プロバスケットボールリーグ - bj リーグ
2004/11/28
『最近の日本スポーツの騒動に関する雑記』 に書いたバスケットボールの騒動に進展がありました。JBL の反対を押し切ってのプロリーグ発足です。
予想通り、チーム名から企業名を外した Jリーグ的な地域密着スタイルです。ただし、運営についてはドラフト、サラリーキャップなど NBA を手本にした方式。
これに対し、JBL などからは強行な反対があり、“bj リーグに参加した選手からは日本代表を選出しない” などの声も出ています。
この 「新しいリーグの所属する選手からは日本代表を選出しない」 というのは、実は特におかしな話ではありません。かつて Jリーグにおいて、一部のオーナーがJリーグからの独立をほのめかした時にも同じことが言われました。サッカーでは FIFA が認める国内唯一の機関である日本サッカー協会に所属している選手でないと、日本代表には選ばれません。それはバスケットボールでも同じでしょう。
ただし、今回はその Jリーグの時とはちょっと事情が違うように思います。あの時は、既に存在するJリーグという国内のプロ組織が気に入らないから別のプロ組織を作るという話でした。国内に全く別のプロリーグがふたつ存在するのはその国にとって明らかにマイナスです。それに対し、今回の bj リーグは今まで存在していない国内唯一のプロリーグを作ろうという動きです。今まで存在していたのはただの実業団リーグ。プロリーグと実業団リーグが個別に存在しても一向に構わないはずです。やはり、“bj リーグの選手からは日本代表を選しない” というのは、どう考えても bj リーグ潰しを狙う嫌がらせでしょう。
もちろん、bj リーグに反対する意見全てが、理不尽なものであるという気もありません。
その一部には当然、感情的な反対とか、既得権益を守るとかいう、理不尽なものも含まれているとは思いますが、冷静に判断した上で、“まだ環境がととのっていない”、“慎重にやるべきだ”、 “無理だ”、という意見もあるでしょう。けれでも、『最近の日本スポーツの騒動に関する雑記』 に書いているように、プロリーグ設立は新潟、さいたまのようなクラブチームにとっては生き残る為の最後の手段です。むしろ、もうここまで追い込まれたといってもいいかもしれません。もはや、やるしかないのです。
対する JBL は、新潟らのプロ化への提言を長い間無視しておきながら、例の脱退騒ぎ以後にやっとプロ化検討をする組織を作ろうか、どうしようか、という議論を始めたようです。しかし、仮に bj リーグが駄目になり、bjリーグの地域密着チームが潰れてしまい、それらのファンの期待を著しく裏切った後で、 新しいプロバスケットボールリーグが成功するでしょうか? それこそ絶望的です。
bj リーグの先行きは決して甘くないのは事実です。でもやはり、もはや、やるしかないのです。
bj リーグ成功への向けてのポイントはふたつほど思い当たります。
ひとつは、チームのホームタウン、仙台、新潟、さいたま、東京、大阪、大分が、Jリーグのホームタウンと重なっていること。しかも、ほとんどが数あるJリーグの中でも地域密着が成功したといわれている町です。おそらくある程度意識的に行っているのではないかと思いますが、これらの町は、“こうやってチームをサポートすればいいのだ” というモデルが存在しているということです。
そして、てっとりばやくJリーグのサポーターを巻き込んでの応援するコア集団を作ってしまうべきです。プロリーグができたからといって、コートで行われるバスケットのプレーが大きく変わるわけではありません。(むしろ設立直後は JBL よりもレベルが低いはずです。) また、Jリーグ設立時のバブルの頃と違い大物外国人選手はそれほど期待できないでしょう。
しかし、今までと違う可能性があるのは、サポーター (bj リーグでは “ブースター” と言わせたいようですが) がいること。実業団リーグの会社の応援団や、一部のバスケマニアだけではない、幅広い層の地元の人が応援にいることです。そこに応援する人がいること、これでマスコミの見方は全く変わります。観客が集まれば取材が始まり、話題になります。話題は次の観客を呼びます。そして、スポンサーを呼びます。自治体も協力しやすくなります。
どうやって、この流れを掴むかがポイントで、最初の起爆剤はJリーグと協調することでサポーターを共有することがベストな方法であることは間違いありません。(これは、地域のバスケットボール協会が JBL 側である、すなわち当てにならないというのも理由のひとつです。彼らは JBL の試合開催の収益を得るという既得権益を持っているわけですから。)
ふたつめは、JBL との関係。
今のままで行くと、JBL の方がレベルの高いリーグになってしまうのは厳然たる事実です。やはり選手にとっては、もしかしたら潰れてしまうかもしれないプロリーグよりは手厚く保護された実業団を選んでしまうのは仕方ありません。最低限、将来へ向けて希望の見える形、bj リーグが将来的に継続するという形が見えないと、選手を集めることはできません。
それには、現在実業団チームを持っているトヨタの動向が気になります。
かつて Jリーグ設立時、多くの企業がチームから企業名を外すことを強行に反対した中、地域への利益還元を掲げ、企業名を外すことを最初に認めたのがトヨタ。そのトヨタがバスケットボールにおいて同じ判断をするのかどうか? 仮にトヨタが動けば、系列企業であり、JBL トップクラスの実力を持つアイシンも動く可能性が高いです。そうなると流れは一気に代わり、現在の日本サッカーのシステムのように、プロリーグの下に実業団リーグという序列へと変化の動きが起きるはずです。
これは bj リーグ側の課題といえるかもしれません。かつて Jリーグがトヨタを説得したのと同じことができるかどうか。
いずれにせよ、既に書いたように、もはややるしかない状況。
おそらく、全ての鍵を握るのは観客動員です。観客動員があれば、間違いなくマスコミや企業が動きます。“自分達の町にバスケットボールチームを持ちたい!” そう思うファンをいかに多く作ることができるかどうか。それに全てがかかっています。
ちなみに運営システムについてですが、Jリーグのような降格昇格システムはありません。あくまでもドラフト制度、サラリーキャップ制度による戦力均衡型です。“あの面白い昇格争いや残留争いがないのは残念” という声もあるかもしれませんが、これは妥当な判断です。
やはり、サッカーとバスケットボールの競技性の違いを無視するわけにはいきません。
サッカーはほとんど唯一といっていいほど、格下が格上を倒す番狂わせを起こすことができる競技。これは、ワンプレーワンプレーの差があっても、最終的なゴールの難易度が高いために、得点差はそんなに広がらないという競技の特性から来ています。
しかしバスケットボールではそんなことはまず起きません。ワンプレーワンプレーの結果がそれぞれ得点に直結して積みあがってしまいますから、最終的に大きな差になってしまいます。もしもバスケットボールにおいて、現在のJリーグのトップチームと最下位チームくらいの戦力格差があったとしたら、何度やっても試合結果は変わりません。もし戦力的に大きく劣るチームができたら、それらのチームはほとんど勝利することなくシーズンを終えるでしょう。いくらなんでもそれではお客さんは来ません。
バスケットボールという競技性を考えると、戦力均衡を目指すのは正しい方向性です。
ただし、ドラフト制度とうまく噛み合わないのがユースシステム。ユースなどの下部組織は地域密着に最も向いたシステムなので、そういう方向を示すならぜひ実現すべきだとは思いますが、せっかく地元で育てたユース選手をドラフトて他クラブに持っていかれるのはたまりません。このあたりは何か手を考えるべきかもしれません。
もしかしたらユースではなく、地元高校などと育成プログラムを組みなどの手法かもしれませんが。