バレーボールの話 (再考)
2003/11/09
3年ほど前に 「バレーボールの話」 を書きました。そこに書いたのは日本のバレーボールをとりまく環境への批判。主には、バレーボールと関係ない芸能タレントを使っての宣伝することはスポーツの面白さを伝える手法としては邪道である、ということ。
ところが、その時に考えたことを多少は修正する必要があるように感じるようになりました。
2000年に行われ TBS が中継した五輪世界最終予選や、オリンピック前年にフジテレビが中継しているワールドカップなど、バレーボールの国際大会の視聴率が高いのは元からです。しかし、今回のワールドカップは前回を上回る注目度であるような印象を受けますし、実際に視聴率なども高く出ているそうです。その大きな理由は、19歳コンビの栗原恵、大山加奈といった大型新人の活躍が大きいと思われます。また17歳の木村沙織の代表入りも話題になりました。
このことから、ちょっと考えを改める必要を感じました。つまり有望な (文字通りの大型新人といえる) 180cm オーバーで運動神経が良い選手を多数獲得するということは “成功している” 証拠ではないのか、という気がしてきたのです。ひとりなら偶然ということがあるでしょう。しかし何人も入ってくるのは偶然とはいえません。
言い換えましょう。どうしてこれらの長身の有望選手が、バスケットボール (あるいはサッカーやハンドボール) にいかずに、バレーボールに来たのか? ということなのです。もちろんバスケットボールにも毎年有望な新人が入ってきてはいるのでしょうが海外選手に太刀打ちできるような選手が入ってきたという話は聞きません。(身長 2mの韓国出身選手が日本に帰化してきたのは期待が持てますが、上の述べた考え方で言うならばこれは偶然。) 相対的な比較という意味で考えると、バレーボールがバスケットボールよりも新戦力を獲得する力で勝っていると言わざるを得ません。つまり、我々が嫌いな、あの TV タレントを集めて大会を盛り上げる手法が、若い世代、というか子供にとってはバレーボールという競技のイメージアップに繋がっているのではないかと考えるしかないのです。
(付け加えるとフジテレビがやっている春高バレーも、メディアの力として相乗効果となっているかも。)
とはいえ、その芸能タレントを使って盛り上げる方法が、スポーツの面白さを伝える方法としては邪道である、という考え自体は変えるつもりはありません。しかし、邪道であっても効果があったことは認めざるを得ません。
ただし実は、邪道でありながらも効果があった原因はバレーボールの外にあります。具体的に言うと (特に) バスケットボールは一体何をしていたのか?ということです。(バスケットボールに思い入れがある身ですが、努めて) 客観的に観ても、ここ数年の女子バスケットボールのジャパンエナジー対シャンソン化粧品の試合は、毎回素晴らし試合を繰り広げる、エンターテインメントとして十分な価値があるコンテンツでした。アトランタ五輪でアジアで最高の成績だったこと、萩原美樹子が WNBA に挑戦したこと、話題も豊富にあったはず。あれほどあった魅力あるコンテンツをバスケットは有効に利用したでしょうか?
結局、何もしていないバスケットボールよりも、メディアで注目を集めるているバレーボールの方が、有望な若手選手を輩出する可能性が高いわけで、それはやり方は邪道であろうと、行動を起こしたバレーボールと何もしていないバスケットボールの差が現れたのです。
ただし、今回のワールドカップの韓国戦のあるシーンを見て、サッカーとの大きな違いに気が付きました。
大変盛り上がった韓国戦の第 3セットだったでしょうか? 勝負どころで日本のサーブが "アウト" とミスジャッジっぽく判定されたシーンがありました。サッカーであれと同様の場面があれば、(ミスジャッジであろうと正しいジャッジであろうと関わり無く) 間違いなく観客は大ブーイングしたに違いありません。線審に対して物凄いプレッシャーをかけていたでしょう。
あのシーンから想像するに、やはりあの体育館に集まっている観客は “自分達の応援で日本を勝たすのだ” という意図で集まっているわけではなく、ただ応援という、悪く言えば “見物” に近い観客だということでしょう。これが邪道の観客集めの限界と言えるのではないでしょうか。代表チームを勝たせる為に全てを尽くして応援をする。それは、芸能タレントが盛り上げるのではなく、心底その競技とその競技の環境に思い入れることなしには有り得ません。バレーボールが瞬間的には大きく話題を集め、多くの観客動員や高い視聴率をとったところで、その中身は現在のサッカーの状況とは質が違う、そう思います。