NBA プレーオフ Kings vs Lakers

2002/06/09

W杯開幕で日本中がサッカーで溢れる中ですが、NBA のプレーオフ真っ最中でもありました。
W杯の試合は確かに素晴らしい。けれど、2001-2002 シーズン NBA プレーオフ・ウェスタンカンファレンス・ファイナル
Kings vs Lakers は、今まで観た事のないくらい、もの凄いシリーズであったことをどうしても書き残しておきたいと思いました。


2001-2002 レギュラーシーズンを、全チーム中最高勝率で終えた
Sacramento Kings と NBA 二連覇中の L.A. Lakers 。同じウェスタンリーグに所属するので、NBA ファイナルではなくカンファレンス・ファイナルで対戦してしまいますが、事実上今シーズンのファイナルと言ってしまってもいいでしょう。

ちょっと NBA を知ってる人なら
L.A. Lakers はおなじみのチーム。NBA 屈指の名門チームですが、現在もシャック、コビーという NBA の 2大スターを擁し、それ以外にも経験抱負なベテランが脇を固める、自他ともに認める現在の NBA ナンバーワンチーム。

Sacramento Kings に関しては、最近 NBA を見ていない方は馴染みの薄いチームかもしれません。
このチームについてはちょっと思い出す事があります。結構前になりますが、通っていた英会話教室の講師、アンジェラはバスケが大好きなアメリカ人でした。一度だけですが僕のチームの練習に参加して一緒にプレーもしたくらいです。彼女にどこのチームのファンかと聞くと
Golden State Warriors とのこと。ふむふむ、その数年前までは RUN TMC (ティム・ハーダウェイ、ミッチ・リッチモンド、クリス・マリン) と呼ばれて全米的に大人気だったはず。ところが、出身地を聞くと Sacramento だ、と。あれ? Sacramento には Kings というチームがあったはず。すると彼女はややバツが悪そうに "Kings is ......... week ."。それに僕が間髪入れずに "I know !" と応えると大ウケ。
そう、笑いのネタになるくらい、NBA でダントツで弱いチームだったのです。特に '90年代前半は NBA 記録の away 43連敗、最低得点記録(59点)、8シーズン連続で30勝に届かないというもの凄い弱さでした。

ところが '98年にクリス・ウェーバー、ジェイソン・ウィリアムズを獲得。ここから
Kings が生まれ変わります。そのシーズンのプレーオフに出場し、今シーズンまで 3年連続で出場するまでになったのでした。僕は、元々ウェーバー が好きな選手だったことに加えて、ジェイソン・ウィリアムズのトリッキーなプレーがお気に入りでしたから、昨シーズンの日本での公式戦開催には大喜び。大奮発して高価なチケットを購入し、東京まで行って二試合観てきたくらいです。

さて、その
Kings が今シーズン前に、チーム司令塔であったジェイソン・ウィリアムズをマイク・ビビーとトレード。正直なところ、チームの看板選手の放出には耳を疑いました。ところが、このトレードが大当たり。このビビー、何故これまでこの選手が有名でなかったのだろうと不思議なほど素晴らしい選手。それが Kings をほんとうのトップチームに引っ張り上げる起爆剤となり、堂々のシーズン最高勝率のプレーオフ第一シードを獲得。順調にプレーオフを勝ち進み、ついに Lakers とカンファレンス・ファイナルで激突しました。


さて、そのプレーオフ・カンファレンス・ファイナル。とりあえず第一戦を観ましたが、このゲームは
Lakers の完勝。やはり、プレーオフという本気の勝負になれば Lakers か……。そう思いました。ところが、観なかった第二戦、第三戦では Kings が連勝。というわけで、この後の第四戦からもの凄い試合を観戦することになったのです。
第四戦は序盤から
Kings ペースで第一クオーターで20点差。第二クオーター途中で最大22点差がつきました。どう考えてもこれで Kings がシリーズ王手をかけ、圧倒的有利になるはずでした。ところが、そこから Lakers が粘りに粘って点差を詰めていきます。そして試合終了間際に 1点差まで追いつきます。そこでのファールゲームで Kings がフリースローを一本落としてしまったのが響きました。2点差で迎えたラストプレーで、コビー、シャックが相次いでシュートを外したのに、こぼれ球を拾ったオーリーのスリーポイントシュートが決まって、なんとブザービーター (残り時間なしの終了ブザーと同時に決まるシュート) での大逆転。
第五戦は、試合開始からずっと接戦が続きます。追いつ追われつの大接戦を、残り 8秒で今度は
Kings のビビーによる逆転の決勝ゴール。
第六戦も追いつ追われつが試合終盤まで続き、最後に
Lakers が逃げ切りに成功。
そして第七戦、このシリーズを象徴するように終盤まで接戦が続き、第四クオーター終了時では同点。オーバータイム (延長) に突入。そのオーバータイムの勝負どころで
Kings のフリーでのシュートミスが響き Lakers が勝利、シリーズの決着がつきました。

今までに僕が観た NBA のプレーオフでも、第七戦までもつれこむなどの接戦は何度もありましたが、それぞれの試合がこれほどの接戦だったことは記憶にありません。それぞれにチームにいる、観る価値のあるスター選手達、競り合った試合内容、これほどのシリーズはそうそう観れるものではなかったのではないかと思います。


さて、ではこのシリーズについての感想を少し。
これらの、僕が観たシリーズ最後の四試合に関して共通していたのは、フリースローの成功率の差でした。
Kings が外しまくったのです。フリースロー成功率が同じだったらシリーズを制したのは Kings だったでしょう。また、反対にあれだけフリースローが下手だった Shaq の成功率の高さ。これは単にその得点の分だけでは済みません。今までだったらシャックがゴール近くでボールを持ったらファールで止めろ、と言われていました。その場合は、ある意味ディフェンスは誰でも良かったわけです。シャックにシュートを成功させないだけのサイズがあれば。ところがシャックがフリースローを決めるので、ファールで止める事ができません。となると、シャック相手の対等な守備ができるのはディバッツ だけでした。となると 「ディバッツは絶対に退場はしていけない」 という戦い方をしなければなりません。このような心理的な影響は大きかったと思います。
それから、勝負を分けてもうひとつの要因は脇役の差でしょうか。
Lakers の場合はオーリー、ブライアン・ショーなど (このシリーズは試合出ませんでしたがミッチ・リッチモンドがいたり)、百戦錬磨のベテランがずらりと脇を固めます。その差が、第七戦のオーバータイムに象徴されていたように思います。折角チームが作ったフリーのチャンスを、まさかのエアボールというシーンもありました。彼らは非常に能力の高い選手なので、おそらく別の状況であったなら確実に決めていたのではないかと思うのです。まあ、言ってしまえば、フリースローの決定率を含めて Kings というチーム自体が若かったということかと。

しかし、僕がチームとして魅力を感じたのは圧倒的に
Kings でした。元々 ウェーバー が好きな選手だったということもありますが、今回驚いたのは 「ディバッツってこんなにいい選手だったのか」 ということでした。攻守で Shaq と互角に対応できるような凄い選手だとは思っていませんでした。控えセンターが出てきた時のシャックとの対応の違いを見て、初めて ディバッツ の凄さがわかったというところ。また、 ウェーバー とのパスにやり取りは素晴らしいです。素晴らしいポイントガードと、パス出しできるセンターとパワーフォワードがいるチーム、こんなチームは過去に存在しなかったのではないでしょうか?

最後にディバッツについてもうひとつ。ディバッツ がベンチいる間に、控えセンターのポラードが出ているわけですが、どうしてもシャックとのポジション取りで負けてしまい、いいようにやられてしまうわけです。その度にベンチのディバッツが 「そこは違うんだ、こうじゃなくて、こうするんだ」 と呆れたような表情をして周りの控え選手などに説明をしているのです。
このシーン、僕にとっては “ある光景” にとっても近いものを感じていました。それは、かつてジュビロ磐田でドゥンガが若手に文句を言っていた時の姿。「違うんだ、ここはこうやって体をぶつけるんだ」 「なぜここで走らないんだ」 試合中でもそうやって若手を叱りつけていた姿そっくりです。
間違いなく、
Kings はこれからも強いチームへと成長していく、そう思います。


これを書いた時点で NBA ファイナルは LakersNets に対し、内容でも圧倒して二連勝。視聴率も昨年に比べて低調とのこと。やっぱりみんな Kings 戦が事実上のファイナルという見方なんでしょうね。