後に 「トップリーグに失望」 を書きました。


トップリーグ (ラグビー) について

2003/01/12

ラグビーだけをテーマに選んで書くのは、ほぼ 3年ぶりになります。(「ラグビーの話」) そのラグビーに、大きな改革が行われます。トップリーグの設立です。
トップリーグが成功するとかしないとか、ちょっとそういう話はできませんが、トップリーグについて調べたこと、思う事をまとめておきます。

まずは、トップリーグに関する情報を集めましょう。

日本ラグビーフットボール協会 が宣言しているトップリーグのビジョンは以下。

1.日本ラグビーのトッププレーヤーを強化する
2.日本ラグビーの水準向上に貢献する
3.ラグビーファン拡大への牽引役となる
4.企業のスポーツ振興への貢献、地域との協働によるスポーツ振興を達成する

主なシステムは以下。

シーズン 2003年開始の、秋-春シーズン
チーム数 12チーム
参加チーム サントリー、ヤマハ、サニックス、サンヨー、リコー、NEC、東芝府中、神戸製鋼、クボタ、近鉄、セコム、ワールド
対戦システム リーグ戦 1回戦制+上位8チームのトーナメント
リーグ戦は勝ち点制(勝ち4点、分け2点、負け0点)
試合会場 東京、大阪、福岡のスタジアムを中心に開催
下部リーグとの入れ替え 11-12位自動降格、9-10位入替戦
参加選手規定 社会人であること。(学生でないこと)
従来の、移籍1年未満の選手の出場資格なしは、移籍元チームの許可があれば出場を認める。

 

ひと目見てわかるのが、あくまでも企業中心でやっていこうということです。この点に関して、僕がJリーグの理念を支持しているかといって、単純にそれを非難する気はありません。あのJリーグ設立時のバブルと、現在の不況では、あまりに状況が違いすぎます。それに、誤解されている点もありますが、Jリーグとて企業の協力は欠かせない重要な要素であることに変わりはありません。
ただし気になるのは地域密着とはいえない、一回戦制のシステムと試合会場について。もちろん、これについても現実問題としては仕方ないというのが事実でしょう。けれど、これがトップリーグにとって重要なポイントだと思われます。

『ホーム&アウェイでないこと』、『地元で試合をするわけでない』 ということが意味するものは、観客動員の責任の所在に問題があるのです。つまりJリーグにおいては、クラブの観客動員が少ないのはそのクラブの責任です。魅力あるチーム作りはもちろん、地域密着を積極的に行い観客を呼ばなければいけません。その為に地元で宣伝し、ローカルTV局でCM放送をし、ローカルTV番組などを使って宣伝をするわけです。地元で試合を行わないトップリーグは、誰が観客動員の為の宣伝活動をするのでしょうか?

根拠のない漠然とした予想なのですが、おそらくトップリーグは当初、Jリーグブーム的なブームとなるでしょう。その規模がどうなるかはわかりません。Jリーグ設立当時のサッカーのような潜在要素 (『キャプテン翼』 ブームなどで、少年時代にサッカーを経験した若者がかなり多かったこととなど) はあまりなさそうですし、サッカーとは比べ物にならないくらいのルールの複雑さから、そう簡単に理解を深めてもらうのは難しいです。代表チームはアジアではトップとはいえ、世界のトップとの差はサッカーよりも遥かに大きく、W杯で惨敗してイメージダウンになる可能性だってあります。
しかし、競技としての魅力は十分あります。これについては個人的にも太鼓判を押します。ちゃんと見れば十分に面白さがわかるはず。迫力あるプレーに、ブームを作り出す若い女性ファンが飛びつくのも間違いありません。近年の格闘技ブームに通じる要素もあり若者へのアピールは十分です。そういった中にはちゃんと理解を持って、根付くファンもいるでしょう。
けれど、どんなブームも必ず終わりがやってきます。そうなった時に、誰が、どういう方法で人気を維持する努力をするのでしょうか?

Jリーグは明確です。クラブ自身が地元のお客さんを集める努力をする。それができなければそのクラブの消滅です。非常にわかりやすい自由競争の原理です。
こういった場合にトップリーグ同様に過去に企業が中心となってやってきた実業団リーグのやり方は、まずは観客動員に関しては関係会社の社員の動員でしょうか。確かにそれは一時的に観客を集める事が出来ますが、それはその企業の社員でない人達との垣根となる可能性もあり、地域密着とはちょっと違う方向でもあるように思えます。
そして、もうひとつの企業のとる手段は廃部です。これはJリーグのクラブの消滅とはちょっと違うのです。Jリーグのクラブは、その力に応じて経営規模を変えていくことができます。それが適応できなくなった最後の最後の選択が消滅です。あくまでも経済原理の中での出来事。(横浜フリューゲルスの消滅が論議を呼んだのは、そうではなかったからです。) しかし企業の場合、この経済原理とは別のところにあります。そもそも、その存在が経済原理でない部分で動いているケースが多いですから、廃部になるのも本来は全く関係ない親会社の本業の業績だったりするのです。


個人的には、トップリーグの成功、しかも短期的なブームでない長期的な成功を期待したいです。過去の日本のプロスポーツ環境、「火曜から日曜まで野球を観る」 ではなくて 「野球もサッカーもバスケットもラグビーも観る (できれば地元チームを応援する)」 そういう環境になって欲しいからです。
しかし、上に書いたような理由で、企業中心でやっていくのは難しいと思うのです。企業中心でやっていけるのは、すでにシステムが出来上がり、マスコミを使った生活への密着を作り出した (読売とその他のチームという構造を作った) 野球だけ。(他の競技がここへ入っていくのはもはや難しいし、もし入っていけたとしたら希少価値が下がり宣伝効果が薄くなることでこの構造自体が崩壊。)

この今年始まるトップリーグのやり方が、あくまでも遠い将来への過渡的な形態であり、将来は地域密着の (企業を含めたみんなが支援する) クラブとなるのならよいのですが……。


ジュビロ磐田はヤマハ発動機を母体とするクラブチームです。サポーターズクラブが発行する 『Supporter's Magazine Vol.42』 には、ジュビロ磐田の藤田俊哉とトップリーグ入りするヤマハ発動機の村田亙の対談がありました。目に付いた内容として 「交流していきたい」、「(欧州のクラブチームなどによくあるように) ユニフォームが同じだったらおもしろい」 など。
やはり僕も、Jリーグとの連携が理想だと考えます。ユニフォームの統一が実現すればいいなぁと思っています。


その他の関連リンク

日本ラグビーフットボール協会 (JRFU)

sportsnavi ラグビー「トップリーグ」運営の詳細を発表