ワールドカップ総括 〜ジーコのチーム〜
2006/06/25
ワールドカップが終わったわけではありませんが、ジーコジャパンのそれは終わりました。ここでは 「ワールドカップ展望 〜ジーコのチーム〜」 を受けての日本代表の総括をしてみたいと思います。
今大会の結果については残念ではありましたが、まあ想定の範囲内と言えるでしょう。日本、オーストラリア、クロアチアの 3チームには大した力の差はありません。試合をするたびに結果は変わるでしょう。(選手のフィジカルと、監督采配の有効性を見る限り、オーストラリアが勝ち越す可能性がやや高そうですが。)
そんな中であくまでも “見込み違い” という観点から日本の敗因を考えると、中村俊輔の不調が挙げられるのではないでしょうか。FW の決定力を敗因に挙げる人もいますがそれはちょっと違うと思います。勝てなかった原因としては正しいですが元々日本人 FW に決定力はありません。普段から入らないシュートが入るわけはありません。それは FW だけの話でもありません。例えばオーストラリア戦での福西のミドルシュートが入っていれば!という声もありますが、Jリーグで福西があそこから点を入れることはほとんどありません。入らなくても当たり前です。
しかし、中村俊輔の FK からの直接の得点、あるいはアシストというのは過去の実績からある程度期待していたはずです。オーストラリア戦、クロアチア戦共に、1点を争う試合となったのは予定通り。そこでセットプレーから 1点入れることで、日本は勝利を引き込む、それが元々考えられていた現実的なシナリオだったはず。中村俊輔が絶好調なら、グループリーグを抜けていた可能性は高いです。今回の結果で一番大きな要因はこれだと思います。逆に言うと、中村俊輔の FK に頼るようなチームは地力がないということでもあるわけですが。
それとまあ、強いて挙げれば、初戦と第二戦が真昼の灼熱の中であったことは不運だったと言えるでしょう。もちろんこれについては相手チームも条件は同じですので敗因とはいえませんが、日本の最も長所である運動量を消してしまったであろうことは確かでしょう。第三戦などは、明らかにある程度のプレスを見る事ができましたから。
関連して坪井の途中退場もジーコには不運でした。あれがなければ選手交代も違う形だったかもしれないし、初戦の逆転負けがなかったかも。ただ、試合前半から両足がつるなど、ほんとは有り得ない話で何か危機管理の問題を問われても仕方がないかもしれません。
ここまでの話は、今大会の具体的な結果からその要因を考えた話でした。ここからは結果に関係なく、4年間で見えたジーコのチームについてです。
まず率直に、「ワールドカップ展望 〜ジーコのチーム〜」 に書いた期待は甘すぎたことを反省しています。ジーコのチームは、非常にコンディションが良い時には創造性の高いサッカーを見せることがあるのは確か。おそらく世界的にもそれなりのリスペクトをされるくらいのものです。しかし、メンバーが揃わなかった時だけでなく、暑さで選手が走れない時なども全くもって悲惨なサッカーになってしまいました。何度も書いていますがこれらの原因は、困った時に立ち返る形がないからだと考えられます。調子のいい時は問題ありません。悪い時にでも、もし決められた約束でもあるならば、そこに立ち戻ることができるはずなのに。
それから、こちらの手の内を完全に相手に晒すこと、相手の弱点を突くような戦い方をしないことも、ジーコのチーム作りの特徴でしたが、それらはきっと、ブラジル代表のチームの作り方なんでしょう。個人の技術や戦術理解が高いのだから、要は彼らが気分良く力を出せるようにすることで強いチームになります。相手の長所を消すような作戦も不要だし、自分達の手を隠すようなことも不要です。ジーコはまさにブラジルのチームの作り方を日本で行ったわけです。
これについては大いに疑問が残ります。これは横綱の戦い方。日本のようなやっと幕内に上がってきた力士は、がむしゃらに頭をつけたりして戦うべきで、がっぷりよっつに組んでは駄目でしょう。さらに手の内を晒すことで、名将と呼ばれる監督らにつける隙を与えています。
そういったあたりに関連して監督采配についても、ヒディンクが残した采配とその結果に比べると、ジーコが見劣りするのは明らかでした。
選手選考においても疑問が残ります。
国内最終戦で村井が怪我をした試合。そこでジーコはサントスを右サイドで起用。僕はそれを見て、駒野は代表に残らないのだと思いました。ところがご存知のように大事な初戦で駒野を使うことになりました。ジーコはどこまで読んでいたのか? (あの時、駒野が怪我をしていたというのなら話は別ですがリーグ戦でも出場していたはず。)
田中誠の離脱後、センターバックの明らかな駒不足。Jリーグでも能力を不安視されている宮本中心がほんとにベストなのか?
もっとチームを固めるのを遅らせることができれば他の選手の抜擢ができたのかもしれません。ただし、何度も書いていますがジーコのチームは新しく呼ばれた選手が活躍するのは難しいですから、そうもいかないわけですが。
最後に戦術などの話以外の点で思ったこと。
ジーコは我々ファンから先発予想の楽しみを奪ってしまいました。最後の試合で初めて先発ツートップが予想外の二人になっていました。あの発表時の驚きはほんとにほぼ4年ぶり。
ワールドカップが始まる前から、日本は強いぞ、弱いぞ、相手は強いぞ、弱いぞ、と騒ぎますが、実はあの持ち上げたり突き落としたりの不毛な大騒動こそ、ワールドカップの楽しみなのですよ。先発予想もそうで、黙っておくことの方が物凄いファンサービスなのです。
ファンサービスといえば、ドイツのキャンプ地ボンにおいて、日本代表と地元との交流はほとんどなかったとか。ワールドカップは単なる世界規模の大会ではないです。世界のお祭りでもあります。日本のW杯で各国が日本人と交流して各地でいい思い出を作ってくれたというのに、そうならなかったのはほんとうに残念です。
その他、気になったことを書いておきましょう。
田中誠の負傷によって追加召集された茂庭。召集時、ハワイで休暇中ってどういうこと? 追加召集もあるかもしれないので国内で調整しているのが当たり前では?
まあ一番悪いのは選手本人だけど、ジーコでも、所属クラブでも、一言言えば良いのに。危機管理が全然なってないと思います。