続編「アメリカとヨーロッパのスポーツ、そして日本」があります。
その後さらに、「アメリカとヨーロッパのスポーツ (再考)」 を書きました。
アメリカのスポーツとヨーロッパのスポーツ
1999/02/14
MLB(ベースボール)、NBA(バスケットボール)、NHL(アイスホッケー)、NFL(アメリカンフットボール) といえば、アメリカの4大スポーツ。これに対して、サッカーやラグビーはヨーロッパの人気スポーツ。
モータースポーツだったら、アメリカの CART に対してヨーロッパの Formula 1。
このようにアメリカとヨーロッパでは人気スポーツにちょっと違いがありますね。
その人気と因果関係があるかどうかはわかりませんが、それらのスポーツ間にはいくつかの思想的な違いがあるようです。
まずはプロスポーツの組織について。
アメリカの MLB や NBA は、リーグのチーム数が決まっており、下位リーグへの降格というものがありません。これに対して、ヨーロッパのサッカーなどは必ず下位リーグとの入れ替えが行われます。
それらのシステムには、それぞれ一長一短があります。
下位リーグとの入れ替えがないシステムでは、放っておくと上位チームと下位チームの人気・実力の差が広がってしまいます。その為、人為的な戦力均衡のシステムが絶対に必要です。ドラフト制度やサラリーキャップ制度です。これらのシステムが正常に働くと、チーム力が均一化され、どのチームにも優勝のチャンスが出てきますし、そこまでいかないにしても、上位チームと下位チームとの差はそれほど大きくなりません。
このシステムのメリットは、どの試合を見にいっても一方的でないそれなりのゲームを見ることができる可能性が高い点です。
ところが一番のデメリットは、数年前の MLB、今シーズンの NBA のようなストライキによるリーグ全体の停止です。来年にはまた MLB が再びストライキになるであろうと言われていますし、将来的には日本のプロ野球もそうなると言われています。
これは、実は自由競争になっていないことで歪みが溜まってしまうシステムの矛盾でしょう。
護送船団方式と似てるかも?
一方の入れ替え戦があるシステムは、本当の自由競争です。お金のあるチームはどんどん補強するので、弱いチームとの差は開く一方です。弱いチームはどんどん落ちぶれていきます。その為、カードによっては実力差が明白で一方的な試合も結構あります。特に近年の Formula1 は極端な状況で、ここ数年特定チームが圧倒的に強いということが多いです。(対する CART はルール的に混戦が起きるようになっていて、どのチームが優勝するかわかりません。)
このような一方的なゲームを見せられるのことがあるのはデメリットと言えるかもしれません。
しかし、逆に接戦になった時は作られたものでない本物の接戦ですし、力の差があるチームとの戦い方や、下位チームの生き残りをかけた戦い、など画一的でない楽しみ方があるわけです。
それから、アメリカのスポーツと違ってその国で閉じていないことも、過剰かと思える競争をしなければならない理由です。戦う相手は国の外にもいるわけで、どこかで満足しているような国内リーグのチャンピオンでは他国リーグのチャンピオンには勝てないのです。
このシステムの違いを考えると、比較的アメリカの方が1試合を楽しむのに向いていると言えます。外れゲームに当たる確率は低いわけですから。つまりショービジネスに適しているのです。
もう一つの思想の違いは、公平(フェア)に対する考え方です。
スポーツにおいてフェアであることは重要なことですが、フェアの考え方はいろいろあります。
イングランド発祥で、紳士のスポーツという成り立ちを持つサッカー、ラグビーは、基本的には絶対的な主審が一人いるだけです。 NBA や NFL や NHL のような多数の審判とは随分違います。
どちらも審判が絶対であることは同じですが、比較するとヨーロッパはミスジャッジが起きても両方に起きるのだから公平だと考え、アメリカはなるべくミスジャッジを減らそうというを試みをしていると考えられます。バスケットボールの国際ルールが審判2人であるのに、NBA は審判3人であるということからも明確な意図を感じます。
ラグビーのボールからも同じような思想が見て取れます。楕円のラグビーボールはどちらに跳ねるかわかりません。試合中に必ず運不運の差がでるでしょう。ところがヨーロッパではどちらに跳ねるかは平等であるから公平だと考えます。
一方で同じ楕円のボールを使いながら NFL では、ボールが跳ねるようなプレーはめったに出てきません。これは試合中に発生する運不運を排除する方向にルールが制定されたせいではないでしょうか?
このことから、アメリカではその1試合を観戦していて、運で勝敗が決まるようなことを嫌っているということが推測できます。ここからもショービジネス的思想が感じられます。運で勝敗が決するようなことがあればお客さんが怒ってしまいますから、お客さん第一に考えたらなんとか避けたい事態です。(実際は運だけで勝敗が決まるなんてことはほとんどないんですけどね。一見そう見えることは多いんだけど。)
もちろんヨーロッパのスポーツがショービジネス的でないというわけではありません。あくまでも相対的にアメリカの方がそういう意識が強いだろうという話です。
それではヨーロッパ的スポーツはどう楽しむのが良いのでしょうか。一見ミスジャッジで試合が決まってしまうのは見ている方としてはたまりませんね。
これは長い目でチームを追いかければいいのです。不運で試合を落とそうが、下位リーグに降格しようが、10年20年とチームを応援していく。いいこともあれば悪いこともある。長い目でみたらやっぱり実力が反映されて公平なのです。
サッカーなどはそうやって楽しむべきもので、それがそのままサポーターという応援の仕方につながるわけです。
リーグ降格がないのでチーム間の戦力均衡を図らなければならないはずなのに、逆指名を取り入れてる日本のプロ野球ってのはいったい何?
特定チームが恒久的に突出して人気・実力を持つことが、そのスポーツの健全な姿だと思ってるんでしょうか?
幸いにも、今は(常識から判断からすると)不可解な監督人事のおかげでそういうことにはなってないですが。