マイケル・ジョーダン

1999/02/25

マイケル・ジョーダンが引退しました。

さすがに、バスケに興味がない人であっても、あるいはスポーツ全般に興味がない人であっても、マイケル・ジョーダンという名前に全く聞き覚えがない、なんて人は少ないでしょう。

それまでの NBA のスター選手に「彼はバスケットシューズを履いた神だ」と言わせ、他のプレイヤーに「試合中見とれることがある」とため息をつかせる選手。

彼の影響は単にプレーだけにとどまりませんでした。
ナイキのシューズ、エア・ジョーダンは世界的なスニーカー・ブームに大きな影響を与えたシリーズのひとつ。
それからそれまでのバスケのピチピチのパンツは、彼の着たダブダブファッションへ様変わりしました。それも世界中でです。

彼による経済効果は100億ドル(約1兆円)だとか。


とはいえ日本に住んでいる限りは、ちょっと意識的に情報を得る努力をしないと、ジョーダンのプレーを見る機会はなかなかありませんね。
僕も実際に見た(もちろんTVで見たという話)のは、一時引退間の最後のシーズンと復帰後の3連覇の時だけ。
でもその代わりジョーダンの企画物 LD はかなりたくさん持っています。

それではここで、リアルタイムでのジョーダンを見損ねてしまった残念な人向けに、どういう選手だったのかを簡単に紹介してみましょう。言葉で伝えるのは無理だとは承知の上ですが。
(それで興味が出たら、一度ビデオなど見てみたらどうでしょう。おそらく見て損することはないです。)

ジョーダンが注目を浴びたのは、おそらく最初は身体能力です。
若い頃のジョーダンの映像を見ると、たいていは相手ディフェンスの間を駆け抜け強引にダンクシュートするシーンが多いです。
でも、それだけだったらただの名選手で終わったかもしれません。実際 NBA にはジョーダンのように高く長く「飛ぶ」と形容される選手がいないわけではありません。

その後のジョーダンは、チームを勝利へ導く選手になりました。
ディフェンスでもトッププレイヤーであることを実証してみせ、ダンクだけでなくミドルシュートやロングシュートでも点が取れることを証明し、チームプレーとしてのアシスト(得点に直結するパス)をする能力も発揮しました。それからベテランの域に入ると、ジョーダンの代表的なプレーのひとつになった華麗なダブルクラッチ(空中でワンモーションいれて相手をかわしてシュートするプレー。個人的には一番好きな彼のプレーです。)を見せるようになりました。
そして、何よりもゲームの勝負どころで決定的な仕事をする選手になったのです。

試合の終盤、ここで入れたら逆転、あるいは勝利を決定づけるというシーンで、彼はことごとくシュートを決めたのです。

僕がTVでみたあるゲームは、ジョーダンが「ゲームを支配」していたものでした。
NBAは4クオーター制です。交互に攻撃するというバスケのルールにおいては、それぞれのクオーターの最後にどちらが得点を入れたかというのは、最終的な合計点に大きく影響します。その為、各クオーターの最後の十数秒は、わざと時間をかけてぎりぎりにシュートを決めて相手に攻撃する時間を与えない、というプレーが繰り返されます。 NBA の見所のひとつと言ってもいいでしょう。

その試合、第1クオーターで彼は、相手がぎりぎりでシュートを外した残り数秒でドリブルでディフェンスをかわして前進。残り時間がないので、ほとんどコートの中央部からのロングシュート。いちかばちかで投げたのではありません。ちゃんと頭上にセットしたジャンプシュート。そうやってゴールを決めました。
第2クオーター。今度は自分が時間をかけてぎりぎりになってからドリブルで切り込んでジャンプシュート。これも軽々と決めてしまいます。
結局そんな状況では結果は見えていて、終盤はベンチで随分休んでいたにもかかわらず、確か最終的には一人で50点くらい取ってしまいました。
全員で合計 100点前後のバスケで、ひとりが50点です。しかも、世界中から集まるスター選手の中で。
それが奇跡ではなく、年間通じて当然のように何度かあり、しかも緊迫したプレーオフでもやってしまうのです。

あの、世界中から集まったトッププレイヤーの中で、どうしてこのような図抜けた存在なんていうこと起きてしまうのでしょう?こんなことは他のスポーツでは見当たりません。サッカーや野球や、その他どのスポーツでも、いやスポーツ以外の芸術でもなんでもいいのですが、歴代最高の選手や人物を決定するのは至難の技です。ところがバスケに関しては、おそらくほとんど圧倒的な数字で「ジョーダンが一番」という結論で、みんなが納得するのです。

まあ考えられるのは、身体的なもの、精神的なもの、両方がトップであることなのでしょう。
いわゆるスーパースター達も、実際はどちらかがトップというわけではないのでしょうね……。

(補足:良く考えるとそれだけじゃないですね。サッカーでいうところのストライカーとファンタジスタの両方を兼ね備えている、しかもとびっきりの、というのが一番大きいかもしれません。ゲームメーカーとは言えないですが。 -- 1999/02/28 )

そうやってジョーダンはバスケという枠を飛び越えて、世界のスーパースターになりました。

このスーパースターですが、アメリカ社会にとってはまた別の意味を持つ、という話を聞いたことがあります。
それまでの黒人のスーパスター、例えばモハメッド・アリなどは、スーパースターには違いないが、それは黒人達にとってのスーパースターで、白人にとってのスーパースターではなかったのだそうです。
そして初めて、白人、黒人を問わず、スーパースターになったのがジョーダンなのだそうです。


ところで、もし、マイケルジョーダンがサッカーをやっていたら?

ジョーダンは身長198cm。ジュビロにいたパウス(193cm)より高いです。しかも垂直飛びは 120cm くらいは楽勝で飛べるはずです。(ジャンプすると 3m05cm のバスケットのリングより遥かに頭が出ているから。)
また、100kg を超える大男達とポジションの取り合いをするフィジカルの強さ。(本人は91kg、体脂肪率3%)
アリウープ(空中でパスを受けてそのままダンクシュートするプレー)の上手さから考えると、ボールの落下点に入るセンスは抜群。
恐らくヘディングは無敵でしょう。
更に、MLB にチャレンジしていた時に内野安打が多かったように俊足です。
Jリーグ辺りの下位チームにいたら、カウンター要員として絶大な力を発揮するでしょう。
2人くらい常時張り付けて反則気味に押さえてないと、落下点に入られたら競える選手はいません。

まあそういうことを言い出すと、ジョーダンに限らずアメリカの底力を感じますね。
ジョーダン程度の身体能力のある選手はごろごろいるわけで。
アメリカがサッカーに本気で取り組んだら、世界の勢力地図は変わってしまうでしょう。


マイケル・ジョーダンについて一言いいたい人はたくさんいるわけで、

マイケル・ジョーダンという男

『イチローを脱がす』 イチローのコレクション「エア・ジョーダン」について

マイケル・ジョーダンの本

I Love Jordan

ジョーダンで検索すると、もうきりがありません。