代表監督に関する考察

2003/09/07

サッカー代表監督についての仕事やその評価について考えてみます。
まあ、考えたことの覚え書き程度の内容ですが。


サッカー代表監督には主に以下の三つの仕事があると思われます。

1、選手選考
2、戦術などのチーム作り
3、試合中の采配

これ以外にも、マッチメイキングなども仕事と言えるかもしれませんし、サポーターやマスコミ相手の広報活動的なものも仕事と言えるかもしれません。しかし、それらはどちらかというとサッカー協会の仕事であって、監督の仕事としては上記の三つが主な仕事でしょう。

それぞれについて少し補足します。
“選手選考”、これは代表監督とクラブ監督の最も大きな違いといえるでしょう。もちろんクラブ監督だって、クラブに選手補強などにリクエストを出すこともあるでしょうが、やはり全く一から自由にチーム作りができる代表監督とは大きく違う部分です。
“戦術などのチーム作り” は、ある特定の試合に臨むシステムや戦術もそうですが、将来を見越し若い選手を抜擢して国際経験を積ませるとか、スーパーサブや守備固めの途中投入選手を決めることも含まれます。(選手の育成は必要ない国もあれば、必要ある国もあります。) 対戦相手のレベルによって戦い方を変える (あるいは変えない) なども戦術に含まれるでしょう。
“試合中の采配” は文字通り、選手交代やシステム変更によって、ゲームの流れを変えることができるかどうか。これは結果に直結します。
これらの三つの項目は優先順序をつけるのは難しいです。ほぼ三割づつの重みを持つ考えて良いと思います。どれか一つが大きく欠落したら絶対駄目でしょう。


さて、これら代表監督の “仕事” があり、そしてその成果である “結果” があります。結果は二つあると考えると良いのではないでしょうか。

1、代表の試合結果。
2、試合内容や、試合中の采配の結果

“代表の試合結果” とは、各種大会の結果です。すなわち親善試合の結果は問わなくて良いでしょう。
“試合内容や、試合中の采配の結果” は、“代表の試合結果” の補足部分と言えるかもしれません。結果は出なかったが内容は良かった、結果は出たが内容はよくなかった、親善試合の内容は良かった、など。

さて、これらの代表監督の仕事と結果を組み合わせて評価するわけですが、評価において全てに優先するべきは “代表の結果” だと思われます。“代表の結果” が良ければ、“選手選考” や “戦術” も基本的には正しいと言わざるを得ないです。
しかしながら、数年後を見越した場合に全く選手交代をせずに結果が出たとしたら、監督の采配能力は未知数のまま。また、固定メンバーばかりを使っていては、将来主力選手が怪我をしたときのことまで考えているのか疑問です。“代表の結果” に対して “試合内容や、試合中の采配の結果” を吟味して評価する、ということになります。
反対に “代表の試合結果” が悪かったら、“試合内容や、試合中の采配の結果” を評価してみます。そこが悪くなければ、たまたま運が悪いのか、あるいはそれがその国の実力。悪ければ、その監督は “選手選考”、“戦術などのチーム作り”、“試合中の采配” の仕事のいずれかに問題があるということでしょう。監督解任が当然です。


ここまでは、代表監督の仕事と成果について考えてきましたが、監督が完璧な仕事をしたら絶対成果が出るかといえばそうではありません。最後に代表チームの成果に対する代表監督の仕事の割合について考えてみます。

どんなに監督がしっかりしても、選手の能力不足は補いようがありません。選手の能力を上げるにはトップクラスの選手だけではなく低年齢層からのレベルアップや育成計画も不可欠です。

1、代表監督の能力
2、選手の能力
3、育成を含めるサッカー協会の能力
(4、運)

代表が素晴らしい成果を出したとしたら、これらの項目が三割づつ (残りの一割が “運”) の要因で成果が現れたのだと思います。

ということは、「代表監督の役割はせいぜい三割程度?
いえ、ここが重要なのですが、反対に代表が最低の成果を出す時には、それは上記の三つの要因のうちのどれかひとつが最低でも、代表の結果は最低になるでしょう。別に代表だからということではなく、ありとあらゆる組織でも同じではないでしょうか。大きな組織で成果を出すには、積み木のようにひとつひとつの成果を積み上げていかなければなりません。素晴らしい成果を出すにはどれかひとつが欠けても駄目。ひとつ積み木が欠けては、全体を積み上げることはできないのです。

素晴らしい成果を出したときの貢献はわずか三割だが、もしかしたら駄目な時の原因としては十割かもしれない」、それが代表監督というものでしょう。他の要因はたくさんの人数が関わることですが代表監督はひとりだけ。
わずかひとりの失敗が全てを台無しにするかもしれない、大変な仕事です。