プロ野球のチーム数について

2004/09/26

プロ野球の騒動は、とりあえずの決着となりました。
あくまでも “とりあえず” の決着です。「
プロ野球騒動の根本原因」 にも書いた通りですが、これからも状況は変わっていくはず。そして、問題の一番表面的な結果、すなわち来年の球団数こそ当初の予定より大きく変化しましたが、問題の原因、すなわちチーム経営の問題自体は全く変わっていません。

“1球団減る” から “1球団減った代わりに仙台に新しくチームができる” と変わったのは “たまたま” の結果です。奇跡的な結果オーライと言っていいかもしれません。たとえば数年前の不況真っ只中で、まだ IT 産業が発展していない時期だったらどうだったでしょう。チームを持とうと言う企業は出てこなかったはず。おそらくチーム数は減っていたでしょう。1リーグ化も決まっていたかもしれません。今回の決着は決して手放しで喜べる話ではないはずです。
ただし、全く悲観的なことばかりでもありません。今回の騒動は明らかに多くの人の問題認識に役立ちました。問題の原因に手を入れるスタート地点には立ったといえます。それには 「
プロ野球騒動の根本原因」 で書いたように、全体を考えるシステムなしにはありえないわけですが。


さて、様々な問題のうち、ここではプロ野球のチーム数の話だけに絞って考えてみたいと思います。

TV においてもプロ野球問題について、様々な人がコメントをしていました。その中にあったのが “チームが減るのではなく、むしろチームを増やしていくようでなければいけない” という意見。これについて考えてみます。
たとえば 10チームで始まったJリーグは現在28チーム。来年にはもう 1、2チーム増える予定です。MLB もかつてに比べて大幅にチーム拡大を行ったはず。当然日本のプロ野球もそうするべきでしょうか?

プロ野球のシステム、Jリーグのシステム (前編) (後編)」 の焼き直しになるのですが、もう一度簡単に書いてみます。
少なくとも現在のプロ野球は、“少数チームであることのよる全国的な注目度” をベースに成立しています。注目されているからこそ親会社はチーム維持にお金を出してくれるのです。具体的には12チームであるからこそ、6試合の試合結果を TV のニュース番組で報道してくれます。スポーツニュースだったら全試合の内容を映像付きで報道してくれることが多いです。では、もし18チームだったらどうでしょう? 試合数は 9試合になります。そうなった場合は、そのうちの何試合かは試合結果だけを伝えるということになりはしないでしょうか? 少なくとも 1チームの注目度は確実に下がります。そうしたら親会社がお金を出すメリットは今よりも小さくなってしまいます。

つまり、現在のプロ野球のコンセプトが “少ないチーム数による少数精鋭で注目をさせるシステム” である限り、チーム数が多くなることはコンセプトを外れる行為なのです。コンセプトを外れる行為をして上手くいくはずはありません。結論としてはプロ野球はあまりチーム数を増やしてはいけない、ということです。
付け加えると、あくまでも現時点の状況で12チームが良いのであって、状況によって増えたり減ったりするのが自然でしょう。その時代時代のプロ野球の注目度に合わせたチーム数が、適切なチーム数です。 (むしろ、今回オーナー側が企んでいたと思われる 8または10チームによる 1リーグ制というのも理解できないわけではありません。確実に 1チーム当たりの注目度が上がるのですから、オーナー側からすると明らかに有意義な状態でしょう。)


ですから、もし “チーム数を増やす” というなら、それはふたつの可能性があります。
ひとつは現在よりもプロ野球が注目される状況にあること。それならばチームを増やしても構いません。まあ現在の状況としては、以前より低下している TV 視聴率や、データ的には以前より増えているとはいえ空席の目立つスタジアムの状況から判断して、チーム数を増やすことが現実的だとは思いません。
もうひとつの可能性は、プロ野球のコンセプト自体を変更することです。その時はおそらく “地域密着” というコンセプトに違いありません。こうなると、企業とチームの関係は今までとは全く変わるものになるでしょう。それは関係する様々な人にとって、既得権益を失うことであったり、あるいは純粋に心情的にチームが別のもの生まれ変わることへの痛みであったりします。これは決して簡単なことではないでしょう。

そういったことを考えると、やはりプロ野球は現状のコンセプト内で、それを実践する為の改革をするべきだと思います。僕は Jリーグの理念を支持していますが、全てのスポーツがそうなる必要はないと思っています。“少数精鋭による勢力均衡のリーグ” というコンセプトは “あり” です。そのための改革、ドラフト制度や、収益の再分配など、いくらでもやることはあり、おそらくそれらを実現しさえすれば間違いなく上手くいきます。
チーム数を増やすとするならば、そういった改革を進めた結果、プロ野球が今よりも注目を集めるような状況になってからの話でしょう。


ところで、そのプロ野球が今より注目を集めるような方法について個人的な意見。

あくまでもコンセプトが “少ないチーム数による少数精鋭で注目をさせるシステム” だとするならば、僕は、12チーム 3リーグ制を提案します。
東、西、中央の3リーグ4チームづつ。もちろん交流戦あり。各リーグ優勝チームと、残りのチームでの最高勝率チームがワイルドカードとしてプレーオフに出場。MLB の各ディビジョンと同じ方式です。3つの優勝争いとワイルドカード争い。今年のパリーグの 3位争いが注目されたように、間違いなく “注目させる” 要素が増えるはずです。
まあ、今すぐ行うと戦力格差の問題が出てしまうかもしれないですが、ドラフト改革などで戦力均衡をすれば、簡単に毎年盛り上がるシステムになると思うんですけどね。