サッカー不毛の地 FW 輩出説
2004/02/15
“サッカー不毛の地 FW 輩出説”。
実はこれ、僕が数年間に言っていた冗談です。ところが最近、その冗談の“元ネタ部” が補強されてきたのです。
今でも冗談だとは思っているのですが、もしかしたらまるっきりの偶然とは言えないのかもしれません。その話を書いてみます。
まずは問題です。
以下、Jリーグで活躍した、あるいは現在活躍中の選手の共通点は?安永聡太郎 (横浜-清水-横浜)
田中達也 (浦和)
高松大樹 (大分)答えは、FW であるということ。そして、山口県出身であるということ。
最初に “数年前に言ってた冗談” と書きましたが、その頃に挙げていた名前は、J2 に降格したばかりの湘南で活きのいいプレーをしてた西本竜洋を挙げていました。今なら広島でプレーしている中山元気を加えてもいいかもしれません。
僕は山口県出身のJリーガーというとこれくらいしか思い当たらないのですが、その選手全てが FW なのです。ネットで調べてみたところ、FW 以外の山口県出身のJリーガーもいるみたいなのですが、残念ながら聞いたことの無い選手。サッカーファンの認知度からいうと上に挙げた選手の実力や知名度は、他の山口県出身の選手に比べて突出しています。これ、明らかに FW に偏ったプレーヤーの輩出率と言えると思うのです。
さて、山口県の話もしないといけません。少なくとも僕が育った頃の山口県は間違いなくサッカー不毛の地でした。自分のプロフィールにも書いていますが、僕の通った小学校の学区では全ての子供がソフトボールをしなければいけないような地域でしたし、僕の通った中学校にはサッカー部はありませんでした。実際、安永 (->清水商高) や田中 (->帝京高) が、他県のサッカー名門高校へ進んだことが、山口県がサッカーに関しては遅れている県であることを証明していると言えるでしょう。
(とはいえ最近は事情も変わっているのだろうと思います。実は少年サッカーでは十数年前くらいから全国大会のいいところに行く例が出てきてます。- 全日本少年サッカー大会過去の記録。 高校でも多々良学園などは各種大会でいい成績を収めていますし。)
さて、これで終わっては山口県の FW 輩出の事実だけで終わってしまいます。“サッカー不毛の地 FW 輩出説” というからには、その原因を考えてみたいと思うのです。 つまり、サッカー不毛の地では FW が育つのではないか? という仮説です。
ポイントは子供時代のプレーです。
例えば、静岡のようなサッカーが盛んな地域を考えてみましょう。非常にテクニックがある子供がチームに入ってプレーをするとします。チームには他にも自分同様テクニックのあるプレーヤーがいる可能性が高いです。つまり、(自分が決めなくても他人が決めてくれる) = (いいパスを出せばよい)、と考えるようになる傾向が高いのではないでしょうか? または “アシストする楽しさ” を知り、そちらに魅力を感じて優先するプレーヤーになるかもしれません。
一方、サッカー不毛の地では違います。自分はお山の大将です。周りは下手くそばかり。彼らにパスを出したって点にはつながらず試合には勝てません。自分でシュートまで持っていくべきです。必然的に 「俺が自分で決める」 そういうプレーをする傾向が高くなるのではないでしょうか?
この結果、比較的サッカー不毛の地の方が、テクニックのあるプレーヤーが FW になる可能性が高いのではないでしょうか。
(そういえば静岡では、高原直泰の小学生時代の映像を見る機会が多いですが、当時の高原は明らかに周りの小学生より頭ひとつ大きくて、ドリブルからシュートまでをひとりで全部やってました。あれは成長時期の問題で、結果的にお山の大将状態だったのかも。)
仮にこの仮説が正しいとすると大きな不安につながります。なぜなら、Jリーグができて若年層の育成システムはどんどん進みます。サッカー不毛の地は全国的に減りつつあります。とすると、テクニックのある選手が FW になる割合はこれからどんどん下がるかもしれません。“海外だって若年層の育成は盛んだからそんなことはない” と反論する方がいるかもしれません。しかし元々日本には、協調を是とする風潮があり、その辺りの土台が違うのではないかと思います。自己主張の強いお国柄の韓国ではやはり一番上手い選手が FW になるそうです。日本においては、このまま放っておくとシュートよりパスを選択する風潮が高まるのではないかと思うのです。
こういったことを考えると、日本においては特に意識して、FW を育てるような若年層の指導をするべきでないかと思います。事実、そいう動きもあるようですが。
関連リンク
ストライカー不足解消へプロジェクト - U-16 ストライカーキャンプの記事。
静岡学園・井田勝通監督のコメント - 「GKは、専門のコーチから指導を受けることが多い。井田監督は、FWはGKと並ぶ特別なポジションであり、指導者の環境整備が必要だと言い切る。」