サッカーとバスケットボール
1999/04/17
サッカーとバスケットボール。
ある面大変似ていますが、ある意味対極にあるスポーツだと思います。
似ている面というのはわかりやすいです。勝利する為のプレー、すなわち得点する、失点を防ぐというプロセスです。これはおそらく「ゴールするスポーツ」である、ハンドボール、ホッケー、など全てに共通でしょう。
ゴールするには数的優位、すなわち1対0、1対1、2対1、……、など決定的な形を作ることが得点への近道。その為に、個人技やチームプレイを織りまぜます。
明らかな力の差がある場合は別ですが、「偏った攻め」というのは通用しなくなります。
これは、個人技(ドリブル)、チームプレー(パス)、という偏りだけではありません。サッカーでロングシュートを打ってディフェンスを外に引っ張り出すのとまったく同じで、バスケでもインサイド、アウトサイドを使い分けるのが絶対に必要です。
ポストプレーが効果的であるのも同じ。いったんポストに入れて、サイドにさばくといったプレーは絶大な効果を発揮します。
ディフェンスの戦術も同じ。ゾーンで守るか、マンツーマンで守るか。でも実際にはゾーンであろうと1対1のディフェンス力が大事ですし、マンツーマンで守っていてもカバーリングという能力が大切になります。
さて、ここで述べたいのは違う面について。
「アメリカのスポーツとヨーロッパのスポーツ」でも書きましたが、思想的な違いが大きいように思います。
まずは、個々の違う個所を挙げてみましょう。
サッカーではボールがグラウンド外に出ている時間も時計は止まりません(怪我人の治療などでは止まります。)が、バスケットは止まります。ですから、サッカーにはロスタイムがあり、バスケットにはありません。
おそらくサッカーは単に歴史的なやり方を守っているだけだと思います。一方、バスケットに関しては、曖昧なロスタイムや、時間稼ぎのプレーを無くすためにこういうルールになったのではないでしょうか?アメリカではそういうプレーが嫌われていると推測できます。
次にリスタート。サッカーで相手の守備隊形が整わないうちにボールをリスタートさせるというのはよく見るシーンです。バスケットでは、原則としてはそういうプレーはルール上できません。(例外もあります。) これは、守備隊形が整わないうちのプレーを、ヨーロッパなどでは守備隊形が整えられなかった方が悪い、と考え、一方のアメリカでは、それを卑怯だと考えた、あるいは簡単に得点につながるので面白くない、と考えたのではないかと想像できます。
それから、選手交代のしくみ。
サッカーは選手交代は3人のみ。一度交代した選手はもう出場できません。3人交代した後怪我人が出ても、人数が少ないままで戦わなければなりません。
バスケットにはそういう制限はありません。疲れた選手はベンチで休ませて、再び良いコンディションでプレイを続けることができます。この仕組みは若手育成などには適しています。少しづつ経験を積ませることができますから。
サッカーではそういうわけにはいきません。若手選手に回ってくるチャンスはわずかですから、そこで結果を出せるかどうか、という厳しさがあります。
反則による選手の退場も、サッカーは交代ではなく一人少ない状態で戦わなければ行けないのに対し、バスケットは交代要員を入れることができます。
単に試合観戦するなら、一人減ることで一方が圧倒的に不利になっては、ゲームとしての面白味がなくなる、そういう考えがあっても不思議ではありません。
プロの世界(バスケの場合は NBA )に限れば、選手獲得の方法も違います。
完全な自由競争のサッカーに対して、NBA ではドラフトなどでチーム力が均衡になるようにしてあります。
当然、サッカーは経済的に豊かなチームとそうでないチームの格差が明確に出てしまい、経営に失敗したチームはどんどん落ちぶれてしまう可能性があります。そして下部リーグに降格という事態を迎えてしまうのです。
こういったことから僕が感じるのは、大袈裟な言い方ですが「サッカーの方が人生っぽい」。
時間稼ぎ、相手の隙をついたリスタート、一人少ない絶対的に不利な状況、ミスジャッジ、経済格差、……。
実際の世の中は、決して平等な条件じゃないし、運不運で一杯だし、いつも正しい評価が下されるとは限らない。要領のいい人、あるいはズルイ人が得をすることだってある。資本主義は金持ちに有利に出来ている……。
ほら、サッカーと同じじゃないですか。
さらにこじつけるならば、サッカーにはバスケのスリーポイントや、野球のような逆転ホームランはありません。
どんなにリードされてても、夢のような大逆転はありません。1点づつコツコツ返さないといけないのです。
これらがサッカーが世界で人気がある理由、なんてことは言いません。そうではなくて、これらの特徴自体が、サッカーを好む世界中の人にとって全く自然な物なのでしょう。
それに比べると、一方のバスケットのようなアメリカのスポーツのシステムは、全てが管理された箱庭の中のゲーム。底が浅い、なんて言うと言いすぎでしょうか?
だからと言って、バスケットがつまらないという話ではありませんが……。
(ご存知のように、僕はバスケットのプレイヤーですから、バスケは大好き。)
サッカーとバスケット、いや突き詰めるとサッカーなどとアメリカのスポーツは同列に扱わない方がいいのではないかと思うのです。楽しみ方自体が少し違う、そう、同じモノサシで見てはいけないのです。
その楽しみ方とは、サッカーは「自分がサポートするチームを生活の側に置いて楽しむもの」、バスケットは「そのゲームを楽しむもの」、ではないでしょうか?
ヨーロッパでは、「住む家や恋人は変えることが出来るが、応援するチームを変えることができない」というようなことが言われるそうです。
いかにチームに対するこだわりが重要なのかわかります。
( 追記 : 1999/04/29 )
本文の趣旨とは全然関係ないですけど、その他のルールの違いを書いてみましょう。なかなか興味深いです。
バスケットと違って、サッカーはスローインする時ラインを踏んでも OK です。両足とも一部がラインの外に触れていたらOK 。昔ジュビロにいた米澤という選手のロングスローが必ずラインを踏んでいたので、ルールブックを調べて知りました。
ん、でも投げた時、踵が浮いてラインの外側に接していた部分がなくなったらファールスローじゃん?うーん、米澤のロングスロー怪しかったかも。
アウトオブプレー、アウトオブバウンズについて。
サッカーは空中、地上に関わらず、ラインの外にボールが出たらアウトボールですが、バスケはラインの外の床などに触れるまで。
一方、プレイヤーの体については、サッカーはラインの外に体があっても OK だが、バスケは中にいなければ駄目。ラインを踏んでも駄目。
バスケプレイヤーがサッカー観戦する場合、ラインの外に立ってライン上のボールを扱う姿に慣れるまで結構かかります。