ワールドカップ雑感 〜韓国を応援するか〜

2002/06/30

ワールドカップにおいて韓国を応援するかどうかについて。

その本題に入る前に少し別の話を。
書こうかどうか迷ったのですが、避けて通るのもあまりに不自然かと思いますので書くことにしました。

例のジャッジ問題ではありません。それに関連した話ではありますが、日本のマスコミ、特に TV報道についてです。
皆さんご存知でしょうが、日本のTV番組は、明らかに共催国である韓国を応援しようという意図があるものばかりです。もちろんそれ自体は問題ではありません。しかし、その為に韓国に不利益な報道が自粛されているのです。

わかりやすいのが、その例のミスジャッジが取り上げられない事。のちに FIFA が誤審を認める発表をしてからは多少は出るようになりましたが、それ以前に海外で (欧州だけではなく、オーストラリアや台湾でも) 取り上げられていた誤審問題に全く触れない不自然さ。
これに関しては明らかな報道規制の現場にも遭遇しました。フジテレビの 「とくダネ!」 では、サッカー解説者の金田氏がミスジャッジに関して審判の批判を始めると、話をさえぎり 「続きは CM の後で」 と強引に CM へ。 CM 明けにはまるでそんな話はなかったかのように話題が変わって、番組が進行しました。

それから、韓国の応援を誉める話ばかり。実際韓国で行われている 「日本が失点した時、負けた時に大歓声」 など、韓国のイメージにとって都合の悪い事には全く触れません。他にも 「試合前日に相手チーム (ポーランド) が宿泊しているホテルの前で大騒ぎしたこと」 や 「相手国家演奏中のブーイング (日本人でもあったようですがそれは一部、全体ではない)」 とか 「ドイツに対して 『ヒットラーの息子達は帰れ』 という非常識な横断幕」、そのような日本人の感覚だと 「やり過ぎ」 だと感じる行動については、ほとんど報道されません。チケット問題でバイロム社を訴えるといっても、「日本と違って韓国では国内販売分が余ってスタジアムがガラガラ」 だったりすることも、「韓国では共催の意識は薄く、単独開催誘致の際につくられた “KOREA 2002” のロゴが今でも町中に溢れている」 ことなども、報道される事はほとんどありません。

マスコミが公正、というのは疑わしいことだとは思っていましたが、これほどまでに一方的なフィルターがかかったことなんて、もしかしたら戦時中以来なのではないでしょうか?メディア規制法案に反対しているくせに、自分達がやってることはこれです。


さて、ではここから本題に移ります。
韓国を応援するべきかどうか?
もちろん、応援したい人はすれば良いです。しかし、僕の答えは 「応援しない」 です。その理由を説明したいと思います。

韓国を応援しない理由は、アジア・サッカーの盟主を競う直接のライバルだから。韓国サッカーの内容などは全く関係ありません。アジアのナンバーワンになりたいのだから、韓国が日本より良い成績をとっては困ります。当たり前の話です。100m走や、ハンマー投げで、ライバル選手を応援するでしょうか? 直接の戦いでなくても、競っている相手なのです。
この考え方は日本代表に限りません。僕は応援するジュビロ磐田を、日本最高のクラブチームになって欲しいと思いますから、現時点での直接のライバルであると思われる鹿島アントラーズがタイトルを獲ることが一番嫌です。それくらいだったら、他のクラブチームがタイトルを獲る方がましです。

この考え、僕だけではないようです。数年前に行われた世界クラブ選手権の時に聞いた話ですが、ブラジルから出場したあるクラブのサポーターは、ブラジル国内のライバルチームがタイトルを獲るくらいなら、外国のクラブに獲られた方がましだと、外国のクラブを応援したそうです。僕はこれに強く共感します。今回のW杯においても、ブラジルのTV局はフランスが敗れたことを喜び、ヨーロッパの国同士でもライバル国の敗退を喜ぶケースが多かったようです。

このように、僕としてはライバルチームを応援しないのは当然だという感覚です。そして、僕は韓国のベスト4という成績に直面すると 「悔しく」 そして 「羨ましく」 思います。そうです、正直な話、“嫉妬” するということです。
思うのですが、“嫉妬” ほど、率直な心情を表すものはないのではないでしょうか? 韓国に対して “おめでとう” と声をかけるとします。けれども、それが本当に心の底から出たものであっても、それは “嫉妬” に比べると大した思いではないと思います。韓国の立場に立ったとしても、どちらの方が、より誇らしく感じるかは明らかでしょう。“嫉妬“ すること、これほどまでに嘘偽りのない感情表現はないと思います。

僕に言わせると、韓国チームを応援できるなんて、また、韓国チームの成績に激しく “嫉妬” しないなんて、結局は日本代表に対する思い入れが少ないのだろうと思います。日本代表のベースであるJリーグを応援していないのでは?


とはいえ、実はこのW杯での韓国ベスト4という結果は、実は日本にとって良かったのではないか、と思っています。というのは、仮に韓国が予選敗退でもしていれば、「日本がアジア最高成績」、「よくやった日本」、「トルシエ万歳!」 で終わってしまった可能性が高いです。「次は日本人監督で行ってみようか」 というのも十分考えられます。
韓国の結果があってこそ、「まだいけたのではないか?」、「足りないものがあったのでは?」、「もっと良い監督なら?」、そういった声が出るのだと思います。
危ういところで、日本は中途半端な満足をしてしまい、4年後、もしかしたら 3年後 (W杯予選) に痛い現実を思い知って目を覚ましていたかもしれません。


CALCIO TODAY の記事

“誤審”が生む不必要な因縁

サポーターに広がるメディア不信

ワールドカップ期間中、韓国からコラムを送りつづけた 宇都宮徹壱 氏

「共催」という幻想からの脱却

日韓共催とは、何だったのか

サッカーファンの「信仰の自由」

同じく、韓国で書かれた日記 - 岩崎龍一 氏

韓国ワールドカップ観戦記#3

韓国ワールドカップ観戦記#4

Football Weekly

日本と韓国の温度差

クォン・ヒョクボム氏によるニューズウィーク日本版の記事。

国家とW杯と自己陶酔

nikkansports.com / FIFA Worldcup Korea Japan の記事

「快挙」に水を差すもの…

林道義 氏

勝ち負けよりも大切なもの──サッカーの審判について

TBS が行ったインターネットアンケート。

「あなたの中で日本と韓国の”距離感”は縮まったと思いますか?」