労組合員と支援共闘計約400名が参加して開かれた集会に参加した。
第5 本件ビラまき・説得活動への支援活動の正当性
1 向山被告人ら支援者は、国労闘争団が「一人の首切りも許さない」「仲間を裏切らない」という原則のもとに苦しい生活の中で1047名解雇撤回闘争を闘い続けている姿に感銘し、そこに労働者の魂を見る思いで、支援・連帯の活動を行ってきた。
また労働運動にたずさわる彼ら支援者にとって、国鉄闘争は自らの闘いでもあった。国鉄の分割・民営化は、たんに一企業の解雇問題ではなく、国家権力による労働運動全体にかけられた攻撃であったからである。
実際、国鉄分割・民営化で行われた「国鉄改革方式」がモデルとなって、バブル崩壊後の日本経済の危機の中で、資本のリストラ、不当労働行為の嵐が吹き荒れている。また、国労は国鉄分割・民営化後の地労委闘争で全面的に勝利したが、政府、JRは地労委命令を無視し、実施せず、資本の労働者に対する攻撃の歯止めとしてある労働委員会制度を崩壊させようとしている。
国鉄闘争は、不当労働行為との闘いでもあり、地労委命令を完全実施させる意義をもつ全労働者の利害のかかった闘いなのである。
国労本部の5・27臨大方針案は、長年国鉄闘争を支援してきた者にとっても重大な裏切りであり、絶対に許すことのできないことであった。
国労組合員である被告人らが、本件当日、ビラまき・説得活動を行うことを知った時、向山被告人ら支援者は、これまでも共に国鉄闘争を闘ってきた者としての責任として、この行動を支援しようと宿舎前に赴いたのである。
2 こうして向山被告人ら支援者は、松崎被告人ら国労組合員の本件ビラまき・説得活動への支援行動として、当日の本件ホテル前の行動に参加した。
当日の行動は、大会方針案の撤回等を訴える松崎被告人ら国労組合員が国労本部派に対するビラまき・説得活動であるから、向山被告人ら支援者は、直接その行動に加わるのではなく、あくまで周囲から見守る形に終始した。
また、国労大会では、国労本部によって機動隊が導入されており、本件宿舎前でも、正当な組合活動に警察が介入する危険があったため、向山被告人ら支援者は、警察権力の介入と不当な弾圧から国労組合員を守ることが、支援の重要な役割であると考えて行動した。実際、向山被告人ら支援者は、当日の支援活動の一環として、国労本部派の要請により警察官が来た際、警察の介入に抗議した。
検察官は、向山被告人について、「暴行」に関する「共謀」の責任で起訴したが、これは完全なデッチあげである。
また検察官は、本件支援者らが松崎被告人ら国労組合員と謀議の下に一体となって行動していたとみなして、「多衆の威力を示し」たとねじ曲げて描こうとしている。
しかし、これも百パーセントデッチあげである。向山被告人ら支援者は、松崎被告人ら国労組合員が国労本部派に対して行ったビラまき・説得活動を周囲から見守る形で支援しつつ、警察権力の違法な介入を監視していたものであり、検察官の主張は完全に誤りである。
よって、被告人らの行為は、ビラまき・説得活動であり、正当な組合活動であっ
て、暴行の事実はない。被告人らは全員無実である。
以 上