仕事について

2005/11/06

唐突ではありますが、“仕事” について。
ある意味では、こらから職に就くであろう、高校生や大学生から夢を奪うような話かもしれませんが。


数年前だったでしょうか、「
13歳のハローワーク」 という本が売れました。この本は読んでないのですが、まあこの本のヒットの背景などにあるのは、仕事を “やりがい”、“自分の可能性” などと考える思想があるのではないかと思います。他のかっこい言い方をすると “仕事による自己実現” だとか。
それらを否定するというわけではありません。しかし、その前に考えるべき問題があるように思います。

仕事とは一体何か、すなわち “働く” とはどういうことなのか?
それは、間違いなく自分が生きていく為、あるいは家族を養う為に必要な行為であり、一番ストレートな言い方をすれば “食っていく” 為の行為だと思います。たとえば原始時代を考えてみれば明らかです。その時代に “働く” という事は “狩猟” であったり “採取” をするような生きていく為に必要な食物を手に入れる行為でした。ここが全てのスタートであることに間違いはありません。現在我々が “狩猟” や “採取” というような行為をしないことが多いのは、その代替行為として他の仕事をしているからです。

もちろん、それが全てと言うわけではありません。食っていく為だけに活動するのだったら動物と同じです。人間であるからこそ、仕事に “やりがい” を感じたり、そこに自分の可能性をみたりするわけです。けれども、やはり先にあるベースは生きていく為、あるいは家族を養う為の行為であることを忘れてしまってはいけません。
むしろ、まずは生きていく為に働くことが他の動物と同じ生き物としての絶対的な活動であり、その上で “やりがい” を見出すことこそが人間ならではの行為と考えるのが正しい順序のように思います。

そもそも、(社会人の方は同意していただけると思いますが) 実社会において、自分のやりたいことが全くそのまま仕事として出来るケースなんて、ほとんどありません。自分の希望する会社に就職した場合でもです。もちろん個人事業主であるなら比較的自由は利くでしょうが、そのようなケースでさえ全てが思い通りにはならないでしょう。現実に合わせて思っていた事とは違う妥協をしているケースが多いはず。
けれどそんな様々な制約を持った中で、自分の出来ることで知恵や努力をすることで “やりがい” が生まれたりするのです。


どうしてこんなことを言い出すかというと、どうも近年の仕事選びの様子はちょっと違うのではないかと思うのです。まるで、楽しい仕事、やりがいのある仕事を探すのが当たり前のような風潮。就職してすぐに会社を辞めてしまうことを嘆く声など聞きますが、それは仕事に対して間違った幻想を持ってしまったのが原因のひとつではないでしょうか。
仕事とは、まずは “生きていく為の糧を得ること” である、その大前提の上で “自分のやりたいことをする”、“やりがいを持つ” といった付加的な要素があるのだと、そう教えるべきではないでしょうか。


仕事について思う話はここまで。
もしこれから就職したり、就職したばかりの若者相手になら、付け加えてこんなアドバイスをします。

おそらく、仮に希望の会社に就職できたとしても思い通りの仕事ができることは少ないです。けれども大事なことは、その命じられた仕事の範囲内で知恵を絞ったり、根気を持って仕事をこなす事です。そして、そういった中で “やりがい” を感じられるようになることが大切です。まずはそれが出来る事が前提条件。そういうことが出来る人だから、他の人も別の仕事も任せようという気になるのです。
「自分はこの仕事に向いていない、あの仕事なら実力が発揮できるのに…」 それはもしかしたら事実かもしれませんが、他の人から言わせると妄想の部類と言ってもいいでしょう。「その仕事ができないのに、なぜあの仕事ならできるの?」。

もちろん、自信があるなら転職したりするのもいいでしょう。とはいえ、上記のようなことを全部考えた上でそういった判断するべきです。