90分引き分け導入

2003/06/01

Jリーグ、J1 では今シーズンから 90分引き分け制度を導入しました。世界的にも標準といえる方式です。
さて、引き分けに関しては過去に 「引き分けの導入について」 を書きました。そちらでは主に、引き分け導入によってリーグが混戦になるという話を書きました。予想通り、1st ステージのここまでのところも実際に混戦になっているようです。
ここでは、引き分け導入によって試合内容がどう変化したかを書いてみます。といっても、そんなにたくさんの試合を観たわけではありませんので、僕が観た限りの感想というところです。

引き分けが導入されることで、引き分けを狙う試合が増えてつまらなくなるのでは?と言う人もいました。しかし、個人的な印象では心配された守り合いの試合より、攻め合いの面白い試合が増えたように感じます。やはり延長がないことで選手が90分で力を出し切るということが大きいのではないでしょうか。実際に今年のJ1 は大量得点が目立ちます。これは延長を考えて体力をセーブして90分時間を使っていた昨年と、90分間で力を使い切って点を取りに行った今年の違いでしょう。特に残り10分などで点を取りにいこうという意欲が昨年とは大きく違うように思います。もちろん昨年までの延長だって試合の残り10分というのはあったわけですが、100分戦った後の残り10分では、選手達は疲労でもう走れない状況。しかも無理の攻めてカウンターくらうのは嫌な状況。今年は負けていたら言うまでもないし、同点でも格上チームが必死で点を取りに行きますすから、昨年までの残り10分とは全然中身が違います。

そして、それと同時に生まれてきたのが、観ている方の残り10分の緊張感の違いです。昨年と違って残り10分はほんとうにドキドキしながら観ています。「ここで引き分けたら痛い」、「ここで追いつかれたら痛いぞ」 と思いながら。もちろん、昨年までの “Vゴール” という突発的な盛り上がりが無くなったことは否定できないのですが、それを補って余りある残り10分のドキドキ、だと感じています。延長の間ずっとドキドキってのは緊張感の持続的にも無理です。今の90分制の残り数分の方が絶対ドキドキします。

正直なところ、90分引き分け導入でここまでドキドキするとは思っていませんでした。今となっては過去の延長制度が残念でなりません。Jリーグ開幕以降の10年間、このドキドキを奪われていたとも言えるわけですから。


ところで、サッカーの話から外れるのですがこんな話があります。
人は、心拍数が上がってドキドキした時に出会った異性に恋をしてしまうことがあるんだそうです。アクシデントとか運動でも心拍数ががあがるならなんでもいいみたいです。そうなる理由は、本来なら

好き -> 一緒にいると (緊張して) ドキドキ

であるはずのに

一緒にいてドキドキ -> 好き?

と、生理学的に興奮して心拍数が上がっているのに、心理的に興奮して心拍数が上がったのだと脳が勘違いするんだそうです。
ワールドカップ予選/本戦やオリンピック、Jリーグ昇格/降格。ああいったドキドキする場面に出会った人は、サッカーに恋をしてしまったのかも。

ドキドキする90分引き分け導入には大賛成。きっとサッカーが好きになる人が増えるはずです。


いや、よく考えたら別にサッカーでドキドキするのは、生理学的じゃなくて心理的興奮だから、別に誤解してるわけじゃないですね。ま、いいか。
ところで、サッカーにおけるドキドキは 『サッカーの魅力』 にも書いています。

その他の関連リンク

心理学小話 〜人が恋に落ちる場所〜

恋をするならジョギングを


(追記 2003/06/06)

これを書いた直後に以下の記事が出ました。全部乗せておきます。


『Jリーグ、延長廃止でシュート増

 延長戦廃止がJリーグを攻撃的に変えた。Jリーグは3日、都内で実行委員会を行い、オプタ調べによる第1ステージ第10節までの集計データを公表した。90分間での決着が昨季同時期を12%上回ったのをはじめ、ゴール数やシュート数も大幅増。延長戦廃止の効果がデータでも実証された。

 「狙い通りの影響が出ているね」。鈴木昌チェアマンの表情が緩んだ。J11年目での初の延長戦廃止。その効果は顕著だった。90分間で勝ち切るの意識が試合を激しく攻撃的にした。

 ◆90分間決着 81%の試合が90分間で決着。これは昨季同時期の69%を大きく上回る。時間が限定されたことで「時間内での決着を」の意識が高くなった。

 ◆ゴール数 全80試合で計241点。昨季同時期の90分以内のゴール総数は217点で、延長戦を含めても234点だった。シュート数も1979本で、昨季同時期90分以内シュート総計1788本を200本近く上回る。

 ◆得点傾向 前半開始15分間の総得点は32点で、昨年同時期を9点上回った。後半終了前15分間の時間帯の得点も7点増。また今季はMFの得点が136点でFWの81点の1・5倍以上になっている。昨年の年間総得点の54%はFWのゴールで遠めからも積極的にシュートを狙う傾向も強い。

 ◆タックル タックル総数は4460回で1試合平均56回。昨季同時期の3935回(1試合平均49回)から約13%もアップと、攻防も激しさを増す。

 ◆さい配 交代選手は1試合平均5・1人で、昨季の延長戦を含めた1試合平均4・8人を上回る。途中出場選手のポジション比はDFが17%から10%に減り、DFからMFやFWに交代する割合が増えた。

 「日本選手は世界に比べると90分間のスタミナ配分が下手な感じがする。Jリーグで90分間の使い方を覚えてほしい」と鈴木チェアマン。延長戦廃止の決断が日本サッカーのレベルアップにつながることを期待していた。』