続・『買ってはいけない』

1999/11/14

『買ってはいけない』は、200 万部を越えるベストセラーとなりました。

そして、巻き起こったのが「買ってはいけない」論争。
週刊誌での討論から、続々と発売された、『「買ってはいけない」は買ってはいけない』、『「買ってはいけない」は嘘である』、その他多数の反論書。

それらの反論本は直には読んでませんが、『「買ってはいけない」大論争』(鹿砦社)という本を買ってきて読みました。この本は、サブタイトルに 「『買ってはいけない』をめぐる論争の意味と本質とはなにか?」 とあるように、(支持を含めた)論争をひとまとめにしたものです。

どうやら論争に関して、意見が一致していると言えそうなのはこの二つ。

事実誤認や、科学的根拠に問題がありそうなものの例をいくつか挙げるとこんな感じ。

 

    買ってはいけないの記述   反論
黒豚特選ロースハム   添加物で鮮やかな赤色を保つ、亜硝酸ナトリウムは青酸カリの毒性に匹敵。   亜硝酸ナトリウムはおいしさと安全性の為に使われている。発色性は二次的な要素。
メルシャン ワイン   酸化防止剤の亜硫酸塩は、車の排ガスと同じもの。   亜硝酸塩なくては、ワインは作れないのはワイン通なら誰でも知っている常識。
亜硫酸ガスと水に溶けたものを同一視するのは間違い。
ドモホルンリンクル   薬事法違反の催眠化粧品。   成分誤認の事実あり。
引用の資料は既に使われていない古い物。
液体ムヒS   副作用の強いステロイド剤。   文中、対処療法を認めないのは非常識。
正露丸   発癌性物質のクレオソート、環境ホルモンのフェノールやクレゾールを含む。   成分誤認の事実あり。

 

Column で 「買ってはいけない」 を取り上げた時、確かに僕も自分の知識に照らし合わせて、科学的根拠に疑問を感じたものがありました。専門家に言わせると、そういうものがかなり多いようです。

その他にも反論はいろいろあります。
話の展開としての矛盾。例えばハンバーガー批判は、結局肉食批判をしているにすぎない。
そのコンセプトの反する矛盾。商品名を出してトップメーカーを批判することによって業界全体への警告とするはずなのに、弱小企業を批判しているケースがある。
だからといって反論が「買ってはいけない」の全てに反証を示しているわけでもありませんが。

ここでは、それらの具体的な話についての検証をしたりするつもりはありません。興味のある方は御自分で調べてみるのもいいでしょう。

現時点で、これらの論争から得られた有益な結論といえるのは、情報公開をするべきであるということ。
つまり、その商品に使われている材料、材質、添加剤などを公開すること。
その情報公開の元で、議論を行い、最終的に消費者が自分の判断で選択すること。
そうあるべきであることを明確にするきっかけとなった「買ってはいけない」の意義は大きいでしょう。


さて、ここではそれ以外に僕が感じたことを書いてみます。

まずはこの、「
週間金曜日」について。
いくらなんでも、これほどまで科学的根拠の問題が指摘される状況はいかがなものか?
で、編集委員には
News23 の筑糸哲也がいるのですが、彼については、最近こんなことがありました。

先日ネットを大騒ぎさせた「
東芝問題」はご存知ですね?
インターネット上に、東芝のユーザーサービスとのやり取りの音声を載せ、東芝に謝罪を迫った事件。
その事件を
News23多事争論(1999/8/15)で、筑紫氏は「便所の落書きに近い」という発言をして物議をかもしました。それ以外にも、自分の電話のやり取りの録音を「傍受されたもの」と発言するなど、その見識を疑われ、ネット上では筑糸哲也に関する掲示版なんかもできていました。タイミング的にも、盗聴法が問題になっていた時期で、ちょっと意図的なこじつけを感じました。
(この「
傍受発言」への抗議に対して、News23 は「当番組では訂正するつもりはない」と回答しています。)
まあその時点では、確かにネット上には「便所の落書き」的なものも多数あるから仕方ないかな、と思いつつ、一方のネットの有用性(これを読んでいる方はよくご存知のはず)について触れないのはいかがなものか、と思った程度。 (「傍受」は明らかな失言だと思いますが。)

そして、この事件からずっと後になって
News23 でこんなやり取りがあったのです。
正確に覚えているわけではありませんが、草野満代の「今ではインターネットなしでは生活できない」というような内容の発言に対して、筑紫氏は「全然やっていない。そんな時間はない。」と発言。

これには呆れました。なるほど、「便所の落書き」発言はその程度の経験からの発言でしたか。
インターネットを使いこなした人の発言ならわかるのですが。
といったことから、僕の中では筑紫哲也は「信用できない人物」と認定されています。ですから、彼が編集委員をやってる雑誌も「信用するのは疑わしい」という印象を持っています。
「疑わしい」からといって、全てを否定することはないですが。


最後に、全然別の話を。
今回の論争にも出てこないのが、前回指摘した「これらの内容が TV や雑誌で取り上げられることがない」ことについてです。
実際、ある作家が週刊誌でのエッセイで書いていましたが、ある TV番組の収録で『買ってはいけない』が話題に出たところ、気をきかせた他の出演者が「その話は駄目」と忠告してそれっきりになったとのこと。
情報公開して議論をしよう、と言ったところで、結局は TV で扱われることはないわけです。企業側が、TV での論争をする自信がない、ということでしょうか。
実はこちらの方が難しい問題かな、と思うのですが、この状況が簡単に変わるとも思えません。

TV がすべての事実を伝えているわけではない、ということは肝に銘じておくべきでしょう。


『「買ってはいけない」大論争』には、様々な立場の人が投稿しているのですが、その中で僕がもっとも公平に感じたのが、ある医師の論評でした。
その方の Homepage とその文がネット上のありましたのでご紹介します。

健康情報の読み方 (「買ってはいけない」を考える)


(追記 1999/12/18)

『「買ってはいけない」論争解決編』(DATA HOUSE)という本を見つけました。
関連本の中で秀逸と言えるでしょう。

『買っていはいけない』で批判された、『「買ってはいけない」は買ってはいけない』で弁護された全ての商品について、両方の意見のどちらが正しいかを判定した本です。

『買ってはいけない』を読んで悩んでしまった人は、とりあえず、これを読んでから御自分で判断されるのが良いのでは?
というか、先の2冊を読まずに、これだけ読めば十分かもしれません。