サッカーというスポーツの不思議な特徴
1999/10/10
以前から漠然と、サッカーというスポーツには、他のスポーツにないある特徴があるのではないのかと考えていました。あることをきっかけに、その辺りのことが整理できましたのでここで書いてみたいと思います。
きっかけとは、ラグビーのワールドカップです。(ラグビー云々の話は『ラグビーの話』参照のこと)
日本代表は、外国人国籍の助っ人(サッカーで言うと、元ブラジル代表などを助っ人にしてるようなもんなんだけどなぁ……)を多数参加させたにも関わらず、決して世界トップチームとはいえないレベルの、西サモア、ウェールズに完敗。
ほんとに完敗で、10回やっても一度も勝てないだろうな、というくらいの力の差を感じました。
このことをサッカーに結び付けて考えることはいろいろできますが、今回は、種目別の世界との差については触れません。(面白いテーマなのでいつか書いてみたいですが。)
ここで考えてみたいのは、明らかに力の劣るチームが、勝つためにできる努力について。
今回の敗戦、明らかに力の差があり、個人的印象では、何度やっても、どんな戦術を用いても結果が変わるとは思えません。
しかし、きっとこういうのって、バスケットボール、バレーボール、その他の競技でも同じでしょう。
しかし、サッカーならどうでしょうか?サッカーには昔から「ジャイアントキリング」(大番狂わせ)という言葉が当たり前のように使われています。かなり強い相手でも、10回やったら、1〜2回は、引き分けに持ち込むことはできそうだし、大まぐれで勝つこともありそう。実際、アトランタ五輪の日本対ブラジルで誰もがそれを目にしたわけで……。
こんなことが起きてしまうのは、サッカーというスポーツの特色として、得点することが難しく、かつ偶然の要素も大きく含まれていることから、たまたま弱いチームの方が点を取ることがあるから、だと思っていました。
確かにこれ自体は間違っていないと思います。
しかし、ただその理由で偶然というわけではないように思います。もし、あのアトランタで、日本がブラジルと真っ向勝負していたらあんな結果になったでしょうか?あの試合、日本は狙った、あるいは結果的にそう見えたかは置いといて、とにかく守備的な戦い方をして「あわよくば引き分けでも」という戦い方をしたのです。そう、「守りに入った」のです。
ここでふと気がつきました。「守りに入る」ことが出来るスポーツって、実はサッカー以外にないのでは?
バスケット?まさか一人自陣に残して守備固めして攻める?そんなの聞いたことありません。(一人セイフティのポジションに残るのは当たり前だから守備的とはいいませんよね?)
ラグビーは?下がり目で守る?そんな馬鹿な。陣取りゲームのラグビーで下がったら不利になるだけ。
バレーボールに至っては「守りに入る」やり方も思い付きません。守備の上手い選手で固めるってことかな?でもバレーボールに引き分けはないわけで、守るだけでは……。
ボクシングには、守りを固めてカウンター狙い、という戦術がありそうですが、それでも判定に持ち込まれたら負けですね。柔道や空手も同じ。
前から考えていたことというのは、こういうことでした。
サッカーというスポーツは 「守ってカウンター」 という戦術がある為に、チームの実力と勝敗の結果が、比例しないで “ばらつく” 傾向があるのではないか?ということなのです。
サッカーやバスケなど種目に関わらず共通しているのですが、守備システムが確立している近代スポーツにおいては、遅攻で点を取る事は大変難しくなっています。現在は流れの中からの得点の多くは、守備システムが出来上がらないうちに攻める速攻によるものなのです。
カウンター攻撃とは要するに速攻に他なりません。得点するのに有利なカウンターという攻撃をすることによって、実力とは違う結果がしばしば出るのではないでしょうか?
ここに自分のチームの他に5つのチームがあったとします。
かなり強いチーム 実力が少し上のチーム 同程度の実力のチーム 実力が少し下のチーム かなり弱いチーム 「ジャイアントキリング」などの話ではなく、何度も試合をしてそのトータルの結果を考えてみます。
バスケットのような種目だと、これらのチームとの対戦はこうなると思うのです。
かなり強いチーム 大きく負け越し 実力が少し上のチーム 負け越し 同程度の実力のチーム 五分 実力が少し下のチーム 勝ち越し かなり弱いチーム 大きく勝ち越し 付け加えるならば、実際はバスケでは、かなり強いチームには絶対勝てないし、かなり弱いチームにはまず負けることはありません。バスケにジャイアントキリングはないのです。
そして、これらの結果をグラフにするならばそれは5チームの実力に比例した線が描けるはず。
ところが、サッカーの場合は
かなり強いチーム 大きく負け越し 実力が少し上のチーム 意外と五分に近い 同程度の実力のチーム 五分 実力が少し下のチーム 意外と五分に近い かなり弱いチーム 大きく勝ち越し こうなるのではないかと思うのです。「意外と五分に近い」のは、守ってカウンターという戦術があるから。(厳密に言うと、「守ってカウンター」というプレーになるくらいの力関係の時に、波乱が起きやすく、そうならない程度だったら順当になる可能性が高い、です。)
これ、まったくもって理屈からの仮説であって、実際のところはどうなっているのかわからないんですけどね……。
(そもそも、実力ってものを調べること自体、結果を頼りにするしかないわけで、結果が出たら上記前提が崩れるというジレンマが……。)
さて、ジャイアントキリングを含め、こういうサッカーの特徴から来る効果は、小国の代表チームが、隣の大国のチームに勝ってしまうことがあること。
それでなくてもナショナリズムを喚起する代表戦で、ほとんどの試合が実力通りに決まってしまっては、応援してても駄目だな、という気持ちの方が先に立ってしまいます。
しかし、意外と引き分けや番狂わせが起きてしまうことから、サポーター達が「夢見る」ことができる、これが、サッカーが世界の人気ナンバーワンスポーツである理由のひとつではないかなぁ?と思うのです。(あくまでも「ひとつの要素」であって、メインは他の部分だとは思いますが。)
ついでですが、そんな実力が一試合の結果に反映されないスポーツであるサッカーであっても、リーグ戦やホーム&アウェイなどで、複数のチームが多数の試合を行ったら、不思議と実力に近い結果になるものなのです。
プロの出来る前の日本が、間違ってワールドカップに出場することがなかったのがそう。
アトランタ五輪予選リーグで、日本はブラジルに勝っても決勝トーナメントに進めず、ブラジルとナイジェリアが決勝トーナメントに進んだのもそう。
W杯フランス大会アジア予選で、結局は、サウジ、韓国、日本、イラン、という前評判の高かった国が本選出場果たしたのもそう。UAE が取りこぼさずに勝ち続けるなんてことは、そうそうは起きないのです。ホントに不思議ですが、ちゃんと確率・統計の結果が現れるってことなのでしょう。