2005年に読んだ本へのコメント
(05/01/22)
「麦の海に沈む果実」(恩田陸) を読みました。うーん、面白かったのは面白かったけど最後ちょっと僕が考えるような系統の話と違ったなぁ。昨年読んでとても気に入った 「三月は深き紅の淵を」 と、メビウスの輪やクラインの壺のように表裏入り混じった作品で、終盤までは期待通りの面白さだったんですが。でもこの人の文章は僕は凄く好きです。他の作品も読むつもり。(05/01/25)
「報道されなかったサポーターの真実 -実録 ワールドカップ2002-」 (ジュンハシモト) を読みました。ワールドカップでの海外サポーターとの交流をまとめたもの。本屋で、新潟の子供とクロアチアサポーターの交流の件を読んでウルウルし思わず購入したんですけど、そういう内容はそれだけでがっかり。あとは、にわかサポーターがどうとか、サッカーは戦争なのかとか、つまらない話ばかり。それらの内容もレベル低いし。まあ外国人サポーターのアンケート結果で、物価が高いこと以外は日本に好意的なコメントばかりを読めたのが嬉しかったかな。いや、日本で嫌な思いした人は最初からアンケート答えないだろうけどさ。(05/01/27)
「星界の戦旗 IV」 (森岡浩之) を読みました。昨日 III を読み直して万全の態勢だったんですが今回も III 同様に繋ぎの話でした。しかもラフィールの出番も減ってるし。まあ次から大きく話が展開しそうなので楽しみに待つことにしましょう。でもあいかわらず表紙の絵が恥ずかしくて、他の本にはさんで買ったですよ。(05/02/05)
「ウエンカムイの爪」(熊谷達也) を読みました。うーん、デビュー作品ってことかもあるかもしれないけど、よく調べてあって、いろんな問題提起もあって、って感じの理屈っぽい印象。序盤の雰囲気からいくと 「もしかしたらファンタジー?」 って思ったんだけどな。直木賞受賞作家なわけですが、後の本を読んでみるべきかな。(05/02/10)
「ライオンハート」(恩田陸) を読みました。だんだん分かってきました。この人の作品は序盤中盤がほんとに面白いので過大に期待してしまい、そのせいで相対的にみると結末(あるいはオチ) がそれほどじゃないんだよなぁ。ほんとに悪いわけじゃないんだけど。
「ブランコのむこうで」(星新一) を読みました。星新一の本(ショートショート) は中高時代に10冊以上は読んだかな。でもこれは長編ファンタジーで星の王子様の星巡りみたいなお話。(でもあれに比べるとこっちは人間を信じるとってもポジティブな印象。) 序盤はあんまり成功してないかなと思ったけど後半いい感じに。そして締めがとても良かったです。(05/03/02)
「ネバーランド」(恩田陸) を読みました。途中は、“そんな話ないでー” とか思ってましたが、最後のまとめは凄く良かったです。お奨め。本人があとがきで書いてるように、多少こっぱずかしいところもありますが。
「素晴らしい一日」(平安寿子) を読みました。これ面白いです!お奨め。(05/03/21)
「マーシーの夏」(ドロシー・ギルマン) を読みました。これって少女漫画に描かれるストーリーじゃん、って思ったんだけど書かれたの50年前かよ。ちょっとびっくり。(05/04/10)
「富豪刑事」 (筒井康隆) を読みました。読んでがっかり、主役男じゃん。まあ原作のことはいいとして、深田恭子主演による TVドラマ化の話をしたいです。このネタを持ってきたことに加え、主役を女性にアレンジしたことは非常に良い判断だと思います。凄く面白くなりそうな気がします。ところが実際はそうならなかったわけで、どうせならもっと派手にやるべきだったと思います。というのも、我々はマンガにおいて既にコメディにおける大富豪のイメージ(「うる星やつら」 の面堂家とか、「ケロロ軍曹」 の西澤家とか) を持っているわけで、ちょっとお金を使うくらいじゃ期待外れなわけです。あのドラマだと主人公の金銭感覚がちょっとおかしいってだけ。そうじゃなくて私設軍隊が出てくるぐらいの大嘘の物語にする方が絶対面白かったと思います。で、大きな嘘をついて、それ以外を大真面目に作るのがポイント。まあ制作費がかかるから映画じゃないと無理だけどね。(05/05/04)
「夜の果てまで」(盛田隆二) を読みました。なによりも小説を書くってことが物凄い事だということを思い知らされる作品でした。ただし面白いっちゃ面白いけど、好きかって聞かれたらあんまり好きじゃないなぁ。まあとにかくこれだけの描写を書き切るのは凄いです。(05/05/09)
「ガラスの麒麟」(加納朋子) を読みました。短編のお話が徐々に集約されていくミステリー物。序盤はイマイチかと思ってましたがだんだん引き込まれていきました。でも結末が少し物悲しい気分になります。この人は普通はもっとメルヘン系なんだそうでそれらなら読んでみたいかも。(05/05/12)
「火車」(宮部みゆき) を読みました。非常に読み応えがありました。特に前半の面白さは尋常ではないです。ただし、途中からちょっと登場人物語りすぎ。これ、小説に限らずマンガにも言えることなんですが、女性作家の作品は本人が常日頃思っていることを登場人物に語らせる傾向が強いです。ストーリーに不要かもしれないことまで。それはある意味では (特に少女マンガで顕著な) 女性作家作品の大きな魅力の面でもあるんですが、この作品についてはちょっと邪魔だと思いました。素晴らしい謎解きで十分な作品なのに、登場人部の台詞を借りた作者の雄弁な語りがどうも説教じみて聞こえてきます。あとやっとこさ解明した謎のいくつかが僕的には常識的でちっとも驚かなかったのはマイナスだなぁ。まあそれら減点があってもネタやシナリオは素晴らしい作品なんですけど。(05/05/13)
「忘れ雪」(新堂冬樹) を読みました。前半は純愛物。ちっとクサイとは思いつつマジ泣けましたよ。ところが、途中からサスペンスに。そんな展開は期待してなかったのに。がっかり。(05/05/22)
「ドグマ・マ=グロ」(梶尾真治) を読みました。つまらない。読まなきゃ良かった。前も書いたけどこの人の作品はベースとなるネタ次第であって、それが気に入らなかったら面白くもなんともないです。この作品は明からにグロい描写書きたかっただけでしょう。(05/06/04)
“沖縄でハブ対策としてマングースを島に放ったんだけどハブを食べずに天然記念物アマミノクロウサギを食べて爆発的に繁殖してしまい今ではマングースを捕まえて役所に持っていくと2000円もらえる” というのは本当ですか?「のだめカンタービレ」(二ノ宮知子)で読んだんですが…。(あ、どうやらほんとみたいですね。) で、のだめ面白い。お奨め。(05/06/16)
「太陽の簒奪者」 (野尻抱介) を読みました。第34回星雲賞受賞作品。面白い! 特に第一部が素晴らしい。そのまま終わりにする方が評価的には高かったかも。まあ続きも悪くはないです。ところで解説に書いてあるんですが海外の異種知性体物SF を評して “ものすげー変なかっこうしてても所詮頭の中はアメリカ人” というコメントはまさに僕が感じていたことでした。やっぱ日本人の感覚が一番納得できるよ。(05/06/25)
「クジラを捕って、考えた」(川端裕人) を読みました。実際に調査捕鯨船に半年間同乗し、捕鯨を体験しながら様々な側面について書き綴った本。書かれたのは10年前ですが、幸か不幸か捕鯨問題は当時とほとんど変わっていないこと、捕鯨だけでない全ての環境問題についての考えについて参考になる本です。自然環境問題に興味ある方は読むべき。(05/07/04)
知人から唐突に 「監督不行届」 (安野モヨコ) を読むように押し付けられました。(なぜだぁ?) なるほど、庵野秀明の奥さんなんですね。知らなかった。庵野秀明ってこういう人だったのかぁ。勉強になりました。(05/07/09)
「マルドゥック・スクランブル The First Compresson 圧縮」 (冲方丁) を読みました。面白い。さすがSF大賞作品。でも SF的にはマトリックス程度の軽さなんで、ハードボイルドと考える方がいいかも。テーマは “愛探し” みたいだし。ずるいことに物凄いクライマックスで終わります。続きすぐ読まなきゃ。ところでこれ映像化できたら凄いだろうなぁ。子供には見せられないけど。ただし、バロット役は15歳時の栗山千明以外は全く思いつかないです。日本で作るとかっこわるくなるかなぁ。あ、アニメ化は決まっているんですね。カバーイラストの寺田克也のイメージならかっこいいんだけど。
「動物はすべてを知っている」(J・アレン・ブーン) を読みました。これはあんまり良くないです。まず、人間だって “虫の知らせ”、“夢枕に立つ”、“離れた双子の体調が〜” みたいな話があるわけで、動物にだってそういうのあって当たり前。動物を特別扱いするスタート自体が違ってる。彼ら西洋人が “奇跡” と言う言葉を使う際に必ず宗教がバックにあるように、文中にある “動物を見下す” のも彼らが “神様が自分似せて作った人間” って強く意識し過ぎているから。実際結論としても彼は動物の後にいる神を意識しているし。結局この本を読んでも、普通の日本人には著者が実際に何を感じて何を主張したいのか本当の意味では理解できないでしょう。読まない方がいいと思います。
「サッカー監督という仕事」(湯浅健二) を読みました。ほとんどの内容は、サッカーよく見てる人なら直感的に感じてる内容ではないでしょうか。彼はプロのコーチだから文章にしたり人に伝える必要があるというのが違うだけで。まあ心理面の話については外からではわからない面白い面かな。具体的に実際にあった場面を振り返って解説してあるケースが多いので、旬の時期を外して読むと価値は下がるかも。湯原健二の個人サイト読んでたら改めて読む必要はなさそうです。(05/07/16)
「マルドゥック・スクランブル The Second Combustion 燃焼」 (冲方丁) を読みました。面白い。一巻から一転して戦闘っぽいものはほとんどなし。哲学的な会話やカジノのギャンブルシーンが中心。 文中の一節、“価値は、あるものではない。観念であり、創り出すものだ。命の価値を創り出す努力を怠れば、人間は動物に戻る” とか、ちょっといい感じだよ。けれど、人生に悩む子供とかは、この本は手にとらないだろうなぁ……。(05/07/21)
「マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust 排気 」 (冲方丁) を読みました。完結編。やっぱり面白かった。カジノのシーンは他では例えようのない話だなぁ。そして最後の対決も物凄いイメージ。“これを実写映像化するのは難しい” と思うことはあるけど、この作品に関しては “(我々が物凄い想像をしてしまった後でそのイメージに負けないレベルの) アニメ化するのは難しい” と思ってしまいます。(05/07/23)
「キッドナップ・ツアー」(角田光代) を読みました。うーん、前も何かの感想で書いたけど、小学生ってこんなに複雑なこと考えてるんでしょうか?僕はまさに単純明快な思考しかしてない子供だったので、こんなお話読んでも全くリアリティを感じないのです。みんなは違うのかなぁ。(05/07/24)
「ブンナよ、木からおりてこい」(水上勉) を読みました。うーむ、これは凄い。命、生きること、について真正面から伝える児童文学。でも (あとがきでも書かれているけど)、この作品を母親が子供と一緒に考えるのは大変。子供に何か質問されたらスラスラ答えられる母親なんていないんじゃないかなぁ。子供の直感に任せてしまいたいところだなぁ。(05/07/29)
「星界の断章 I」(森岡浩之) を読みました。星界シリーズの外伝短編集なんだけど、半分はアーヴの歴史を語る真面目な外伝で、もう半分はお遊び。わざわざフォントが違うので意図的であることは明白なんだけど。僕はこのお遊びはやらないで欲しかったなぁ。でも I ってことは続きも出す気なの? それくらいだったら本編出しなよ。(05/07/31)
「劫尽童女」(恩田陸) を読みました。前にも書いたけど、この人の小説の導入の面白さは尋常じゃなくて、やっぱりこれも面白くて引き込まれました。だったんだけど、残念ながらこの人はSFは向いてないかも。イマイチでした。ミステリー的な種明かしネタだけじゃSFは楽しめないよ。特に最近、同じく特殊能力を持つ少女が主人公の 「マルドゥック・スクランブル」 シリーズ読んだばかりだからなぁ。(05/08/12)
「ジャンプ」 (佐藤正午) を読みました。まあまあ面白かったです。解説で山本文緒が 「主人公に感情移入できるかどうかで共感か反発に分かれる」 と書いてますが、まあ僕は反発かな。ネタばれになるのでこれ以上は書きませんが、「Y」 も結構面白かった記憶あるので、ちょびっとミステリー感を味わうのにこの人の本は丁度いいかも。(05/10/07)
「海を見る人」 (小林泰三) を読みました。面白い。ハードSF の短編集ですが、軽い知識でも楽しめると思います。それにして表題作の 「海を見る人」、このラブロマンスはちょっと衝撃を受けました。(05/10/16)
「ALONE TOGETHER」 (本多孝好) を読みました。部分部分のネタはなかなか面白いと思うんだけど、小説としての完成度はちょっと疑問。(05/10/17)
「「量子論」 を楽しむ本」 (佐藤勝彦) を読みました。いやいや、これはなかなか良い入門書ではないでしょうか。もちろん量子論が理解できたわけではありませんが、なかなか楽しめます。例えばパラレルワールドのアイデアって真面目な量子論から出てきた話だったなんて知りませんでした。(05/10/23)
「サマー/タイム/トラベラー 1」(新城カズマ) を読みました。好きじゃない。登場する高校生らのグループにリアリティを感じないし、ああいう人達が実在していたとしたら作品中の彼らの行動に納得できない。未来からネタをチビチビ小出しにしながら振り返る手法もイライラする。本を読まない人を馬鹿にしたようなところも嫌い。ほんとなら絶対続編読まないけど、もう買っちゃてるんだよな。というのは購入した動機は鶴田謙二がイラストだったからなんで。(05/10/29)
「サマー/タイム/トラベラー 2」(新城カズマ) を読みました。多少は前編よりは読みやすかったですが、やはりあんまり好きではないです。(05/11/10)
「エコノミカル・パレス」(角田光代) を読みました。なんかネガティブすぎる。読んでテンション下がりました。(05/11/11)
「スローグッドバイ」(石田衣良) を読みました。短編集だったので、まあ面白いものもあったけど、あんまり面白くないものもありました。トータルイマイチかな。(05/11/13)
「ドミノ」(恩田陸) を読みました。楽しいです。名前覚えるの苦手な僕が、こんなに登場人物の多い作品をなんとか混乱せず読めたのはちょっとびっくり。それだけ話に魅力があるといえるでしょう。ただ過去何度も書いてますが、この人の作品は導入部とかの描写がめちゃめちゃ魅力的なんです。それが大きすぎて、読み終わった時に結果的に期待よりも下になっているという。ほんとに悪いわけじゃないんだけどなぁ。
「モンテロッソのピンクの壁」(江國香織) を読みました。絵本です。まあちょっと面白かったけど、画も分も僕の琴線に触れるほどではないなぁ。そもそもこれ、対象は子供向けなのかなぁ?(05/11/17)
「スラム オンライン」(桜坂洋) を読みました。結局は青春純愛のライトノベルっぽくてガッカリ。でもネタは面白いし、刺激的ではある。とはいえ .hack の後だし世界観的には目新しくないかも。それから、「先行入力」、「キャンセル」、「コンボ」 あたりは格闘ゲーやってない人には全然わからないのでは。注釈くらいつけた方がいいと思う。もうひとつ、現実のネット格闘ゲーはレイテンシーが問題になると思うから、実際にこういったフレーム単位の勝負するのは難しいだろうな。(05/11/18)
「四国はどこまで入れ替え可能か」(佐藤雅彦) を読みました。2001年に so-net で配信されていた 「ネットのおやつ」 の絵コンテを元にした本。まあ佐藤雅彦らしい本ですから、軽く微笑むようなことが多いんですが、表題作 「四国はどこまで入れ替え可能か」 は大真面目な入れ替え後の地図を見て大笑いしてしまいました。本読んで声出して笑ったのいつ以来だろ?(05/11/22)
少年サンデー(←間違い、マガジン)に 「あひるの空」 というバスケ漫画が連載されています。今週号では 「俺もその漫画読んでバスケ始めた」 という台詞。そしてそこにあるのは 「スラムダンク (30巻)」そのまんま!サンデーなのにジャンプの漫画が出てくるなんて!(05/12/01)
「定刻発車」(水戸祐子) を読みました。素晴らしいです。“日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?” について書かれた本なのですが、日本の文化、巨大プロジェクト、社会のシステムまで繋がっていくお話です。読み進むにつれて、あれ?これって鉄道だけじゃなくて僕らの仕事でも言える話かも、と思い始めていたところ、最後のページの見出しがこれ “技術にはメッセージ性がある”。そう、鉄道だけじゃなくて社会に出現する技術やシステムは全て根拠があります。技術者はそれをもっと意識してもいいかも。(05/12/08)
「インストール」(綿矢りさ) を読みました。これは面白い。彼女の日本語はほんとに面白い。これほど生き生きとした新しい世代の文章は読んだことないな。これ、17歳で書いたのか。凄いな…。
「ヒナの魂」(北條俊正) を読みました。これはとっても面白い。ホロっと来たし。ドラマ化したらいいんじゃない?って思ったら、ドラマが元だったのね。観てみたいな。
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| のだめカンタービレ | 音楽って凄い、と思わせる漫画。 キャプテン翼、スラムダンク、ヒカルの碁、と並べて語るべき。 |
| 太陽の簒奪者 | |
| マルドゥック・スクランブル (全3巻) | 物凄い傑作。SFハードボイルド金字塔。 |
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| 定刻発車 | 技術者は読んでみるといいかも。 |