歓迎!金持ちオーナー 〜ヴィッセル神戸〜 (前編)
2003/12/20
この題名に沿った内容で話を進めたいのですが、その前の話を避けるわけにも行かないでしょうね。
ヴィッセル神戸身売りのニュースはなかなか大きな扱いでした。NHK の7時のニュースではなんとトップ項目のひとつでしたし、News Bird では夜中も延々とそのニュースを繰り返していました。
実際問題、これがトップ項目になるほどのニュースかな?とも思いました。というのは NHK による地元神戸でのインタビューの映像には、まるでチームが消滅や移転するように勘違いをして 「残念だ」 と言っている人がいたからです。ニュース自体がトップ項目でありながらも、状況が正確に伝わっていないのは、残念ながらヴィッセル神戸への関心の無さの表れ。やっぱりトップ項目ほどの話題ではないと言えますね。
しかしこのニュース、トップ項目ほどの話ではないと思いつつ、実はいろいろな側面が含まれている面白いニュースです。普通に考えると悪いニュースですね。実際、NHK では明らかに “Jリーグが抱える問題” としての扱いでした。
確かに今回の売却劇、Jリーグが抱える問題のひとつの現れではありました。けれども、少なくともヴィッセル神戸のサポーターにとっては、イメージダウンとか、クラブが出資者に迷惑をかけているとかのマイナス点はありながらも、それらを補って余りあるほどプラス面が大きい “良いニュース” でした。
本題に入る前に、僕の考え方のベースとなるお話をしておきます。
まず、Jリーグの現状について。
ヴィッセル神戸同様、経営が行き詰っているクラブがあるのは確かです。鳥栖はほとんど危篤状態と言ってもいいですし、札幌の累積赤字も絶望的。他にも危ないクラブがあるかもしれません。けれど設立してわずか10年の組織は、これまでずっと資本の投資をしてきたわけで、今現在赤字を抱えていることだけで駄目だというのはおかしいです。むしろ健全経営になりつつあるクラブが多い現状は、大変良くやっていると思います。
そして、完全な自由競争の社会なので、成功するクラブがあれば、失敗するクラブがあるのが当たり前。残念ながら潰れるクラブがあっても仕方ないと思っています。Jリーグ全体で見て、代わりに誕生するクラブの数が多ければ良いのです。2005年に徳島(大塚製薬)のJ昇格は固いですし、話題になっている草津や、問題を抱えながらも昇格を目指している愛媛など、Jを目指すクラブは順調に増えています。もちろん決して楽観できるとは言えませんが、この不況の中で企業の運動部が次々と消えていったことを考えると、Jリーグは非常に良くやっていると言えると思います。
楽観し過ぎでしょうか? でも実感として10年後をイメージした時に、Jリーグが無くなっているなんて考えられません。今、スタジアムに通っている人達がそんなことを許すはずがないと思うのです。
さらに、スポーツクラブが絶対に黒字でなければいけない、とも思いません。もちろん黒字経営であるべき、は大原則としては間違いありませんが、条件的にどうしても上手くいかない場合は公的な資金の投入があっても構わないと思います。たとえば動物園や美術館やオーケストラが赤字だったら潰れて当然だとは思いません。税金を投入して存続するべきケースもあるでしょう。それと同じことです。もちろんJリーグが単なる金儲け興行であってはそれは許されないと思いますが、若年世代の指導を始めとする地域での貢献があるならば、それらは動物園や美術館やオーケストラと同種のものだと思うのです。また実際月に2回とはいえ、試合の開催では1万人前後の人が動いて、交通費や飲食代を町に落としているわけです。それだけでもメリットあるはず。単純な赤字だから駄目というのは厳しすぎる条件です。
さて、そんな中でのヴィッセル神戸の身売り。
もちろん、売りに出されたということは上手くいっていなかったということです。しかし、今回の民事再生法の適用は、買い手が見つかってから起こしたアクションであることは明らか。買い手が見つかったので、合法的に借金をなくして再出発しようということです。この “買い手が見つかった” というのが、決して最悪な状態ではなかったとも言えます。ヴィッセル神戸を、あるいはJリーグを、民間企業が “さじを投げるほどの状況ではない” という判断をしたということです。
ところで神戸の経営って、一体どういうものだったのでしょうか? 僕の印象では、“あれだけ補強をしているんだからお金はあるんだろうな” でした。峠を越したとはいえカズや岡野といった国内ビッグネーム、元ブラジル代表選手、今年の最後にはビスマルクを連れてきたり。
調べてみると、神戸のメインスポンサーは神戸市。どうやら市民のクラブだったからこそ “多少の赤字はいい” という甘い考えで経営が行われていたようです。再三Jリーグからの経営改善の指導されていたのに、毎年降格争いに巻き込まれていたこともあり、その指導を無視して目先の補強を繰り返していたのです。 (余談になりますが、この神戸を始めJリーグで経営が上手くいっていないクラブの多くは、自治体からの天下りで経営が行われているところが多いそうです。)
考えてみるとバブルがはじけた以後、観客動員自体はもち直してきているJリーグですから、いまだに莫大な赤字を出しつづけるなんていうのは、経営に間違いがあるとしか思えません。実際、数年前には潰れるといわれていた甲府や水戸は経営状態を建て直しました。一方、問題になっている鳥栖は、地元の商店街と対立という記事も見たことありますし、どうも経営陣に問題があるみたいです。結局のところ、Jリーグであろうが一般の会社であろうが、うまくやっていくのは経営を行う人次第。神戸に関しては、今回の身売りにより民間に経営が移ることで、少なくとも現在よりは改善が期待できるのではないでしょうか?
もちろん今回の民事再生法の適用により、神戸市などは投入した資金 (すなわち税金) をほぼ失うわけですが、今回のケースに関しては神戸市は自業自得な面もあるかも。
といったところで、大きく脇道に逸れてしまいました。
本題は後編で。
関連リンク
(追記 2003/12/21)
今回の神戸のケース、経営陣がまともな経営観念を持っている人になることで経営自体が安定することも期待できますが、そもそも今回のケースは買い手側がちゃんと “お金を出す” ことを約束してくれています。その額によっては神戸は一気に金持ちビッグクラブになる可能性もあるわけです。神戸にとってこんないい話はありません。