改めてプレーオフ制度について考える

2006/11/29

改めてプロ野球のプレーオフ制度について考えてみます。

一昨年から始まったパ・リーグのプレーオフですが、来年からはセ・リーグでもプレーオフが行われることになりました。プレーオフについては語り尽くされている話題ですから、簡単にその特徴を記します。

まずそのメリットについて。(日本においては) プレーオフが実施される理由は盛り上がりのゲームを作る為です。かつてパ・リーグで採用されていた前期後期制も同じです。単純なリーグ戦の優勝決定で終わるよりも、プレーオフや優勝決定戦といった特別な試合を行う事で注目を浴びる試合数を増やすことができます。
一方のデメリットは、そのことによってリーグ戦の価値が下がることです。リーグ戦で最も強かったチームが優勝できない可能性があるわけで、リーグ戦の価値はなんだったんだ?と批判をうけることにもなりかねません。

メリットとデメリットはそんなところ。ではプレーオフをする/しないのどちらが正しい選択か?という話になるわけですが、ここで簡単に言ってしまえば、そのメリットとデメリットを天秤にかけ、多くの関係者にとってどっちが有益であるかを考えるのが正しい選択です。


さて、今回この話題を持ち出してきたのは、僕の考えが変わったからというのが理由です。
以前考えていたのは、プレーオフはそのデメリットの方が大きいだろう、ということでした。リーグ戦の勝者が尊重されないということは、そのスポーツの熱烈な支援者にとって望ましいものではないはずだ、そう考えていました。この考え方が丸っきり変わったわけではありません。しかし、問題は全体の利益についてです。その熱烈な支援者ではないライトな支援者にとってはどうだろう、そういう問題を考えてみたいのです。全体の利益を考えるならば、熱烈な支援者よりもライトなファンが楽しめる状況を作り出す方が良い、そういう時代に変わったのではないでしょうか?

かつては、誰も彼もがプロ野球ファンでした。しかもプロ野球だけのファンと言ってもいいかもしれません。お茶の間の TV では必ず巨人戦の中継が映され、来る日も来る日も野球を見ていたのです。冗談ではなくそういう人がかなりの人数いたことは、当時の20%を遥かに越える TV視聴率からも明らかです。彼らは毎日試合を観て、チームの成績を把握している熱狂的な野球ファンです。そういう状況ですからリーグ戦の内容が重視されるのが自然であり、それをご破算にしてしてしまうプレーオフをすることに納得できないというファンがたくさんいたはず。

しかし、今はどうでしょうか? もちろん毎試合ゲームを観戦し、日々の順位を気にするという人もいるでしょう。しかし、現在のプロ野球中継の TV視聴率の低下、それから、野球以外のスポーツの台頭、インターネットやゲームなど娯楽の多様化、そういったことを考えると毎日の試合を注意深く気にかけている人の割合は減っていると考えられます。
その反面、ライト層というものが増えているはずです。そのライト層というのは、W杯があればサッカーを観るし、オリンピックに興味を示し、甲子園で注目の試合があればそれを見て、バレーボールの国際大会があればその日本代表を応援します。毎日同じスポーツを見ているわけではありません。そういう人はイベントに飛びつくわけですから、分かりやすい対決の構図を提示するのが効果的です。それにはプロ野球においてはプレーオフが最適なのです。
ちょっとかっこつけた言い方をすると “ビジネスモデルが変わった” と言ってもいいかもしれません。これから野球で人を注目させたいならば、一年中野球を見てくれる熱狂的な支援者を育てるよりも、プレーオフを使ってライトファンを掴み、そこからリーグ戦へも興味を持ってもらうという方向が現実的であり効果的なわけです。

以上が、僕が野球にとってプレーオフが有益でないかと考えるようになった理由です。


では Jリーグにおいてもプレーオフをやるべきか?
これもメリットとデメリットのバランスの問題で、正直微妙なところでもあると思うのですが、こちらはリーグ戦を重視したいです。理由はふたつ。ひとつは野球とはリーグ戦の試合数が違うから。少ない上にJリーグは基本的には土日や祭日ですから、リーグ戦全てを追いかけるのは野球に比べると遥かに簡単です。熱狂的な支援者を育てるのは不可能ではありません。
もうひとつは、チャンピオンがアジアの大会に進むから。昨年から野球もアジアのチームとの対戦をしていますが、野球の場合は他国とのレベルが違うことや歴史の浅さもあり、その大会の重要度は低いです。しかしサッカーの場合は、勝ち進むと世界大会までつながることもあることなど、やはりリーグ優勝という重みを重視する方が誰もが納得できにるのではないかと思います。


上記のプレーオフが行われる理由を “日本においては” という限定にしたのは一応理由があります。
プレーオフといえばアメリカのプロ・スポーツが本家と言えるものですが、アメリカのスポーツはディビジョン制になっているので日本とは条件が違います。同ディビジョンのチームと別ディビジョンのチームとは対戦試合数が違いますから、単純にリーグ戦優勝というわけではありません。ですから、プレーオフは条件の違うディビジョンのチャンピオン同士が、初めて同条件で優勝を決める戦いです。日本とはちょっと話が違うかもしれません。その辺りが狙ったものか、たまたまそうなったものなのかはよくわかりませんが。