Jリーグ・1シーズン制についての雑感
2005/12/04
2005年 Jリーグ (J1) は、最終節まで 5チームが優勝の可能性が残るという大混戦。その最終節も試合中 3チームの間で優勝の可能性が揺れ動く劇的なドラマとなりました。
ここではその混戦の原因だったかもしれない、今シーズンから始まった 1シーズン制について考えてみます。
1シーズン制は Jリーグにおいて大きな影響がありますから、当然過去のコラムに書いています。「続・Jリーグへ提案」、「チャンピオンシップ考」 で書いたことを要約するとこんな感じです。
“理想は 1シーズン制。ただし、選手の海外移籍や、チャンピオンシップが Jリーグの広告塔的意味を持つなどの 2シーズン制にもメリットも大きい”。
とはいえこれを書いたのは 1999年のことです。当時とは状況が変わりました。ここ数年で引き分け制度、2部制度といったサッカーの王道システムの理解も深まりました。入れ替え戦という広告塔ゲームも出来ました。2シーズン制は完全にその役割を終えたと言えるでしょう。
さて、今年から 1シーズン制が実施されることになった際に心配されたのが以下です。
「強豪チームが勝ち続けて早々と優勝が決まってしまい、消化試合が増えるのではないか」
「優勝争いに参加できるのは地力があるチームだけになってしまうのではないか」
今シーズンの結果からいうと、それらの心配は全くの杞憂となりました。とはいえこれで上記の心配がこれから先に発生しないということではありません。実際、今年の混戦はたまたまそうなった結果である可能性は高いです。
ただ、実際に 1シーズンを終えてみて思ったことは 「独走が発生する確率は (単純な実力差から発生する確率よりも) 少ないかもしれない」 です。それはこういった理由から。
1年間調子のいいチームはいない
単純にチームの調子といっても、実はそんなに単純な調子の話だけではなありません。好不調の他にもこんなことが考えられます。
例えば怪我人について。どのチームも 1年間怪我人が出ないということは有り得ないわけですが、怪我人が発生するタイミングが調子の波に影響することは多いです。すなわち、早期に怪我人が発生した場合は後に復帰してくる可能性が高いですし、ずっと怪我人なしで高い戦力を保ってきた (すなわち上位にいるであろう) チームは当然疲労が溜まる後半に怪我人が出る可能性は高くなります。
またその怪我人が帰ってきた場合はイエローカードの蓄積が少ないです。今シーズンの終盤にも 2度目の累積警告で 2試合出場停止という主力選手が何人かいましたが、ベストメンバーで戦ってきたチームは、主力選手にイエローカードが溜まっている可能性が高いわけです。
調子の悪いチームがアクションを起こす
次に、調子の悪かったチームが何かアクションを起こすことが影響します。今年のケースでいうと、スタートに失敗した C大阪は 6月のグアムキャンプでの走り込みなどが後の好成績に繋がったそうですし、同じくスタートに失敗した浦和は途中で外国人選手を補強したことで最終節ハーフタイム時点では首位になるまで盛り返したわけです。
言うまでもなく、2シーズン制ではこのアクションは間に合いません。1シーズン制だからこそ生まれた要素です。
走ったチームは研究される
そして、こちらが単純な実力差が出ないのではないかという根拠になるのですが、首位を走るチームはその戦術やキーとなるプレーヤーの対応方法を研究されることで、簡単に勝ち星を増やせなくなってしまいます。今季前半の鹿島の独走は 1シーズン制なら前期優勝で終わりでした。しかしその後足踏み。この過程で下位チームから警戒されたことは間違いありません。鹿島を走らせるなという雰囲気も出てきます。同じく後半成績が上がってきた G大阪も首位に立った後で足踏み。こちらも、サッカー番組や雑誌でその攻撃力が大きく取り上げられるにつれ、それが警戒されたのは明らかです。
その一方、C大阪が終盤に勝ち星を伸ばしたわけですが、このチームはほとんどノーマークだったことも無関係ではないでしょう。
もちろん 「これらの理由で絶対に独走は起きない」 というわけではないですが、単純な確率分布的に起きるであろう独走の確率よりは、実際に独走になる確率は低くなるのではないかと思います。
最後に少し、今年の結果から考えられる来季の展望。
無理に走ったチームは危ない、そんな気がします。開幕からベストメンバーを並べて走ると、他チームに研究され尽くされてしまいます。また、シーズン終盤に累積警告が溜まっている可能性が高いです。若い選手を起用するなどしてチームの底上げをしつつ、上位から離れないように付いていき、終盤に勝負をかけるのがベストな戦い方ではないでしょうか?
すなわちこれは、短期決戦型とは全く違う、育成も可能な監督の意義が高まるということかもしれません。