シーズン総括 - 2002 1st Stage


シーズン結果

順位 チーム 勝点 得点 失点   予想順位(優勝確率)
優勝 磐田 36 13 1 1 39 17 +22   1-4 (30%)
2位 横浜 33 11 3 1 28 11 +17   1-8 (10%)
3位 名古屋 29 10 0 5 28 18 +10    
4位 G大阪 27 9 1 5 35 19 +16    
5位 鹿島 27 9 0 6 21 18 +3   1-6 (20%)
6位 京都 24 9 1 5 26 18 +8    
7位 清水 24 8 3 4 17 19 -2   1-5 (20%)
8位 市原 23 7 3 5 22 23 -1    
9位 仙台 20 7 0 8 23 17 -4    
10位 FC東京 17 5 2 8 23 27 -4    
11位 浦和 14 5 1 9 21 24 -3    
12位 東京V 13 5 1 9 15 24 -9    
13位 神戸 12 4 1 10 12 22 -10    
14位 11 4 0 11 20 31 -11   1-7 (20%)
15位 広島 10 3 1 11 14 26 -12    
16位 札幌 6 2 0 13 15 36 -20    

予想通り、本命磐田の優勝となった。が、想定していた優勝パターンとは異なるものだった。序盤に戦力を欠くことで 2敗程度、W杯明けの後半に戦力が揃ってからは 1敗の、合計 3敗程度で優勝、それ以上星を落とせば他のチームの優勝という予想だった。
ところが蓋を開けてみると優勝ラインは 1敗。確かに序盤の戦力が整わない時期に、対戦する他のチームの状態も良くなかった事が大きかったが、それにしても横浜戦以外をひとつも落とさず拾ったのは大きかった。そして、W杯明けは、いくつかあった難しい試合で全て勝ち点を拾ったことが大きかった。
その横浜が 1敗だったこと、特に磐田との直接対戦で完勝して独走したのは意外だった。中村俊輔がいたら、全勝優勝も可能だったかもしれない。まあ、中村俊輔シーズン途中での移籍という前提がなければ奥の加入はなかったであろうから、この仮定は意味がないのだが。
それ以上の予想外は名古屋の躍進。どうやら新外国人選手ヴァスティッチの獲得と、ベルデニックの戦術浸透がスムーズに進んだのだろう。2nd ステージ要注意チームである。
G大阪の躍進も予想外だった。磐田との直接対戦の大一番に勝っていれば優勝の可能性もあっただろう。ここも若くて勢いがあり、2nd ステージは要注意。
そして、鹿島は例年のように途中から外国人選手を獲得。誰もが 2nd ステージ本命とみるだろう。
期待外れは清水と柏。特に柏の残留争いにまで関わる低迷を予想した人はいなかったのではないか。解任した西野氏がG大阪を躍進させたのは皮肉な話である。

1st ステージのジュビロ磐田

開幕時、名波、服部を欠くチームは、トリプルボランチという布陣を選択した。残念ながら、これは上手くいったとは言えなかった。しかし、それを責めるのは酷というものだろう。名波、服部というほぼ同ポジションの中心選手を複数欠いたシステムが簡単に機能するはずはない。加えて、この頃は高原は明らかにコンディションが悪く、チームとしての状況はこれ以上ないというくらい悪いものだったはずだ。それでも、この期間に星を落とさなかった事が大きかった。
そして、W杯中断明け。昨年同様の 『N-BOX』 となる。ところが、結果だけだと同じ成績で優勝した昨年の 1st ステージに比べると、『N-BOX』 は機能しなかったと言えるだろう。これは、研究されたという面もあるかもしれないし、他チームの世代交代が始まり磐田のプレスをかいくぐるトラップやパスなどの技術を持った選手が増えてきているせいかもしれない。奥が抜けたことによるわずかな意志疎通のズレや連携の悪さもあるかもしれない。
加えて、実際のところW杯明けの選手のコンディションはあまりよくなかった。名波は要所では決定的なアシストを見せたが、本調子ならもっとパス成功率が高い選手。セットプレーのキックも名波にしてはミスと言えるキックが多く、終盤では蹴らないことも多かった。服部はドリブル時の体の入れ方などでの進歩も見られたが、名波同様に本調子ならあれほどミスパスする選手ではない。福西は非常に出来の良いゲームがあった一方で疲労のため欠場という試合があった。さらに、退場、出場停止の多さ。ベストメンバーが組む事ができない。山西や代役はそれなりに仕事をしたとは思うが、やはりレギューラー陣に比べると精度や連携で劣る。
味方のミスを意識すると選手は思い切って前へ出ることができなくなる。これらの積み重ねが、昨年できていたプレスができなくなり、結果的な失点の多さにもつながったのだろう。

しかし、そういった問題がありながら優勝へとつながったのは、ひとつは他の選手の頑張り。特に終盤には高原の活躍が優勝を引き寄せたと言っても良い。
もうひとつは粘りであった。退場で一人少ない状態、2点リードされた状態、それらの逆境をひっくり返した事が大きかった。のちに中山がインタビューでこのように語っている。『試合中に意志の疎通ができない状態に陥ることがあるが、そういう時に一人一人が考えて判断することができる』 他のチームにも良い選手はいるし強いチームはある。しかし優勝を分けた磐田との差は、突き詰めるとここに行き着くのかもしれない。

             
  2002年 1st ステージ(後半) の基本布陣  
             
             
    中山   高原    
             
    藤田
(金沢)
  西
(藤田)
   
      名波      
    服部   福西    
             
  大岩
(山西)
  田中   鈴木
(大岩)
 
             
    ヴァンズワム    
             

監督采配についてだが、やはり遅いのではないだろうか? 結果的に延長で勝った試合が多かったが、考えてみて欲しい。延長Vゴール 3勝は、90分 2勝 1敗と勝ち点は同じである。1引き分けと延長V1勝は、90分1勝1敗と同じ勝ち点である。それらの結果の選手に溜まる疲労はどうなるだろうか?
夏の週2回のゲームで、磐田の選手のプレーが重かった試合が何度かあった。もはや磐田の選手はベテランが多い。春や秋なら問題ないかもしれないが、夏場に延長の試合は磐田にとって不利なのではないだろうか。

選手個人としては、やはり高原から述べたい。もはや磐田サポーターだけでなく多くのサッカーファンが高原のプレーに注目している。既に書いたように、開幕時の高原は明らかにコンディションが悪いように見受けられた。例のエコノミークラス症候群は、春先の代表遠征後に発病ということになっているが、実はその前から小さな症状があったのではないだろうか? しかし、W杯終了後の高原は完全に復調した。『N-BOX』 による中盤でのプレスが昨年ほどではなくなってしまい、失点も増えてしまい、得点力も下がったはずだったのを、半分くらいは高原の個人能力の上積み分がカバーしたと言ってもいいかもしれない。それほどまでに今季の高原がチームにもたらした影響は大きかった。
もちろん、どこでも言われているので改めて言うまでもないあ、高原の得点力に、中山のサポートは外せない。高原が大きく成長してるのはわかるにしても、中山がいまだに少しづつ成長しているようにみえる。凄いと言う意味では、本当はこちらの方が凄い事なのかもしれない。
中盤のベテラン、名波、藤田は、当然のようにそれなりの仕事はしている。いつも通りである。ただし、彼らに関しては、そろそろ彼らがいなくなってからのことを考えなければいけない。彼らが安定した力を発揮する分だけ、世代交代が難かしいという証明となる。
中盤の中堅、服部、福西は、W杯後にちょっとした成長を感じた。福西は自慢の小技に磨きがかかり、プレーに余裕が出来ているようだ。さらに、さらっと汚いプレーをしJリーグのヒール役として他のチームからは嫌がられているかもしれない。服部はドリブルで進歩が見られた。ドリブルをはじめて、相手の選手に体をぶつけて抜いていくプレーは、昨年までは一度も見たことがないと思う。
中盤の若手、金沢(福西とは同い年だが)、西、ジレ、河村らは、他のチームならレギュラー定着できるかもしれない。しかし、磐田の他の中盤に比べるとどうしても不満が残ってしまう。まあ、調子のいい選手が試合にでるという競争となるのだろう。
DF に関しては、ちょっと失望している。特に田中、大岩に関してはどうも不安だ。相変わらず相手へのパスもあって油断できないし、1対1でも安心してみていられるのは鈴木秀だけ。しかも鈴木は攻撃参加してのアシストなど成長のあとがうかがえる。元々スピードがあるので攻撃参加は武器になるかもしれない。ところが、その鈴木秀は今季は退場、出場停止を連発。お陰で 1対1 があまり強くない田中、大岩に負担がかかったというのもあるだろう。その出場停止で山西がいつものようにサブの仕事をこなしたことは評価したいが、先発の 3人に取って代わる安定感は感じられない。
最後にスーパーサブ川口について。監督采配にも絡むが、あれほどの決定的な仕事をしておきながらサブに甘んじるのもどうか? 他のクラブからオファーが来たらどうするのか? 逆に言うと川口は守備をしてレギュラーになる気でやって欲しい。

優勝したというのにこれだけグチになってしまう。これもチームの目標がアジアの頂点ということならば仕方ないだろう。


(追記 2002/08/20)

『今年はプレスがかからなかった』 と書きましたが、どうやらこれは昨年との戦術の違いだったようだ。つまり、意図的にプレッシングを抑制した、ということらしい。
確かにこれならば納得いくという現象がいくつも説明できる。

2001年 ・激しいプレスで相手チームが前にボールを運べないシーンが度々見られた。
・相手を圧倒する試合など。
・試合終盤で選手のスタミナに不安 -> チャンピオンシップ第1戦 2点差リードから鹿島に追いつかれた
2002年 ・昨年ほどの激しいプレスはあまり見ることができない。
・昨年ほどの圧倒する試合は少ない。
・試合終盤でも選手に余力があり、終了間際での決勝点や、逆転などがしばしばみられた。

ここまで考えてみると、“鈴木監督は侮れない” と感じる。

というのも今シーズン、勝っている試合の終盤でプレスをかけるシーンに感心した記憶があるからだ。つまり、闇雲にプレスをかけるのではなく、試合展開などでタイミングをプレスをかけることを考えているに違いない。

昨年のチャンピオンシップで鹿島に追いつかれたこと。ファンの多くは選手交代や鹿島の粘り、などを原因と考えてそれを忘れていた。あの失敗を取り返そうと、どうすればあのような失敗をしないか、一番深く考えていたのは鈴木監督だった。