ヴィッセル神戸、チームカラー問題
2004/06/06
「歓迎!金持ちオーナー 〜ヴィッセル神戸〜 (前編)」、「(後編)」 で取り上げたヴィッセル神戸ですが、そのチームオーナー変更の後でちょっとした事件が起きました。(事件というのはちょっと大袈裟でしょうか?)
新しくチームオーナーになった三木谷氏が、来シーズンから “チームカラーを 「白黒」 から 「深紅」 に変更する” ことを宣言したのです。それに対して、一部のサポーターが変更凍結の運動を起こしました。今回はこの事件について考えてみます。
僕の考えでは今回の事件は、三点のポイントがあると思います。
まず一点目、チーム名だろうがチームム本拠地であろうがチームカラーであろうが、チームオーナーがそれを変更するのは “法的” には全く問題が無いこと。
二点目、Jリーグの地域密着(=地元のサポーターと共にチームが存在する) の考え方からすると、チームオーナーが全くの個人的な考えでチーム名やチーム本拠地やチームカラーを変更するのはJリーグの理念 (から考えられるクラブのあり方) に反するということ。一点目の “法的” に対応して言うならば “道徳的” によろしくない、といったところでしょうか。
ただし、ここで押さえておかなければいけないのは、( 「ジェフユナイテッド千葉・市原」 で書いたことに似ているのですが、) “チームの存続に問題が生じるような危機的状態では理念に拘っている余裕はない” ということです。
上記の二点を考え合わせると、三木谷オーナーに交代しなければ莫大な借金を抱えてお先真っ暗だったというヴィッセル神戸の危機的状況では、オーナーの意向に異議を唱えることができる人はいないでしょう。
ただし、三点目のポイントがあります。
それは、チーム売却の条件時の “チーム名、ホームタウンを変更しない” という項目があったこと。これ、三木谷オーナー側から見ると、“ふむふむ、チームカラーは変更してもいいんだな” と解釈したのでしょう。しかし、僕がこの条件を知った時にはこう思いました。“ふむふむ、Jリーグの理念 (から考えられるクラブのあり方) を保持したまま、すなわち、外見上は全く今までのままで経営だけが変わるのだな” と。おそらく、この売却を見守っていたサポーター達も同じ事を考えていたのだと思います。だからこそ、彼らは今回の変更に反発したのでしょう。
今回の事件の原因は、こういった前提となっている意識の違いが根底にあると思われます。“Jリーグの理念 (から考えられるクラブのあり方) から考えると、チームのアイデンティティである、ホームタウンやチームカラーといったものが変更するなんて考えられない” というサポーターと、そうではない人の意識の差。これはJリーグの理念が一般にはそれほど浸透していない、という証明とも言えます。
これらのことから僕が考えた結論としては、“Jリーグの理念が浸透していない状況で、全ての出来事にJリーグの理念を求めるのは無理だろう” ということです。特に、現在Jリーグに関わっている人がJリーグの理念を理解しているのは当然ですが、外から来た人にそれを求めるのは現時点では無理である、と。
ですから、神戸のサポーターができるのはオーナーに “お願い” をすることだけ。その結果がJリーグの理念にそぐわないことであっても現時点では仕方ありません。
だけれども、もし仮に、三木谷氏が子供の頃からヴィッセル神戸が存在し、ずっと白黒のチームカラーで、地元から強く支持されているチームであったならばどうだったでしょうか? おそらく、チームカラーの変更ということはなかったのではないかと思うのです。すなわち、これも 「ジェフユナイテッド千葉・市原」 に書いたのと同じで、Jリーグの理念が浸透するまで過渡期であることならではの問題なのでしょう。
しかし、もしかしたら、三木谷氏は全てを分かった上でやっている可能性がないとはいえません。サポーターの反発を受けてでも、ヴィッセル神戸というチームには変化が必要なのだ、と。これから生き残っていくにはそれしかないのだと。
とにかく、今回はこのチームカラー変更がどういう影響を生む出すのか、我々は外から見守るしかないかないでしょう。
関連リンク
blog武藤文雄のサッカー講釈 - ヴィッセルのチームカラー
余談になりますが、“チーム”、“クラブ” の言い分けは、今回はちょっと悩みました。Jリーグの理念から考えると単純に試合をする “チーム” ではなく、その他の全ての組織を含めた “クラブ” という言葉に統一したいと常々考えています。ただし、チームカラーと言う言葉に対するクラブカラーと言う言葉は、ちょっと使いづらいというのが現状。今回は “チーム” という言葉に統一しました。
現在クラブカラーというような言い方ができるのは、サッカー、バスケット、チアリーディングで同じオレンジを基調にしている新潟くらいでしょうか。あとは、磐田もサッカーとラグビーを水色系で統一したところです。
将来、どこのクラブも複数のチームを持って、“クラブカラー” という言葉が使えるのが理想ですね。そうなったら、当然クラブカラーを変えるなんて話は出てこないはずなのです。