チャンピオンシップ考
1999/12/19
1999年のJリーグは、ジュビロ磐田が年間チャンピオンの座を奪回し、シーズンを終了しました。
Jリーグは、前期、後期の 2ステージ制を採用しています。そして、それぞれで優勝した 2チームがシーズンの最後にチャンピオンシップを行うことで決定します。このチャンピオンの決定方法がおかしい、ということは「続・Jリーグへ提案」に書きました。
特に今年は、その問題が大きく取り上げられました。というのは、最終的にチャンピオンになったジュビロ磐田は、年間総合成績でいうと J1全16チーム中、6位のチームだったからです。
ということは「ははーん、チャンピオンシップ批判をするんだな」と思いましたか?
いえいえ、今回は 2ステージ制のメリットとデメリット、特にメリットについて考えてみたいと思います。
さて、その 2ステージ制のメリットを考える前に、問題を整理しておきましょう。
今シーズンの結果に関しては、まずチャンピオンのジュビロの年間成績が 6位だったことを取り上げての批判があります。それからチャンピオンシップというシステムが世界標準でないという批判もあるようです。
それらは問題の一部ですが、全体から見たら枝葉だと思います。まずは枝葉をかたずけていきましょう。
まずは、年間成績で 6位のジュビロ磐田はチャンピオンとしてふさわしくない、1ステージ制だったら優勝争いに参加していないではないか!という批判。
そこまでは言い切れないと思います。2ステージ制でなければジュビロの戦い方自体が変わっていたはず。もしかしたら 1st Stage 終了後の名波の離脱自体がなかったかもしれません。また移籍があったとしたら、その時点ですぐに戦力補強をしていた可能性が高いです。
そして、1ステージ制だったらという、両方の主張がすべて仮定の話。仮定の話を積み重ねても結論はでません。
ちょっと別のケースを考えてみましょう。もし将来、勝つ時は接戦だが、負ける時は大敗という、得失点差がマイナスの優勝チームが出たとしたらそんなふがいないチームはチャンピオンにはふさわしくないか?やはりそんなことはありません。
シーズンが始まる前にルールを決めたのです。それは全チームに等しく平等なものでした。そのルールでチャンピオンになったことに誰もケチを付けることはできません。システムを批判するのならともかく、ジュビロを批判するのは筋違いです。まったく同じ条件だったのですから。
次に、そのチャンピオンシップのシステムが世界標準からはずれているからいけない?
ヨーロッパでは 1ステージ制があたり前です。しかし、南米の多くの国はJリーグ同様の 2ステージ制を採用しています。総合優勝を作らないケースが多いようですが、メキシコなどはアメリカのプレーオフ的な複雑なシステムになっているようです。ブラジルでは地域別リーグしか存在せず、その後のトーナメントでチャンピオンを決めているようです。
こういったことはその国独自の考えで決めて良いわけで、例えば、アジアクラブ選手権優勝を目指すチームを選ぶ事を考えるならば、リーグ戦の安定度と、一発勝負の強さ (アジアクラブ選手権はベスト 4からはトーナメント) の両方を選考基準とする考え方があったとしても間違いではないと考えます。
さて、これからが本論です。
2ステージ制のメリット、デメリットを考えましょう。
先にデメリットの話をしましょう。こちらは「続・Jリーグへ提案」で書いた通りです。最もリーグ戦で勝ち点を挙げたチームが最も実力があるチーム。そのチームがチャンピオンであるべき。
それに付け加えることがあるとすると、上で書いた枝葉の話。理屈でこれがルールだと言っても、人間には感情がありますから、納得できないという気持ちが残ってしまいます。
メリットについて。
ひとつは優勝チーム、優勝争いをするチームが増えること。これはカップ戦にも同じ事が言えます。どんな時もずっとチームを応援している人ばかりではありません。それほど熱意をもっていない地元の人々を惹きつけるには結果が必要です。今のところ、天皇杯、ナビスコカップを合わせて 1年で 4チームが優勝する可能性があります。多すぎると価値が薄くなる弊害がありますが、4つ程度のタイトルはちょうどいいのではないでしょうか?
次に、選手の海外移籍について。
Jリーグのスケジュールは、海外のシーズンとは逆になっています。
今年のジュビロの名波の移籍は、1st ステージ終了後に行なわれました。
1st ステージ終了後に移籍、チームはそこで新戦力補強してチームの作り直し、というのはチーム運営的にもやりやすいと思います。通年のシステムだと、フロントの心情としては、途中で選手を海外に出し辛いのではないでしょうか?
最後に一般の人々に対するアピール。
先日のチャンピオンシップ第 2戦は関東地方の視聴率が 12% 。詳しくない方にはわからないでしょうが、この数字、人気が下がった近頃のJリーグでいうとなかなかの数字なのです。(それでも、あの悪評高いバレーボール・ワールドカップには負けてるのですが。) 実際、普段サッカーを見ない人があの試合を見たと言う話を結構聞きました。
ここ数年、チャンピオンシップを見ると、Jリーグ最高レベルの試合が繰り広げられています。もちろんリーグ最高レベルの 2チームが一発勝負で優勝を決めるのですからそれも当然です。一方、リーグ戦の優勝を決める試合が、好試合になるということはめったにありません。
普段サッカーを見ない人も、チャンピオンシップを見たらサッカーファンになってくれるかもしれない、そういうサッカーの魅力の広報活動的な意味を見ることができます。
考えてみると、ヨーロッパでは各国リーグで優勝を決めたチームが集まって、チャンピオンズリーグを開催しています。(もちろん南米にも同様のものがあります。) その決勝ともなると世界中から注目を浴びる試合。これがヨーロッパ最高レベルのチームの直接対戦による一発勝負。その試合はサッカーの醍醐味が詰まった試合で、サッカー広報活動に最適の試合です。
そう考えると、Jリーグのチャンピオンシップは、チャンピオンズリーグ決勝のような意味合いを持つという考え方ができるかと思います。
リーグ戦ではどの試合で優勝が決まるかどうか分かりませんし、どの試合が見ごたえのある好試合かわかりません。そういう点で、特に熱烈なサッカーファン以外にとって、チャンピオンシップの存在価値は大きいと思います。
実際、その宣伝効果があるからこそ、スポンサーがついてチャンピオンシップというシステムが出来たわけで順番でいうと逆かもしれませんが。
こうやってメリットとデメリットを並べてみると、現在のJリーグにおいては、メリットの方が大きいように思います。ということで、理想は 1ステージ制支持なのですが、現状では 2ステージ制やむなし、という考えになってきました。