ジェフユナイテッド千葉・市原

2004/05/30

(最初に。
この件について全くの部外者であるので、様々な事情などわからないことがたくさんあります。ですから強い主張をしようという意図はありません。外部から見ているものの感想という意味合いで読んでいただくのがいいかと思います。
)


ジェフユナイテッド市原騒動について。
まずは騒動のおさらい。

Jリーグ屈指の名門チーム古河電工を母体とするこのクラブは、1993年のJリーグ創設時に千葉県市原市をホームタウンとし、『ジェフユナイテッド市原』 として活動を始めました。(本来ホームタウンにしたかった習志野市では反対があり市原市がホームタウンとして引き取ってくれたという経緯などもあります。)
Jリーグブームの頃は人気クラブのひとつであり大量の観客動員を誇りましたが、ご存知のようにJリーグブームの終焉とともに他のクラブと同様に観客数は激減。ところが、ここ数年でいうと他のクラブが地道に観客数を伸ばしている中、(J1において) 7年連続観客動員最下位。リーグ平均が1万5000人を超える中で、1万人以下しか観客を集める事ができていないという状況です。観客動員という観点でみると完全にリーグのお荷物。それどころか現在のままでは経営が不安定であり、支援しているスポンサー企業に万が一の場合にはクラブ存続も危うい状況になる可能性があります。
この状況からの脱出を図るというのが今回のお話の発端で、ホームタウンを市原市のみから、市原市に千葉市を加えた広域エリアにすることにしました。その際にチーム名を 『ジェフユナイテッド市原・千葉』、呼称を 『ジェフユナイテッド千葉』 とすると発表。(
名称変更について)
これに対して、市原市の市長が激しく反発し、特に呼称変更についての撤回を求めた、というのが事件の概要です。


さて、このサイトでは一貫して地域密着を主張してきたわけで、そこから考えると “(表向きは違いますが) 市原市からの (実質的な) 移転は反対” という主張になるはずなのですが……今回の騒動は “やむを得ない” と感じています。
というのは、サッカーにおけるスタジアムの重要性を強く感じているからです。

これは実際にサッカーを観戦する立場からの率直な感想ですが、“悪いスタジアムや悪いアクセスで観客動員を望むのは無理だ” と思っています。
僕はジュビロ磐田のサポーターですが、年に何試合かはアウェイの応援にも行きます。そうして観戦してみたアウェイのスタジアムの幾つかについてはこう思います。「このスタジアムに通う気にはなれないな」 と。

サッカーにおけるスタジアムとは、サッカーというエンターテインメントを行うのに絶対必要な舞台装置です。ピッチと客席の間にトラックがある陸上競技場や、斜度が緩かったり、雨に濡れてしまう客席、行き帰りの混雑に苦痛が伴うアクセス条件など、エンターテインメント観賞においては大問題です。(全てを求めるのは現実的には無理ですが。)
「サッカークラブがまともなスタジアムを持っていない」 というのは 「オーケストラがまともなコンサートホールを持っていない」 のと同じです。例えるならば、音響的にめちゃくちゃな体育館でオーケストラのコンサートをやっているようなものです。そんなところにお客さんが来るでしょうか?

ジェフ市原の観客動員数が 7年連続最下位という事実。原因の全てだとは思いませんが、大きな責任としてスタジアムの問題があると考えています。市原がホームスタジアムとして利用している市原臨海競技場で観戦をしたことはありませんが、TV から見えるそのスタジアムの様子を見るだけで、これは悪いスタジアムだということがわかります。ピッチから遠く離れ、仮設スタンドとしか思えない客席 (というか、ゴール裏はほんとに仮設のままだそうです)。実際、このスタジアムを訪れたJリーグの鈴木チェアマンが 「お金をとれるスタジアムじゃない」 と発言しているくらいなのです。伝え聞くところによると、スタジアムへのアクセスもかなり悪いようです。

そして、クラブは市原市に対してスタジアムの改修の要望を出していたそうです。しかし、いつまでたっても改修は行われませんでした。
そんな状況で千葉市にできる 1万8000人収容のサッカー専用競技場。クラブがここを使いたいと考えたのは当然でしょう。というか、呼称から市原の文字が消えるのは、千葉のスタジアムをメインに使いたい (これは実質的にはホームタウン移転) という意思表示だと認識しています。チームがそういう判断をするのは “やむを得ない” というのが僕の感想です。
(ややこしいのはホームタウン広域化が決まってから始まった臨海競技場の改修。いや、そりゃアリバイ工作としか思えないんですが……。しかも改修の結果、大していいスタジアムになったわけじゃないみたいですし。)


Jリーグができて10年余り。理想は地域密着クラブなわけで、着実にその方法に向かっているとは思います。
ところが、過渡期であることあから現実との不一致が存在します。例えば、サッカーの実力と人気と観客動員などが、ほぼ比例関係にあるのが本来の姿でしょう。強いクラブは観客を集めて上のリーグへ上がり、弱いクラブが観客を減らして下のリーグへ下がる。これが自然なピラミッドの形です。きっと、これから50年、100年と Jリーグが続けば自然にそういう形ができるはずです。
ところが現在はそうではありません。特に最初に意図的に設置された10のクラブ。たまたまかつての実業団の時代に大きな会社がやっていたことが、現在でもスポンサー獲得に有利になっているなどの理由が現在のクラブの力になっています。
これらの補正作業として、現実的な範囲内でホームタウン移転や広域化が、多少行われるのは “やむを得ない” のではないか、というのが僕の考えです。


関連リンク

「ホームタウン広域化」とは?

Jリーグ観客動員データ

市原臨海競技場

月刊ソガスタ2003


(追記 04/05/31)

“ジェフ 千葉 市原” で検索してみましたが、 (今時はブログばっかり引っかかるので、軽いコメントが圧倒的に多いですけど) 今回の事件で怒っている人はわずかしか見つかりませんでした。そして印象としては、スタジアムに通っているサポーターほど冷静に静観している印象です。彼らの考えでは、ジェフの方にも問題があったが、やはり市原市側にも問題があったと考えている人が多いようです。
例えば、市原市の呼称変更反対の訴えの際の 2万人もの署名が提出されたこと。それなのにその署名提出直後の試合に集まったのは わずかに6000人弱。ほんとに署名をした人がスタジアムへ通っていたのでしょうか? 署名は誰だって出来ます。けれど、署名だけではクラブは維持できません。スタジアムへ通っていた人ほどそれを痛いほどわかっており、今回の件を “やむを得ない” と思っているようです。
またチーム名変更に関しても、昨年の時点でサポーター対象のアンケートが取ってあり、その結果 “市原” からの呼称変更を支持する意見の方が多かったようです。これ、間違いなく苦渋の選択だったと思うのですが、サポーターだからこそ、この方法しかクラブが生き残る道はないという冷静な判断をしていたのでしょう。

ここ数年、市原は素晴らしいサッカーをしています。素晴らしいスタジアムを得ることで、その素晴らしいサッカーがたくさんのお客さんを集めることを期待したいです。