軍艦の話
1999/02/10
子供の時、プラモデルをよく作りました。最初は戦車なんかが多かったんですが、途中から軍艦が気に入って、随分作りました。押し入れの中に本棚を入れてずらりと並べていたくらい。
確か各社共通規格の 1/700 のウォーターラインシリーズというやつでした。
実は面倒なのと難しいので、色は塗らなかったんだけど。
さて、それでどうして軍艦かというと、もちろんデザイン的なものもあるんですが、それ以外にも気にいってる点がありました。
船には名前があるわけですが、それは戦車や戦闘機と違って、人間と同じくその物に対して一つなわけです。つまり、戦艦大和といえばそれは一隻きりで、いつどこで起工され、進水して、竣工され、そして、いつ除籍、解体、あるいは沈没したかがはっきりしています。プラモデルの設計図には必ず解説が書いてあるんですが、そういう話が載っているのです。
言うならば伝記みたいなものです。そう考えると同型艦っていうのは兄弟だともいえるし。
「この戦艦は、戦争の途中で改造されて航空戦艦になったんだ。」とか「これは終戦までほとんど無傷で生き残った伝説の駆逐艦なんだ。」とか「この船は終戦まで残ったんだけど、戦後の水爆実験で沈められたんだ。」なんて、一隻一隻にそういうエピソードがあるわけです。
その一隻一隻の解説が書いてあるプラモデルの設計図が、僕の大事な大事なコレクションでした。全部ファイルに入れてとっておいたんだけど、いつのまにか行方不明に。
ホントに残念。
それから、名前の付け方っていうのも興味深かったです。
日本海軍だったら、
戦艦は昔の国の名前。大和、武蔵、陸奥、長門、山城、伊勢、……。
重巡洋艦は山の名前。妙高、高尾、愛宕、青葉、鞍馬、足柄、……。
軽巡洋艦は川の名前。矢矧、長良、北上、大淀、大井、阿武隈、……。
ただし、予定変更になるものもあって。
赤城、加賀、信濃、辺りは戦艦になるはずが、事情で空母に改造されたので、そのまま国の名前がついています。
金剛、比叡、霧島、辺りは巡洋戦艦だったんで山の名前ですが、一般には戦艦の扱いです。
名前の話を続けると、ちょっと変わっているのが航空母艦で、鳥や龍など空を飛ぶものに関連する合成語。
蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴、祥鳳、鳳翔、……。
そして、僕がそういう名前の中でも一番気に入っていたのが、駆逐艦の名前。
甲と乙の2種類あって、乙は、松、竹、梅、桃、桑、杉、樫、椿、柳、といった植物の名前なんですが、気にいってたのが甲の方。
これらは、天候、気象に関わる用語なのです。
陽炎、不知火、なんてかっこいいものから、夕雲、巻曇、風雲、秋曇、などの雲に関わる言葉、荒波、高波、巻波、綾波、清波、などの波に関わる言葉、磯風、谷風、舞風、初風、などの風に関る言葉、春雨、時雨、村雨、五月雨、などの雨に関る言葉、吹雪、白雪、初雪、深雪(みゆき)、などの雪に関る言葉、朝霧、夕霧、天霧、狭霧、なの霧に関る言葉。
他にも、初春、子の日、若葉、夕暮、なんていうのもあります。
今調べたら、霰(あられ)、漣(さざなみ)、朧(おぼろ)、なんて読めそうにないものも。
それら、なんて情緒あふれる名前なんだろ、と。(笑)
ちなみにアメリカの場合、戦艦は州の名前、アラバマ、アイオワ、ミズーリ、……。
航空母艦は、例えば南北戦争だったりの、歴史的に有名な戦場の地名だと聞いたことがあります。ほんとに戦場の地名かどうか知らないのですが、サラトガ、レキシントン、ヨークタウン、など。
後に日本に来ていたミッドウェーっていう空母がありましたが、当然これは太平洋戦争の行方を決定づけたミッドウェー海戦から来ているのでしょう。
国によっては人名がついてたりしますね。ドイツの初代首相から、戦艦ビスマルクとか。
イギリスには、プリンスオブウェールズ(ウェールズの王子?)っていう戦艦もありました。
しかしその他、地名だったり、人名だったり、アメリカの空母にしても、いろんな名前がついてるみたいなんで、もしかしたら、あまり厳密なルールっていうのはないのかも知れません。
いずれにしても、日本の駆逐艦甲型らの名前みたいなのは、世界にはないでしょうね。そういう言葉自体が一つの単語としては存在しないでしょう、きっと。
ところで、「ど級」、とか「超ど級」って言葉がありますね。
ちなみに漢字で書いたら「弩級」。
結構有名なので知ってる人も多いと思いますが、これって「ドレッドノート級」、「超ドレッドノート級」の略なんです。
ドレッドノート(勇者)っていうのは、第一次世界大戦直後に作られたイギリスの戦艦で、それまでの戦艦らを一気に時代遅れにさせる最新戦艦でした。で、その戦艦クラスのものを「ど級」、それを上回る性能のものを「超ど級」と言ったのです。
日本の軍艦で言うと、イギリスに発注して作った金剛とそれ以降のものが、「超ど級」艦です。
さてさて、遠州地方では、英語でいう 「very」、山口(広島)弁でいうところの「ぶち」、に相当する言葉として「ど」が使われる事が多いんですが、それを聞くたびに「この“ど”ってのはドレッドノートに関係あるのかなぁ」っていつも思ってしまいます。
いえ、関係ないとは思ってるんですけど。(補足 : これ書いた後で気がつきましたが、「ど根性」とか「ど迫力」は?やっぱ「ど級の根性」「ど級の迫力」かなぁ? - 1999/02/25 )