ブロンコス、オレンジアタッカーズ、フリューゲルス

1999/02/01

所沢ブロンコスというチームを知っていますか?

(追記 2000/09/07) 現在はチーム名は「さいたまブロンコス」になった模様です。

平成8年、日本バスケットボールリーグのアンフィニ・ブロンコスは、廃部となりました。そして、日本初のバスケットボール市民球団として所沢と本拠地とするチームを設立し実業団選手権へ参加。見事に優勝して日本リーグ二部に復活しました。

オレンジアタッカーズというチームを知っていますか?
こちらはもう少し有名ですね。ダイエー女子バレー部は昨年廃部となり、こちらも神戸を本拠地とする市民クラブとして活動を始めたばかりです。

そして横浜フリューゲルス……。

こんな話をよく耳にします。
「景気が悪いのだから、企業が運動部にお金を出さなくなるのは仕方ない」
この文面の内容に関して言うならばまったくその通りです。文句のつけようもありません。
だからこそ景気とかそういうものに関係なく、ずっと維持されるスポーツクラブができたらいいなぁ、そう思いませんか?

スポーツは文化。
クラブチームは美術館やオーケストラのようなものと同じだと思うのです。
美術館やオーケストラのように、自治体がクラブチームを支えることはできないものでしょうか?
もちろん企業が美術館やオーケストラのコンサートに協賛するように、企業もクラブチームに協賛し、または胸のマークやスタジアムの看板にスポンサーとしてお金を出すのです。そして住民と自治体と企業が三位一体となってクラブを支えるのです。
Jリーグの理念にはその考えが含まれているはずなのです。

ところが、残念ながら理念と現実が乖離していた為に、横浜フリューゲルスの悲劇が起きてしまいました。
フリューゲルスの問題は単純ではありません。企業側にも問題があったし、Jリーグの運営側にも問題がありました。
ただ、少なくとも企業側については、数年前にはやった「企業メセナ」っていう言葉を忘れてしまったのは確かで、それはそれで十分かっこ悪いと思うんですが。

残っている他のチームにも問題があります。 多くのJのチームは、地域密着といえるクラブの活動が行われているとは言えません。
もちろん出来たばかりのプロリーグが、経済的に企業に頼りきった状況であるのはある意味仕方がないかもしれません。しかし、ヨーロッパのクラブのように、地域の人々が集まってサッカー以外のスポーツをしたり、食事をして楽しんだりするようなスポーツクラブとはあまりに程遠い状況です。
強いて挙げると、鹿島アントラーズがミニバスケの講習会をやった事や、ジュビロ磐田がフットサルの大会を開いたり、地元のマラソン大会の選手らが参加したり、といった程度のことでしょう。
まあとにかく、こういったイベントを数多く、しかもできればサッカーとは別のスポーツを行うことで、Jリーグが、地域密着のクラブチームというものが、何を目指しているのかを世間に伝えることはできます。
それが、他のクラブを救うことになるかもしれません。

ブロンコス、オレンジアタッカーズ、フリューゲルスの前途は多難です。
今年か来年に、残念な知らせを聞く可能性は十分にあります。
それでも、これらのチームには生き残って欲しい。
将来、全国津々浦々にクラブチーム出来るためにも。


企業の問題

横浜フリューゲルスの運営会社は全日空スポーツ。
その親会社は佐藤工業と全日空が50%ずつ。
そのうち佐藤工業が全面撤退することになり、フリューゲルスは同じく横浜をホームタウンとし、これまた同じように親会社である日産の経済状況が思わしくないマリノスと合併することになった。
全日空は、横浜マリノスとの合併後に年間5億ほど出資するという。
それだけのお金があれば、横浜フリューゲルスは規模縮小してJ2やJFLなら活動できるはずだった。
ところがその選択肢は最初から排除されていた。
正確には全日空と日産のトップが決定を下し、全日空スポーツとしてもその決定に従うしかなかった。
全日空にとっては支援するのは宣伝効果の高いJ1のチームでなければならなかったのだ。
一説には2002年ワールドカップに公式スポンサーになる為に、Jリーグチームの親会社という立場だけは捨てられないとも言われている。
全日空は、はなっからJリーグの理念の基づくチームなんて考えていなかったのだ。

ちなみに佐藤工業に対して怒っているサポーターはほとんどいない。
怒っているのは、全日空がフリューゲルスを(上記にあるように存続可能なのに)見捨てたこと、見捨てるだけならいいが存続の為の努力(清水エスパルスが市民の運動(圧力)で鈴予をスポンサーにして生き残った事など)を認めなかったこと、またチーム名の譲渡を認めなかったこと(チームマスコットの名前を使った「とび丸周遊券」というようなサービスがあるかららしい)、である。
#どうやらこれから作られる新チームが存続できるなら、名前は譲ってもらえることになるらしい。

フリューゲルス(ドイツ語の「翼」)という名前をつけたり、「とび丸周遊券」など、そこまでやっておきながらチーム消滅を決定するなど、とにかく“かっこ悪い”の一言なのだが。

Jリーグの問題

そもそも横浜フリューゲルスは、横浜をホームとしながら、九州を準ホームとするという理念に反した特殊な存在だった。
フリューゲルスが実力はありながら、人気面では今一つぱっとせず、地元に密着できなかった理由でもあるといわれている。
その他リーグ側にもいろいろ問題はあると思われるが、一方でリーグにそれほどの力がなかったというのも確かである。
ドイツなどで行われている球団経営をチェックする組織を提案したが、チーム側(おそらく当時無茶な年棒設定を行っていてたびたびJリーグに反発していたヨミウリなどであろう)が内政干渉だと拒否した。これが実現していれば、今ほどの急激なリストラは起きなかったかもしれない。結局、球団経営のチェック機構は今年再び提案されるらしい。

まあ確かに、各球団が責任を持って経営をする方が望ましい。それに失敗してリーグ降格するチームが現われたとしても。もちろん、リーグ降格とチーム消滅とは意味が違うことをみんなが理解しなていなければならない。


(追記:1999/02/16)

ご存知の通り横浜フリューゲルスのサポーターが中心になって作られた「横浜FC」の、今シーズンのJFL参加が条件付きで認められました。

横浜フリューゲルスを存続させる会 公式ホームページ

「横浜FC」は、日本で始めての「ソシオ制度」が取り入れられたチームです。
「ソシオ制度」とは、スペインの名門チーム「バルセロナ」などで取り入れられているシステムで、メンバーとなる参加者が、資金面としての参加をするだけでなく、運営面でも経営陣と協議する権利を持ちます。
また、その他の小口スポンサーの多くは、今まで少年サッカーの運営などに関わってきた、地元商店主だそうです。

「横浜FC」は、「横浜フリューゲルス」の名前を引き継ぐことが出来る、唯一のチームであり、今後数年間、チーム運営ができるならば、現在「横浜 F・マリノス」が所有する「フリューゲルス」という名前を譲渡してもらえるはずです。