流行音楽についての雑記 (2004年秋編)
2004/10/24
久しぶりに音楽ネタで。
mihimaruGT
男性ラッパー+女性シンガー (ラップもやる)、という今ではそれほど珍しくない構成の 2人組のユニットです。日本語ラップ物はあんまり好きではなかったのですが、試聴コーナーで聴いてみて “ちょっと面白いかも?” と思って買ってきました。で、なんどか聴いているうちに結構気に入りました。ベース的にはヒップホップ的な要素があるんでしょうけど、それをポップ寄りに思いっきり振り切ったのが僕的に好みに範囲に入ってきたようです。
個人的には、このボーカルの人、シングル曲は結構普通に歌ってるんですが、アルバムでは結構癖のある声で歌っていて、CD や PV から見えるルックスと全然イメージ違うのが印象的です。
さて、この mihimaruGT の楽曲中に非常に “今の音楽” を象徴していると思われる楽曲があります。"願い" という 3rd シングルとしてリリースされている楽曲です。
この曲の構成は従来の常識から考えると、かなり特殊です。
サビ 8小節 間奏 8小節 Aメロ 4小節 Bメロ 4小節 サビ 8小節x2 間奏 8小節 Aメロ 4小節x2 Bメロ 4小節 サビ 8小節 : : サビから始まることは珍しくはありません。変わっているのはAメロ+Bメロがわずか 8小節で終わるということ。すなわち、曲がサビではじまり、それからわずか16小節でまたサビがやってくるのです。2回目はAメロが 8小節あることを考えると、元々長かったのを意図的に縮めた可能性もあります。
この “サビ重視” は、現代のポップスが置かれている状況を象徴しているのではないかと思います。TVCF タイアップの場合に流れるのはサビだけ。携帯着メロで流れるのはサビだけ。ネットにおける視聴部もサビが中心。かつてに比べて明らかに曲中におけるサビの重要度が増しています。 (サビが良いこと) = (良い曲) というのが現在のポップスの常識です。それを推し進めれば、楽曲の中でサビの部分を多くすれば良いという流れは当然ではないでしょうか。
まあこれが悪いことだとは一概には言えません。事実その "願い" という曲は個人的にはとても気に入っているのですが、やっぱり “サビの部分が聞きたい” といつも思ってますから。
ただし、世の中の全ての曲がサビ重視になってしまうのは、音楽の可能性を狭めることになるのでいいことではないでしょうね。まあ、世の中にはポップス以外の音楽もあるわけで、実際はそういうことにはならないと思いますが。
ついでにいうと、アルバムにおける CD の曲順も今の時代の並べ方があるはずです。 僕などがそうなのですが、CD ショップにおける試聴コーナーを利用してCD 購入を決める人も多いはず。とすると、アルバムの最初にユーザーを惹きつける曲が必要です。
かつてのアナログレコードの時代なら、A面やB面の初めや最後を意識して曲を並べていたはず。そして CD の時代になって A面 B面の考えがなくなったはず。そして現在、試聴して CD を購入する時代になると、アピールする曲を先頭に置かなければならなくなっているはずです。
もしこれから “ネットで大量の楽曲の中から一曲を選んで購入する” というのが一般的になると、アルバム的なもの自体がなくなってしまうかもしれませんが。
アニメ主題歌の充実
もう随分前からですが、アニメ主題歌が昔とは大きな変化を遂げていますね。
これにはふたつの内容が含まれます。ひとつはロックやポップスのアーティストがタイアップとして主題歌を提供しているという話。
個人的に凄く印象に残っているの事があります。90年代後半の話ですが 「るろうに剣心」 というアニメのエンディングが JUDY AND MARY の "そばかす" だったこと。そのアニメを観ていた記憶はないので、(楽曲のヒットのタイミングなどから考えると) おそらく再放送でやってるのを見かけただけなんですが 「なぜこの名曲が?」 と驚いたことを覚えています。“驚いた” ということからわかるように、僕はその当時はこういったポップスのアーティストの曲がアニメ主題歌になっているとは思いもしませんでした。 (時期的にはこの頃が始まりみたいですが。)
ところが、ここ数年ではそういうことは全くもって珍しいことではなくなりました。
ポイントとして、アーティスト側がアニメ主題歌であることをデメリットに感じなくなっていると思われるということが挙げられます。かつてはアニメ主題歌というと“子供向き” という、マイナスイメージがあったはず。しかし最近はハイティーン以上向けのアニメが存在するという要因も大きいのでしょう。ロックバンドが平気でアニメ主題歌としてタイアップしています。
そもそも現在、新作アニメが毎週80本 (地上波とCS類を合わせての話だと思いますが、) 放送されているそうで、これは史上最多の状況らしいです。しかし特に一般的にアニメブームであるという話は聞かないですから、これはむしろアニメが既に生活に定着しているということで、そういう状況になってしまった上では、ロックバンドがアニメ主題歌としてタイアップしても不思議な話ではないのでしょう。
さて、もうひとつの内容として、単にアニメ主題歌の楽曲としてのクオリティが高くなっているということも言えるでしょう。これは上記のアーティストが楽曲提供というのも含みますが、単に声優さんが歌うケースでも楽曲提供のクオリティがあがっているということです。というか、アニメ専門のようなレーベルなどがあるようで、専属アーティストみたいな人たちもいるみたいです。
で、実はここで主張したいのはこれからで、これらが将来もたらすであろうこと。
それは子供に与える影響です。アニメに限らずウルトラマン系、仮面ライダー系、戦隊系、などの特撮物番組の主題歌についても同じことがいえるのですが、我々が子供の頃に観ていたそういった物の主題歌と、現在の主題歌の楽曲のクオリティが段違いであると思うのです。大人が聞くのと同等の楽曲を子供の時に聴く。これは将来大きな影響を及ぼすのではないでしょうか?
シンコペーション、変拍子、転調、特殊なコード進行、ラップ物、英語の歌詞、ループ/サンプリングで作られる音楽、DJが作る音楽、…… etc.
子供の頃からこういった音楽を耳にして育つこと、これ絶対に将来の日本のポップスのクオリティに多大な影響を及ばすはずです。日本のポップスのレベルアップの原因はアニメだった、最終的にはそうなるのではないかと睨んでます。
関連リンク
アニメ主題歌