プロ野球騒動の根本原因

2004/08/21

プロ野球騒動は渡辺オーナーの辞任という予想外の展開に。いくらなんでもここまで予想していた人はいないでしょうねぇ。

ライブドア、近鉄買収の意思表明に関する雑感」 に書いたように、これからもどんどん状況は変わっていくでしょう。だから何かを書くのは時期尚早だと思っていたのですが、この先どう転ぼうとも、問題の根本原因はひとつであると確信するようになりました。今回はそれを書く事にします。


その前に、あるサイトを紹介。

日本一わかりやすい 「プロ野球1リーグ案がダメな理由」

非常にわかりやすくまとめてありますね。これを前提とした上で、話を進めていきましょう。
さて、これほどまでに 1リーグ化は野球界にとってマイナスだという声があるのに、どうして 1リーグ化したいというオーナーがいるのでしょうか?
そして、1リーグ化を阻止できたら、それで野球界は万事快調となるのでしょうか?


1リーグ化を阻止したからといって、問題の解決にはならないのは明らかです。1リーグ化への流れとは、問題の結果であり原因ではないからです。では、問題の根本原因はどこにあるのでしょうか。それには現在の 1リーグ化騒動の流れ中の心理を探ることがヒントになりそうです。

1リーグ化したいと思っているのはパリーグのチームのオーナー達です。彼らはきっとこう考えています。
「仮にプロ野球ファンの総数が半減しても、残るファンのほとんどである読売と一緒に試合できる方が我がチームにとってメリットがある。」
この考え、おそらく正しいです。

一方、1リーグ化に反対である読売を除くセリーグのオーナー達。彼らは建前はともかく本音ではきっとこう考えています。
「仮にパリーグ消滅しようが、読売との試合数が多い方が我がチームにとってメリットがある。」
これも、おそらく正しいです。

この両者の意見、確かにそれぞれ正しいのです。しかし、そのことこそが問題の出発点です。
両者に共通しているのは、自分達のチームのメリットを第一に考えていること。これが野球を取り巻くほとんど全ての問題の原因なのです。オーナー会議という、プロ野球における重要項目の決定を行う会議の出席者が、皆全て自分達の利益を第一に考えているのです。そして、ベクトルの一致しない意見同士だからこそ、内容の優劣とは全く関係なくその中で一番力の強い人や強いグループの意見が通るわけです。

それぞれのチームのメリットを第一に考えていた結果がどうなったか、例を挙げてみましょう。
たとえばお金に関する話がそうです。プロ野球は観客動員数を正しく発表しません。会社自体の収支も発表しません。それがチームにとって都合がいいのです。赤字だったらイメージが悪いですから隠した方がいいですし、親会社からの赤字の補填は会社の税金対策にも使えます。新人獲得の裏金だってあります。グレーであることが、全てのチームにとって都合がいいのです。
それから、現在のドラフト制度やFA制度もその結果です。一番力を持っていたチームにとって都合が良かったら成立した制度です。
TV放映権の問題も同じ。一番力を持っているチームが自分達にとって都合がいいと思えば、これから先もこのシステムは変わることはないでしょう。
今までファンが要望を出していた交流戦が拒否されてきたのもそうです。セリーグの 5チームにとってはその方が都合が良かったからに他なりません。
飛ぶボールを選択したのも同じでしょう。ホームランが出る方が試合が華やかだし、我がチームの選手がホームラン王のタイトルを獲得できるかも。そう考えたに違いありません。

もしかしたらプロ野球の話だけではないかもしれません。
都市対抗野球といいながら、ひとつの市から複数チーム出場することがあるのはなぜ? チームの持ち主である企業にとってそれが都合がいいのでしょう。ほんとに都市対抗になったら困るわけです。
近頃は改善されてきたとはいえ、プロとアマとの断絶。プロがアマにその技術を伝えるのに障害があるなんて。これだって自分達の意地の張り合いが原因なはず。


問題の根源は、全てのチームが自分達のことしか考えていないことなのです。この対策はひとつしかありません。野球界全体を考えるシステムを機能させることです。プロ野球の全体のことを考えるべきコミッショナーがもっと力と能力を持つこと。いえ、プロだけでは不十分です。アマチュアを含めた全野球界を統合するシステムを作ることが必要なのです。そして、全体のことを考えたルール作りをすること。
『野球界全体にとってこうすることがメリットなのだ。』 そういう誰もが納得する根拠がある主張なくては、各チームのメリットを主張する意見を押さえ込むことはできません。


仮に、今回 1リーグ化が阻止されたとしても、この後ドラフト制度が改善されたとしても、現システムの中で行われたとしたらそれは “たまたま” の偶然です。もしかしたら目先の批判をかわすだけかもしれません。そして目先の批判が薄まると改革は滞るでしょう。注目が薄れると改悪へつながるかもしれません。
まずはシステムを作ること。これが絶対条件です。


これを書いている時に飛び込んできたのが、ライブドアの新球団設立の話。
それが実現するかどうかはわかりません。しかし僕が知る限りライブドアの社長はこういう発言ばかりしているはず。「自分ならうまく球団経営してみせる」 と。
残念ながら、彼も自分のチームのことを考えているだけです。新球団が設立したところで野球界の問題の根本的な解決にはならないでしょう。