『フランス 2-1 日本』 雑感

2001/06/22

コンフェデレーションズカップ、グループリーグの対フランス戦についての雑感です。

最初に書いておいた方がいいでしょう。
まず、サッカーにおいて一試合だけを見て何か結論を語るのは無理が在り過ぎです。サッカーという種目に含まれる要素があまりに複雑で多岐に渡るから。ひとつの要素を語るにしても、そのいくつかの条件が重なった上の結果であって単純ではありません。
たとえば、「勝ったから強い」 など単純ではないです。無失点だったから守備がよかったとは言い切れないし、大量失点がキーパーの責任だとは限りません。パスがよく回ったからといって次の試合でも同じことがきるかどうかはわかりません。

けれども、間違いなく結論を出せることもあります。
その試合が “面白かったか (観る価値があったか) どうか”。

このフランス戦の最も重要な価値は、この試合を見たフランス人や欧州のサッカー関係者が 「日本結構やるじゃん」 と思ったであろうということです。
正直なところ、僕が初戦であるニュージーランド戦をスタジアムで観ていたら 「金返せ! つまらん試合しやがって」 と思ったでしょう。これに対してフランス戦は、「面白いものを観た」、そう思ったのではないでしょうか。(実際、フランスのスポーツ 「レキップ」 による、試合自体の評価は、ニュージーランド戦が星ふたつ、フランス戦が星よっつ、だそうです。)

日本の試合が評価されること、それは日本サッカーに大きなメリットをもたらします。まず日本人選手の海外移籍において有利になること。日本人選手の評価をするときに、やはりベースとなる日本のレベルが重要です。中田や小野が海外で活躍しても、それはたまたま個人の能力が高いだけだと思われるかもしれません。やはり代表がよいサッカー、よい成績を収めてこそ、日本のレベルが高くなってきた、日本人を起用しても良さそうだ、と評価されます。
それから代表のマッチメイクに関してもメリットがあるでしょう。現在、日本との試合では、日本人観光客や日本のTV放映が期待されることが大きいでしょう。それらに加えて “いいサッカー” をするなら試合も面白くなるわけで、更に招待されたりする可能性が高いです。
また今後さらにレベルが上がれば、対等に見てもらうようになり厳しい目で見られるであろうということも、長い目で見るとメリットかもしれません。

そういう理由から、この試合は非常に価値がありました。


とはいえ、最初に書いた “多様な要素” の話もしておきましょう。

まずチームの話については、日本は中盤でプレスをかけられないという条件なら魅力あるパス回しができるのだな、ということ。ただこれは、その条件の部分がミソでもありますが。ほんとにアグレッシブな守備をしてくるチーム相手に出来るのかは未知数だと思います。
で、フランスはあのメンバーだと個人技サッカーになるのだな、というのも印象に残りました。正直なところ、この試合が面白かった一因は主力抜きのフランスであったことも確かでしょう。

さて、問題のジーコについて。
監督ジーコに関しては、これまでは全く評価してませんでした。選手選考も、戦術も、采配も。

現在のベストメンバーを代表のするという方針自体は理解できないわけではありません。しかし、中山や秋田や名良橋らが現在のベストという判断が疑問。若手の選手らと大した差はないです。ほぼ同等なら若い選手を使うべきだと思います。
また、自由や創造性あるプレーというのは、前線に関しては賛成。しかし、自陣最終ラインから中盤にボールを運ぶのに自由や創造性は要りません。そこは、ドゥンガがいうようにシンプルにシステマチックに運べば十分。
采配に関しては、今のところ采配によって何かに対処したというのが全く見られていないので未知数だと言えますが、中一日のリーグ戦初戦で選手交代をしないなどはちょっと信じがたいです。
つい先日の 4バック総入れ替えに至っては言葉もありません。これ、中一日のこの大会用に別セットを用意したのだと思い込んでました。ところがそのメンバーを連続で起用。それまでの 4バックを今後使わないなら、それまでの代表の試合は無駄に使った? なんてもったいない……。

しかし、ただ一点、今回見直したのは “中田にチームを作らせたこと” です。コンフェデレーションズカップに入り、明らかにサッカーの質が変わったように思います。それはこの大会の合宿を通じで、中田が選手らの意思統一を図ったことが理由であるのは間違いないでしょう。
トルシエが選手を押さえつけることで自分の考えるシステムを作ったことに対して、ジーコが中田にチームを作らせたことで、トルシエ自体にはなかった魅力的なサッカーが見られるようになりました。これは日本の可能性を示したということで評価していいでしょう。

ただし、選手選考と采配に関しては不安なのは変わりなく、選手選考も含めて中田がやった方がいいのでは、という気もします。


(追記 2003/06/23)

などと書いているうちに、グループリーグ最終戦でコロンビアに破れ予選敗退。この流れなら突破すると思っていたんだけど。

失点の原因になったのは、最終ラインのボール運びにおける愚かなミスでした。
上に書いたように、最終ラインから中盤のボール運びに自由や創造性は必要ありません。自由にやっていいのはブラジルなどのボール扱い能力が極めて高い人達だけ。日本代表はジュビロがやっているように、シンプルにシステマチックにボールを運ぶべきです。
自由にやれと言ったのはジーコですから、このミスの責任は (選手選考を含めて) ジーコにあります。(どうしても自由にやらせるなら、自由にやってミスしない選手を選べばよいのです。)

(ちなみにトルシエは、最終ラインから一気に前線までパスするので、それはそれで、安全だけれどもちっとも面白くなかったわけですが。)