J2 を 22チームへ

2008/06/27

「Jリーグは現在15チームのJ2を最大22チームまで増やす方針を固めた」 とのこと。

僕としては、チーム数が増えること自体は当然の事で、それが18なのか22なのかは大した問題ではないと考えているので、このニュースを聞いたからといってそれに反応することもないんですが、一応チーム数が増えるのが当たり前であると考える理由を記しておこうと思います。


Jリーグのチーム、すなわち、ユースチームを持つことが義務付けられており、プロとしての経営が求められている、そういうチームが増えることが日本サッカーの成長にとって絶対条件である、と考えてます。プロチーム数、すなわちサッカーに生活を賭ける人の数こそが、日本サッカーという巨大なピラミットの土台となると考えるからです。土台が広ければ広いほど、そのピラミットの頂点は高くなります。

「いや、チーム数が増えると 1チーム辺りの戦力が下がるからJリーグのレベルは下がるよ」 と反論する人がいます。そのこと自体は間違いではありませんが、それは短絡的な見方です。長期的にはチーム数が多いことが必要だと考えます。
もちろん現在の状況は土台を広げただけでピラミットを作っている最中。頂点はまだできていません。しかしながら、ある程度の効果は既に現れていると思います。日本代表の選手層は明らかに厚くなっています。現在の日本代表の試合内容や結果に不満を持つ人はいるでしょう。けれども、たとえば先日のW杯二次予選にしても、試合毎に大きくメンバーを変えています。15年前ならこんなことは不可能でした。

もう少し具体的な例で話をしましょう。
もし、Jリーグが創設当時の10チームのままだったらどうなっていたか? おそらく、10チームに代表クラスの選手が集中して、1チームのレベルは現在のJリーグよりも高かったでしょう。けれど、現在の日本代表に欠かせない中沢や闘莉王はどうなっていたでしょうか?
中沢は 1998年に練習生として東京ヴェルディに参加しチャンスをつかみました。この時J1は18チーム。10チームのままであったなら、東京ベルディにはもっといい選手が集まっていたはずで、中沢にチャンスが回ってこなかったかもしれません。
闘莉王は外国人枠の問題もあり 2003年には水戸ホーリーホックでプレーしました。10チームのままだったら闘莉王は日本でプレーするチャンスが無く、ブラジルに戻っていたかもしれません。
おそらく、これと同様なことがJリーグのあらゆるレベル、あらゆる年代で起きているはずです。目に見える状況ではないかもしれませんが、間違いなく現在のJリーグのチーム数が日本サッカーの選手層の厚さに貢献しているはずです。
ただし、ピラミット間の流動性を持つことは絶対に忘れていはいけない絶対条件です。弱いチームは下に、強いチームは上に。同様に良い選手も上に、力が衰えた選手がいるなら下へ。そういった循環があってこそ、日本サッカーの層は厚くなります。

そして、ここから先の話は未来の話ですが、層が厚くなればなるほど、飛びぬけた才能が出てくる可能性が高くなるはずです。正直なところ、決定力のある凄いFW なんてのは “層が厚くなったら出現する可能性が出てくる” というものだと思っています。今の日本代表は、頂点がまだできていないピラミット、すなわち台形の上辺部分の選手だから、同じような力を持つ選手がずらりと並んでいるのです。これをもう少し我慢して続ければ、かならず頂点へ向けた飛びぬけた選手が現れてくるはずです。


「いや、そんなこと言っても、無闇チーム巣を増やすと潰れるチームがでてくるよ」 という反論もあるでしょう。その可能性は否定しませんが、これは次の二点で反論します。
第一に、
チームが増えるから共倒れするわけでもありません。たとえば来年のJ昇格を目指しているチームの話をすると、栃木や富山や岡山にJリーグのチームができたところで、それ以外のチームに大した影響はないでしょう。もちろん逆も然り。チームが潰れるとしたらそのチームの経営が悪いだけで他のチームのせいではありません。
第二に、そもそも潰れるチームがあっても仕方ない、と割り切っていいです。経営を失敗した会社が潰れるのはある意味当たり前です。一般社会と同じです。もちろん負債を抱えて倒産するとみんなに迷惑がかかるわけですから、そのこと自体を軽んじるつもりはありません。責任も問われるべきです。しかしながら、まともな経営をしさえすれば、基本的に潰れるということはないと考えます。ある程度Jリーグからの支援もできるはず。これらは経営者やバックアップするJリーグ側の知恵の問題であって、Jリーグのシステムの問題ではないです。そもそもほんとうに経営が無理なら手を挙げる人すらいないはず。

このこあたりの話は、自然界の話と似ているのではないかと思います。シンプルな生態系は弱く、多様性のある生態系は強い。多様性があるからこそ進化が生まれる。
絶滅する種族があっても、それを上回るだけの新種の生物が生まれてきて現在の自然界があります。潰れるチーム以上に、生まれるチームがあればいいのです。


単に興行を成功させたいのなら、プロ野球のように少数精鋭でやるのも悪くありません。しかし、あくまでも日本のサッカーが目指しているのは、大きな土台を作って、ピラミットの頂点を高くすることを目指しています。これがJリーグのコンセプトです。どれだけの数の人が、本気になって生活を賭けてサッカーをやるかどうかで、その国のサッカーのレベルは決まります。だからチーム数は増やす必要があるのです。