シーズン総括 - 2008


シーズン結果

鹿島の連覇となった。昨年は 「世代交代を乗り越えて再びトップの位置へ戻った鹿島は、我々としては当然意識してしまう」 と書いたのだが、そんなことを言う余裕すらない状況となった。

2008 年のジュビロ磐田

Jリーグ昇格後初の二桁順位、どころの話ではない。16位で入れ替え戦に出場。かろうじて仙台に競り勝って残留決定。

財政難に苦しんで開幕前から低迷を予想されているチームが低迷するというのは理解できる話である。しかし、開幕前にジュビロが降格すると予想していた人はほとんどいなかったはず。やはりこれは異常事態である。このような異常事態はひとつの理由で起きるようなことではなく、複数の理由によって引き起こされた結果である。それらをひとつひとつ、もっとも重大な問題であったと思われる順番で指摘してみる。

【中断期の補強の問題】

どんなに能力の高い選手であってミスをするように、ミスを全くしないというのは無理。しかしミスをしたら直ちにそれをリカバーすればよい。

結果から見ても今季のジュビロの戦力が不足していたのは明らかである。昨年在籍していた同ポジション(ボランチ) の外国籍選手 3人を放出して、補強は他クラブのサブだった選手。さらにDFの高齢化などによる守備力の不足が囁かれていたが結局は補強なし。開幕時にそれでも乗り切れると判断した事はミスであった。ところがそのリカバーとして誰もが補強すると思われた中断期に、外国人枠を余らせてボランチ1人のみの補強。
現在のJリーグでは、外国籍選手を連れてきても活躍できるかどうかはわからない。実際ジュビロは過去にも獲得したのにほとんど使え無かったという選手がいた。それをわかっているのに外国人選手を 1人しか獲得しないなど判断は明らかに間違いだった。実際、獲得したロドリゴは外国籍選手としては最低限レベルの仕事ができた、というくらい。おそらく、能力の高いDFを獲得できていれば入れ替え戦まで行くことはなかっただろう。フロントは中断期の時点で、残留争いからは簡単に抜け出せると思っていたのだろうか? 明らかな判断ミス。

(余談だが、現在のジュビロは大型DFを獲得すると大きく影響が出たはずだと思う。それは様々な守備の点でもそうだし、それだけでなくセットプレーの攻撃面でも大きい差が出るはず。大型選手が一人入ることでその選手自身が得点できなくても、マークが代わることで他の選手の負担が軽くなる可能性がある。つまり前田をマークする選手の背が低くなる可能性があるのだ。
例えばリーグ終盤での柏戦でロスタイムのカレンのゴールというのがあったが、あれも中山(←松浦) 投入後であり、そうでなかったらカレンのマークはもっと厳しい状況だったかもしれない。もし、中断期に能力の高い大型DF を獲得していれば何度かセットプレーで得点した可能性があり、入れ替え戦まで行く状況は免れたのではないかと思う。)

【内山監督の資質】

内山監督が指揮を執った期間に一番感じたことは、“試合途中から内容が改善されるということはほとんどない” ということ。今年の傾向として、比較的試合開始時は良い状況であることが多い。ところが試合が進むにつれて劣勢になりそのまま試合が終わるというケースが非常に多かったように思う。確か前半戦のデータで “リードした試合で勝率 5割を切っている” という結果が出ているはずで、その事実がこの印象の正したを裏付けている。
具体的な点を一つ言うと、あれだけ村井の後を崩され続けて失点して、それに対して全く処方しない判断はどうかしている。(おそらくオフトはそこに問題があると感じ、ボランチを守備的な選手に変え、対戦相手によっては村井を使わないなどの判断もした。)

もちろん、クラブチームに名監督を求めるのは贅沢なのだろう。しかし監督の仕事として、試合までにちゃんと戦力を整えることか、試合中に適切な判断をするか、どちらができないと話にならない。
個人的に、山本監督、アジウソン監督、どちらも駄目だと思っている。しかし彼らはフロントを動かして自分の望む戦力を獲得したし、試合中に思い切った采配で流れを変えたこともある。もしかしたらこの 2人は経験を積むといい監督になるかもしれない。
しかし、内山監督については悲観的に思う。あの戦力で戦えると判断しておきながら、あれほど試合途中で状況を変えることができないなど、監督としての資質は全くない、といって良い。

【守備の戦力の問題】

リーグ終盤、オフト監督が岡田を起用した際に改めて気が付いた。ちゃんと 1対1 で粘っこく守備をするのが当たり前なのだ、と。(その岡田も入れ替え戦では散々な出来ではあったが、その辺りは経験不足もあっただろう。少なくともリーグ終盤の数試合、岡田は粘り強く守っていたと思う。)
正直、もう忘れていて自分でもわからなくなっていたが、ここ数年のジュビロの個の守備力は酷いものになっている。DF3人 とボランチがあっけなく抜かれ過ぎる。(加賀が抜かれてもなんとか追いつくくらいか。) かつてのジュビロは、服部や秀人が絶対的に 1対1 に負けない、それから山西らもしつこく守って容易くは抜かれない、という状況だったはず。あのレベルは優勝レベルなわけで、そこまでの贅沢は言えない。せめて個人が粘り強く守ってそう簡単には抜かれない、という守備力を作らなければこれからどんな戦術をやっても無駄である。

(このあたり、以前書いたこともあると思うが、ファネンブルグやスキラッチと毎日練習してたら守備能力は上がるはず。チームの個の力を上げるには、まずレベルを高い選手を連れてこないと駄目だろう。)

【3-5-2への不適】

いろいろ考えてみると、どうもジュビロは 3バックで使いにくい選手が多くなっているように思う。 かつてのように 3人のDF とボランチがかなりの守備的能力を持っているなら別だが、そうでない現状で考えると 3バック不適の選手という問題があるように思う。
前述したように、村井の裏を崩されたケースが多かったが、それは村井に限らず西や太田を起用しても同じようになる可能性がある。
トップ下も人材不足。本来ならば成岡などがトップ下の人材さったのだろうが、現時のサッカーではトップ下は動きながらプレーができる選手でないと無理である。そういう点はオフトによる松浦の抜擢はそのスタイル通りではあるのだが、いくらなんでも松浦一人の頼るなど有り得ない。
4バックと、守備専ボランチの形ができれば、豊富な攻撃陣について使い方にも多くのバリエーションが出せるのでないだろうか。

【怪我人の多さ】

まあ怪我人はどこのチームも同じだ、ということで言い訳にはできないのだが、それにしても多すぎた。
もしかしたら運が悪かっただけかもしれないが、怪我などの傾向など分析して問題があったかどうかの検証は必要。問題があれば対策するべき。

(それのしても、戦力とは余り関係ない話とはいえ、山崎、須崎 といった U-19レギュラーだった選手が怪我で大会出場まで逃してしまった事は残念だった。)

【外部要因】

外部要因というのは、誰もが認めるように今年の残留争いのレベルが高かったこと。例年であるならば、もっと落ちこぼれるチームがいたはずでこの戦力で若手に経験を積ませながらシーズンを乗り切るということもできたであろう。実際それだけの勝ち点は獲得しているわけだ。
だからこそ、開幕時の判断は仕方ないといってもいいが、その反面、既に書いた通り、中断期の補強判断ミスの罪は大きい。



選手個別について何人かにコメント。

FW陣。前田、ジウシーニョ、カレン、は他チームと比べても見劣りはしないだろう。もう少し決定力があがれば言うまでも無いが。
問題は萬代。はっきり言って、J1で使えるレベルではなかった。その事を責めても仕方ないわけで、そこを無理して使い続けて内山監督の判断は理解に苦しむ。まずは何か一つ、走ることでも、競り合うことでも、つぶれ役になることでも、どれか一つを J1 レベルにしてから起用して欲しかった。例えば、前田はいつからかヘディングで競り合う前に相手選手に体をぶつけるということをやるようになった。そして昨年くらいからカレンもそういうプレーをするようになった。これなどは練習すれば誰にだって出来る話だ。そういったことをやってから試合に使って欲しかった。
中山については明らかにバックアップなので今年のように怪我人続出ならピッチに立ってもらう。その役割で不満があるなら放出やむなし。
残念だったのは山崎の怪我。J1 のピッチに立ち、思ったようにプレーできないことを実感したところで怪我をしてしまった。その後何ができるようになるかが見所だったのだが。

MF陣については、まず駒野について言わなければならない。正直、期待外れだった。もちろん全試合出場でありチームに欠かせない戦力というのは間違いないが、現役日本代表レギュラーという活躍ではなかった。個人的に感じているのは、ピークを越えたタイミングの補強は金額を出すほど割に合わないということ。湯水のようにお金が出てくるクラブは別にして、日本人選手の補強をするならこれから伸びる若手か、移籍金のないベテランにするべきだろう。
村井について。その攻撃センスについては素晴らしいものがある。おそらく全盛期のスピードはなくなっているはずだが、タイミングで抜いてセンタリングするなどの専門技術はチーム内で突出している。その一方で守備の軽さはもうどうしようもない。その面について今更成長も期待できないだろう。村井の使い方として、その後ろを確実にカバーできるようなシステムでないと使えないだろう。
入れ替え戦でヒーローとなった松浦。おそらくこれから警戒され思うようなプレーはできないだろう。しかし、走りながらプレーができる、トリッキーなターンで前を向くことの出来る、そういった近代サッカーのトップ下に相応しい待望の選手。(残念ながら成岡にはできなかった。) 多少ミスがあっても使い続けて経験させて欲しい。
オフトが抜擢して起用した岡田は本来はボランチ。入れ替え戦ではやられたが、ちゃんと粘り強く 1対1 が出来る貴重な選手。守備の選手として計算ができるようになった。
リーグ途中で補強したロドリゴも少し期待はずれ。入れ替え戦でこそ中盤からの展開で貢献してくれたが、スピードがないのは不安。ミドルシュートもさっぱり。ゴールに直結するようないいところを狙っているのはわかるが、パスの精度がアバウト過ぎ。ただ、試合を観ると他の選手は迷わずロドリゴにボールを預けるので、信頼されているという印象はある。

DF。正直、茶野には今まで多くの不満を持っていたが、現状ではもっとも大事な選手となっている。(それだけDF陣全体のレベルが下がっている事が問題なのであるが。)
加賀はその身体能力だけは認められるが、軽率なタックルなどをしなくなるように経験を積んでもらうしかないだろう。
田中の契約なしは妥当だろう。ここまで代わりの選手を用意できなったことが問題。鈴木秀人は入れ替え戦の時のように貴重なバックアップとして契約したいが、その役割で不満があるなら放出もやむなし。もはやもうDF陣は選手構成から作り変えないと話にならない。

GK。川口の飛び出しミスが増えてきていることは気になるが、それ以上にバックアップの酷さはなんとかならないのだろうか。GK については育てる力がないなら取ってくるしかない。