2003年に読んだ本へのコメント

(03/01/31)
ドクター・ヘリオットの動物物語」(ジェイムス・ヘリオット紹介) を読みました。獣医さんのお話。劇的な物語ではないけれど、いいお話を読めたと言う感じ。
「楽隊のうさぎ」 (
中沢けい) を読みました。うーむ、ブラスバンド経験者に評判がいいとあるんだけど、お話の焦点がよくわからない。回顧録だったらわかるんだけど。

(03/02/09)
〜ジュビロ磐田を作った男〜杉山隆一黄金の左足の伝説」 (丸山一昭) を読みました。杉山氏のトルシエに対する意見が、僕と全く同じだったことに驚き。ただ、記録としてならいいけど、読み物的にはあんまり面白くはないかな。

(03/04/04)
「サッカーのある生活」(松森亮) を読みました。著者は元ジュビロ磐田で現在
jubilo-iwata.net を運営。内容の多くは選手同士の対談ですが、本人のプロ入り、解雇、現在の仕事に就くまでの話など、本当に面白かったです。ジュビロサポにはお薦め。

(03/04/19)
蒼いくちづけ」 (神林長平) を読みました。まあ神林ワールドには違いなんだけど、ちょっとなぁ。神林作品を読み始める時に覚悟に比べて拍子抜け。読み終わった時にふと思い出したのが、「ヴァンパイアハンターD」 と、なぜか 「歌う船」。

(03/04/25)
夏の庭」 (湯本香樹実) を読みました。感動するってことはなかったけど、ほんのちょっとだけ、自分も昔こんなことを考えていた事があるかもしれない、とか思ったりして。ほんのちょっと心に染みたかも。

(03/05/05)
夜の蝉」 (北村薫) を読み終わりました。(ちなみに文庫本表紙イラストは高野文子。) 最初、落語とか古典文学がたくさん出てくるのもあって、さっぱり意味がわからなかったんですよ。で、3篇収録の 2編目を読んでやっと気がつきました。これはミステリーなんだ、と。僕の根本的な間違いは、ミステリーってのは密室殺人トリックとかアリバイトリックとか、そういう事件を扱う物だと思い込んでいたこと。(だから好きじゃないから読まない。) しかし、この作品のように、一見すると普段の生活にあるただの悪戯が、実は奥深い意図のもって行われている、というようなものを推理するにもミステリー作品なわけですね。(……とすると、J・P・ホーガンの 「星を継ぐもの」 なんか完璧にミステリーって言えるよなぁ。前々から SF というジャンル分けに疑問もってたんだけど、やっぱり SF とミステリーというジャンル分けはベクトルがずれてるんだな。)

(03/05/15)
あずまんが大王」 の面白さがやっとわかってきた今日この頃。なんとか原作 (マンガ)、アニメの両方をチェックできました。これってキャラの性格分かった上で楽しむ作品だから設定を知らないと駄目だよねぇ。わかってくるととっても面白いです。序盤からチェックすることをお薦め。ところで某所で見かけた人気キャラ投票は 1位大阪、2位榊さんでした。かなり納得。個人的にはアニメ版の絵の方が顔の輪郭に癖がなくて好きかな。それとマンガだと台詞を同じペースで読んでしまうけど、アニメなら大阪のしゃべるペースは極めてゆっくり。その方が味が出てるかも。

(03/05/18)
「オタクの迷い道」 (
岡田斗司夫) を読みました。面白いですね。海外のオタクの話とか。海外出張で欧州まわった時、どこの国行っても日本のアニメソフトやアニメ雑誌売ってたの思い出します。あと、海洋堂の専務との対談面白いです。もはやオタク論ってのは社会学とか企業システムに関わる話なんだよね。

(03/05/25)
「きまずい二人」(
三谷幸喜) を読みました。週刊誌に掲載された対談集。最初に “この本の使い方” という注釈があるんですが、そのうちの “HOW TO 本として活用する” になったかも。沈黙ができてしまったら、相手がしゃべってくれるまで待つ、ぐらいの余裕持っちゃえばいいかも、なんて思いました。僕の場合は気を使いすぎるからなぁ。

(03/06/14)
佐藤正午の 「Y」 を読みました。これは面白かったです。文中にも解説にも出てくるように、ネタ的にはケン・グリムウッドの 「リプレイ」 で、北村薫の 「リセット」 と同じです。「リプレイ」 が別物の人生を繰り返すのに比べて、この作品は多人数の人間模様の妙を組み込みんだことで、謎解きミステリー的な完成度が高いです。個人的には物語に出てきた、渋谷の道玄坂、井の頭線、下北沢のホーム、などが僕のよく知ってる場所だったので、その映像が頭に浮かんで楽しめました。
群ようこの 「負けない私」 を読みました。うーむ、短編集ですが、そのほとんどで “オチがない” と感じてしまう。これは僕が読むべき本ではないのかも。女性が読むべき本なのか? 元々エッセイの方が評価が高い人らしいけど。

(03/06/15)
神林長平の 「ルナティカン」 を読みました。解説にもあるように、ちっとも神林作品してない普通の SF なのがちょっと意外すぎ。出来としては悪くはないかもしれないんだけど、この著者の本は覚悟して読み始めるという期待の大きすぎが裏目に出てしまいます。

(03/06/29)
絵本を抱えて 部屋のすみへ」 (江國香織) を読みました。絵本の紹介エッセイ、作家との対談本です。読みはじめてすぐ気が付いたのですが、この本はかみしめるようにゆっくり読まないといけませんね。なんかこの本自体が絵本的な印象を感じる本です。特に気に入ったくだりがこれ。『百聞は一見に如かずというけれど、百見を凌ぐ一聞もあると思う。本のなかでしかいかれない場所もあるのだ。そこには、場所だけでなく時間も閉じ込められているから。』 また、対談中に出てくる様々な絵本論は面白かったです。全国絵本・児童書専門店リストの付録付き。

(03/07/02)
東芝クレーマー事件」 (前屋毅) を読みました。(事件詳細) 僕もこの事件の時、例の音声ファイルを聞いたり、サイトを見てその経緯を追っかけていた一人です。当時には難しかった両者の見解を見比べることができます。結局は、問題のかなりの部分は誤解の積み重ねでもあるんですよね。ただし、東芝側の暴言は論外として、それ以前の対応にも問題があるのは確かでしょう。実は入社して過去に 2回ほど、研修を兼ねて、所謂お客様相談窓口対応業務をしたことがあります。その時の経験から考えて、東芝の社内調査の曖昧さはかなり疑問。ちゃんとやってればもっと正確な資料が残ってるはず。あれはちゃんとやってないな、誰か嘘ついてるな、という印象です。まあ対応先が複数になってるのが難しい要因は確かだけど。ところでこの本、最後の解説に 「インターネット社会において云々」 と書いてあるけど、問題のほとんどは電話 (留守電) や FAX での連絡による誤解。インターネットは事件の終盤で騒ぎを大きくしただけ。話的にはこじつけとしか思えません。ま、この事件のようにクローズアップされないけど、実生活にもいろんな誤解の積み重ねなどはあるよね。やっぱり直接話さないと駄目。

(03/07/06)
早川文庫で 「星界の〜」 (森岡浩之) というシリーズがあるのは前から知っていました。ところがそれらの表紙イラストがアニメチックというか、少女漫画絵というか……。そういうところで敬遠してたんですが、皮肉なことに先日そのアニメ版の方を観る機会がありまして、そしたら結構面白かったんですよ。ということでシリーズ中とりあえず三冊を買ってきて、まず 「星界の紋章 I 帝国の王女」 を読みました。うむ、アニメ版はかなり忠実につくってあるんだな。筋を知ってしまってるのが残念かも。

(03/07/11)
星界の紋章 II ささやかな戦い」、「星界の紋章 III 異郷への帰還」 (森岡浩之) を読みました。このシリーズって、会話が嫌味や皮肉、きつめのジョークであふれてて、苦手な人もいるんじゃないかなぁ。僕的にはそういう会話はとても好きなんですが。さて、「銀河英雄伝説」 との比較って、きっと語り尽くされてるんだろうけど、あちらは銀河を二分する国家、社会、思想がメインにあってそこに英雄のキャラがいるんだけど、こちらはラフィールという魅力あるキャラがほとんどを占める物語かな。そのラフィールというキャラクター、貴族言葉で誇り高いお姫様で軍人で (でも性格は素直 <- これ重要) が存在する為に、地上にはない独自の文化や価値観を持った種族という想定が必要だった、という感じ。もちろん作者があとがきで書いてるように、舞台設定して書いてたら自然にそういうキャラが動き始めちゃったわけですが。ふと思い出したけど 「クラッシャージョー」(高千穂遥) のアルフィンも元お姫様じゃなかったっけなぁ。

(03/07/12)
星界の〜」 (森岡浩之) シリーズ続編、「星界の戦旗 I 絆のかたち」、「星界の戦旗 II 守るべきもの」 を読みました。大規模宇宙戦争はじまったので、ちょっと 「銀河英雄伝説」 風な雰囲気も出てきました。“墜ちた民主主義” よりは “崇高な独裁” の方がましというのも似てるし。とはいえ、やはりこの作品はラフィールの魅力が柱。しかし正統 SF ラブコメとも言える展開でもあるかな。ベースはかっちりした SF だけど。

(03/07/13)
ORANGE」 1巻〜6巻を購入。連載当時はつまらないサッカー漫画が始まったなぁって思ったんだけど、読み直すと序盤でもぐっときて目頭が熱くなる場面あるなぁ。いや、一般人はなんとも思わないんだろうけど、Jリーグ昇格に思い入れがある人は同じように思ってくれるかと。

(03/07/14)
星界の戦旗 III 家族の食卓」 (森岡浩之) を読みました。まあこれはシリーズ中の繋ぎのお話ですな。全体のひとつのエピソードならいいとして、単独としてはラフィールがメインに出てこない話はあんまり面白くないな。それにしても表紙イラストこっ恥ずかしすぎ。星雲賞受賞して海外でも翻訳されてるシリーズなんだから、もうちょっとなんとかならんのか。

(03/08/08)
黄泉がえり」 (梶尾真治) を読みました。映画が予想外の大ヒットしたアレです。ヒットしたからといって映画にはそれほど興味なかったのですが、本屋で見かけたら原作が梶尾真治じゃないですか。高校生の頃読みました。デビューはSFマガジンで、当時はほとんど短編だけだったはず。いつの間にこんなに出世したのよ?ということで読んでみたのですが……これは、映画が当たるのも納得。この舞台背景を思いついたのが素晴らしい。お勧めの一冊です。映画はファンタジー系一色に味付けされたらしいんだけど、この舞台背景を持ってきただけでもう成功は見えてたかな。その上でいくらでもいいお話を作れる状態にあったはずだから。

(03/08/09)
「星界の紋章ハンドブック」 (早川書房編集部編) を読みました。星界の紋章のアニメまでのエピソードや設定資料など。まあマニア向けなんて特にコメントなし。それにしても、このシリーズ、アニメ映像を本にしたビジュアルブックとかもあるみたいだけどそんなに人気あったのかな?一部のコアなファンをがっちり掴んだというところか。

(03/08/23)
ORANGE」 7巻〜9巻を購入。恥ずかしながらほんとに泣けるのです。いや、一般の人はそんなことないだろうけど……。別にこの話が自分の経験とそれほど一致してるわけじゃないんだけど、その情景情景が想像できるんですよね。あ、8巻の表紙カバー内側に、『このマンガに多大なる影響を与えている傑作シミュレーションゲーム 「プロサッカークラブをつくろう!」……』 って文章がありました。まあ、言われなくても明白なわけですが。

(03/08/24)
夏の魔術」 (田中芳樹) を読みました。この本を買ったのは、銀英伝田中芳樹だから、ではなく、表紙絵がふくやまけいこだったから。けれど、これが銀英伝書いた人の作品なの?って感じ。そもそもふくやまけいこの絵とイメージ一致しない内容だし。正直なところ期待外れ。でも 「ふくやまさんのイラストでないと作品自体をかかない」 と言って書かれた作品なんだそうで。だったら絵に相応しい内容にしろよ、といいたいところだけど、ふくやまファンというなら許そう……。

(03/09/15)
「美亜に送る真珠」 (
梶尾真治) を読みました。1971年から1998年にかけての短編集。初期のやつは過去にも読んだはず。で、全部読んでみると、明らかに後に書かれた物の方が文章力上がっているように思います。昔読んだときよりは印象よくなりました。なるほど、これらの作品から 「黄泉がえり」 に繋がるっていうのは自然な流れだな。

(03/10/02)
日本科学技術大学上田次郎の どんとこい、超常現象」 を読みました。(TRICK のアレです。) あんまり面白くなかったです。まあ、どうせネタだしなぁ。

(03/10/09)
ブルーもしくはブルー」 (山本文緒) を読みました。NHK のドラマ稲森いずみがやってたやつです。あのドラマ、設定が面白いなと思って興味があったのですが、序盤を観損ねたのでドラマは観ずに原作を読むことにしていたのです。で、実際読むと序盤は 「ふたりのロッテ」 だったんですが、途中からの展開がなかなか面白かったです。解説にあるように読む人によっていろんな感じ方する懐の深さありそうです。ただ、ちょっと文章が軽いなぁ、という印象だったんですがコバルト文庫出身と知って納得。なるほど、そういえば題名もそれっぽいしね。

(03/10/25)
消えた少年たち」 (オーソン・スコット・カード) の上巻を読み終えました。ローカス賞受賞でダニエル・キイスが推薦という宣伝文句で買いましたが、これ、早川の SF の分類なんだけど、SF の破片すら出てこなかったぞ。少年も消えてないし、どうよ? まああちらの宗教系の生活って、まるで異星人の生活で、SF っぽいといえばそうかも。下巻読もうかどうかちょっと迷いましたが、まあ折角買ったので読むかな。

(03/11/01)
消えた少年たち」 (オーソン・スコット・カード) の下巻を読み終えました。ふむふむ、これって 「アルジャーノンに花束を」 と同じで、最初は短編で書かれて、のちに長編が書かれたのね。どちらも短編の時はネタ勝負、長編になると必然的にそうでない部分のウェイトが大きくなる、と。この 「消えた少年たち」 は、完全に家族の物語。そしてどう生きるか、という話。じっくり読み込む価値がある作品だけど、分量がちょっとヘビーすぎるなぁ。

(03/11/15)
黄泉びと知らず」 (梶尾真治) を読みました。短編集。表題作は 「黄泉がえり」 のサイドストーリーで、それ以外はひとネタ短編。要するにこの人はキャラじゃなくてネタで小説を書くので、ネタが凄いと傑作になって、そうでなければそれなりになるわけです。で、やはり 「黄泉がえり」 のネタは傑出してて、そのサイドストーリーは傑作になるんですよね。絶対サイドストーリーだけ集めた短編を出すべきだったと思うな。それを期待して読むと残りの短編は期待外れになります。元々は梶尾真治ってこういう作風なんだけどね。

(03/12/23)
知人に借りた 「
キノの旅 - the Beautiful World -」 (時雨沢恵一) を読みました。実はアニメの方をちょっとだけ観たことがあり、その時はあんまり面白く思わなかったのですが、原作の方を読んでみるとなかなか面白かったです。そもそも一話分だけで判断しちゃいけない種類の作品でした。ちなみにこれ、形態は 「星の王子様」 の星巡りですよね。内容的には星新一の作品にありそうな話ですが。で、とても面白い作品だとは思うのですが、ある意味残念でもあります。もしこの作品が、例えば、人同士のコミュニケーション、衆愚政治、代理戦争、などの実社会の問題とそれぞれのストーリーが同じ距離感で書かれていたら凄い作品になっていたんじゃないかと思います。現状は、ズバリそのものだったり、かすってたり、距離感がちょっとバラついている感じ。まあ著者の処女作である短編連作シリーズなんだから、思い付く度に新しいお話が作られてるのは当然。ただ、もし全体を設計した上で厳選したエピソード分だけ書かれていたら、これは文学作品の扱いになったかも。まあ電撃文庫ということでメインの対象は中高生でしょう。その世代には十ニ分に印象的な物語になっているはず。

(03/12/25)
リセット」 (北村薫) を読み終わりました。「スキップ」、「ターン」 との 3部作なんですが、前のふたつとはちょっと違いますね。これはもう読み所が全然違う感じ。ストーリー的には前ニ作の方が好きなんですが、この作品のリアリティを出すために調べ尽くされて書かれたエピソードや細かな描写に、もう圧倒されます。これほどの作品を書く労力、ちょっと想像を絶するレベル。


面白かった本メモ
オタクの迷い道
Y
黄泉がえり