アジアカップ・ブーイング騒動とマスコミ

2004/08/14

サッカー・アジアカップにおいて日本チームに向けられたブーイングについてです。
スポーツ以外のマスコミまでもが取り上げて話題になりましたので説明の必要もないでしょう。その結果、普段はサッカーを観ないような人まで興味を持つ結果となり、決勝戦の日本対中国の試合では、32.4%の高視聴率を記録しました。
ここでは、そのブーイング騒動とマスコミについて書いてみたいと思います。

さて、その前にいくつかの前提としての話をしておきます。
まず、決勝戦におけるブーイングに関しては、(国歌演奏中のものを除き) 特に問題とするほどのことはありません。直接対戦の相手チームに対してブーイングするのは当然で、多少タイミングや大きさなどについては国による文化の違いがありますから、こちらの感覚と違った応援態度だったとしても目くじらを立てるほどのことではありません。ですから、決勝戦だけ見てブーイングが不快だったとかいう人は単なる勘違いです。ブーイングが話題になったのは、第三国同士の対戦に一方的にブーイングをするという国際大会のホスト国として相応しくない観客態度であったということと、国歌演奏中にブーイングをするという非常識、についてです。まずここは誤解がないようにしたいところ。

次に、この中国の反日感情についてですが、これについては多面的な認識をする必要があるだろうと思います。つまり、ひとつはサッカーという競技だからこそのワルノリ的感覚も含まれるであろう、ということです。マスコミの取材の中でも、街中で露骨な反日活動をいつも目にするわけではない、というような報道を目にした方も多いと思います。たとえば中国にある卓球リーグに日本人選手が参加していますが、特に不当な扱いを受けたとかいう話も聞きません。つまり、サッカーというナショナリズムを刺激するスポーツだったことが、今回の反日感情の表面化を大きく増幅したという一面があると思われます。
しかしその一方で、間違いなく反日感情が存在し、その実行動として日本人サポーターに向けてゴミを投げるなど非常識な (もうちょっとで十分犯罪になる) ことが行われたのも事実。正直なところ、サッカー選手がブーイングされることなど大したことではありません。彼らはプロですし、ブーイングには慣れています。問題なのは、では北京オリンピックの時にどうなるの?ということ。ナショナリズムを刺激することではサッカー以上かもしれません。たとえワルノリ感覚であっても、反日感情の表明が他競技に飛び火する可能性は十分にあります。その時、野球やサッカー以外の日本のアマチュアスポーツ選手が今回のような不当なブーイングを受けるとしたら、一般の観客が被害を受けるとしたら、それはちょっと許しがたいです。
そこまで見越すと、正式に抗議することは正しい判断だったと思います。


さて、本論はここから。このブーイング騒動とマスコミについて。

今回、僕が最も不快だったのは、アジアカップグループリーグ初戦から明らかに存在していた国歌中のブーイングや、反日行動を、当初マスコミが一切報道しなかったことです。そして、三戦目に日本代表監督のジーコが 「国歌演奏中のブーイングはマナー違反」 と発言した途端に、これらの報道を一斉に始めたことです。
実際、初戦と第二戦の中継でテレビ局は 「中東のチームは人気がある」、「中国のサポーターは弱い方を応援」 などのコメントをしました。(僕は事実が知りたくて TV 2台並べて見たので、NHK だったかテレビ朝日だったか、どちらだったかは忘れましたが。) これって、明らかに捏造です。結果的に報道したくない事実を説明するためにマスコミが TV中継で堂々と捏造しているわけです。
さらに、一度ブーイング報道がはじまると、全てのマスコミが一斉に報道を始めます。今度は過剰ではないかというくらい。これを見て僕がイメージしたのは、教室のイジメの構図です。イジメをはじめると、一緒に参加しないと仲間でいられないような感じ。一貫してブーイングを無視する局があってもいいのに。

もし、日本代表が予選リーグで敗退し、3試合だけで終了してしまっていたら? ジーコが何も発言していなかったら? もしかしたら、今回の反日ブーイングの報道は全くされなかった可能性すらだってあるのです。
ワールドカップの時の韓国国内の様子の報道も、明らかに十分な事実ではない偏った報道が行われました。今回も全く同じです。我々が北朝鮮のマスコミを見て感じる胡散臭さ。でも結局日本のマスコミも五十歩百歩ということになります。


なにも、中国や韓国と喧嘩しようというのではありません。とにかくまずは事実を報道すること。絶対にそれが大事だと思うのです。都合の悪いことを隠した上での友好状態なんて、そんなものは偽りの友好状態です。まずは事実を伝えること。そこから、たとえばどうして反日活動があるのか?という話を始めないと本当の友好状態なんてあり得ません。話をする過程で、主張するべきことは主張し、反省するべきことは反省する、その過程を踏むべきだと思うのです。


思えば NHK ですら、決して公平な報道をしているわけでないという例は過去にもありました。一時期、NHK がスペインリーグの放送権を持っていたときは、世界最高レベルだと頻繁に宣伝していたのが、放映権を失うとともにもはや世の中に存在しないかのごとく。代わりに MLB の宣伝でいっぱいです。

マスコミの公正中立なんてことはありえない、そう頭に叩き込んでおけ、ということなのでしょうか。政治や経済どころか、事件や事故の報道も、ほんとうは公正ではないのかも?