ヴァンフォーレ甲府、J1昇格

2005/12/10

2005年 Jリーグ入れ替え戦、柏レイソルとヴァンフォーレ甲府の対戦は下馬評を覆し、甲府が連勝で J1 昇格を決めました。
柏の関係者やサポーターには申し訳ないですが、この甲府の J1 昇格は Jリーグの発展にとって望ましい結果だったと言えるのではないでしょうか。


貧乏弱小チームの夢

なんといってもコレです。甲府の J1 昇格は、貧乏弱小チームに夢を与えました。
TV などでも取り上げられているのでご存知の方も多いでしょう。甲府は 1999年の J2設立時から 3年連続の最下位。“J2 のお荷物” と呼ばれ、2002年にはチーム存続が危ぶまれる状況まで陥ります。サッカーくじ toto が始まった頃は “甲府の負け” は鉄板だったことを覚えている人も多いはずです。
その甲府が徐々に立ち直り着実に力をつけ、ついに J1昇格を決めたのです。しかも、決して大金持ちスポンサーが付いて裕福になったわけではありません。身の丈に合った経営努力で経営状況を建て直し、比較的少ない予算のままで J1 昇格を勝ち取ったのです。

これは J2 で戦っている多くの貧乏弱小チームに夢を与えました。いえ、J2 のチームだけではありません。これから Jリーグを目指す JFL や地域リーグにいるチームに与える影響も大きいに違いありません。「これから Jリーグを目指します」 と言うだけでは現実味がなかった言葉が、甲府の実績で現実味のある言葉へと変わるのです。


J1チームへの強烈な警鐘

そして、こちらも大きな影響があるのではないかと思っています。
今シーズンのJ1からの降格は、かつて Jリーグの盟主であった東京ベルディ、楽天のスポンサードを受けて金持ちになったヴィッセル神戸、そして大企業をバックに持つ柏。付け加えるならば今年の降格争いに巻き込まれたのは J1 初年度から所属している清水。名古屋も終盤の失速で降格ラインまであと一歩でした。今年の結果を見て、来季の J1 所属チームの多くが “明日はわが身” と感じているに違いありません。
補強をしないチームは苦しむ。補強をしてもピント外れなチーム補強ではやっぱり苦しむ。今頃頭を抱えている J1 のフロント関係者がいるかもしれません。

この影響で特に期待したいことは、監督の選択です。“名前だけの監督選びは本当に危険だ” ということがはっきりしてくるのではないでしょうか。真剣な補強と監督選び。これは Jリーグ全体の、すなわち日本サッカーのレベルアップに繋がります。


来季 J2 の注目度アップ

もうひとつの影響として、来季の J2 への注目が期待できます。
東京ベルディが降格が決まった時点でも言える話だったのですが、それに加えて柏が降格したことで J2 に知名度の高いチームが増えました。J2チームはまだまだ一般的には無名チーム同士の対戦がほとんどなわけですが、興行という面で考えると、有名チームとの対戦は非常に有効です。(同じくカズが横浜FC でプレーするのも有効。)

さらに、来季の J1 昇格争いは熾烈を極めることが予想されます。東京、柏に加え、資金力のある神戸は充実したメンバーを揃えてくる可能性が高いです。それに立ち向かうのは、今季最終節で入れ替え戦出場を逃した地元人気チーム仙台。着実に力をつけてきた山形や札幌。そして、甲府同様にチーム存続危機から這い上がってきた鳥栖など。
確かに地力としては降格してきた 3チームがあるでしょう。しかしいくらなんでも、降格 3チームがそのまま上位 3チームになるほど単純な結果になるとも思えません。どこが上位に来るにしても注目のシーズンになるはず。


これらの理由から、甲府の J1昇格は非常に価値があると考えます。ただし、来季 J1 で酷い低迷をするようではこれらの価値が少し目減りしてしまうでしょう。甲府にはなんとか残留を目指して頑張って欲しいです。
それにしても、どうしてこの入れ替え戦を TV局は地上波放送しないのでしょう? スポーツにおけるゲームの面白さは、技術的なレベルよりも、その試合に臨む選手や観客の想いの重さの影響の方が大きいということをわかってないのでしょうか?


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