モーニング娘。はクラブチームに似ている

2002/08/04

大人数のアイドルグループというと、“おにゃン子クラブ” が思い出されます。彼女らの中には、歌や踊りの能力が高かったメンバーもいたかもしれませんが、多くは素人同然のグループでした。歌は上手くてもおしゃべりが苦手だったり、恥ずかしいことは拒絶するようなメンバーもいたでしょう。
それらと “モーニング娘。” を比較すると、全員が (もちろん多少の得意不得意はあろうが) そこそこ歌や踊りをこなします。そして、特筆すべきは、おしゃべりや、笑いといったところでの差です。この面でも彼女らはそつなくこなします。ズラをかぶれと言われれば躊躇なくそれをするし、笑いを取れと言われれば (下手でも) 物真似をしてみせたり、自分の下手な絵を見せたりすることを平然とやってみせます。プロ根性を持っているのです。

ところで、かつて日本のサッカーは、(実質的には) アマチュアチーム。そして、攻撃の選手は守備をせず、守る選手はボール扱いは下手、そういった時代でした。しかし現在の日本サッカーは全員がプロ選手です。攻撃の中心選手であろうと守備能力は必要。守備担当の選手のボールを扱う技術もしっかりしています。

これらの状況は、良く似ていると思います。
そして、モーニング娘。はクラブチームにも似ています。


モーニング娘。のロードマップ
モーニング娘にはロードマップが存在すると思われます。つまり、これから先にメンバー構成をどのようにしていくかは、つんく♂は既に考えているはずです。
もちろん、結成された当時 (1997年) には存在しなかったのではないでしょうか。しかし、メンバーの脱退など、つんく♂としては深くまで考えていなかった事態が発生するにつれ、そういうことを考えざるを得なくなったに違いありません。特に、後藤真希の加入 (1999年) は、GM (ジェネラル・マネージャー) ともいえるつんく♂に、将来のことを考えさせる十分なきっかけとなったに違いありません。

後藤真希 = 中田、小野、中村

能力の突出した選手は、海外を目指してしまいます。ずっとチームには残ってくれません。中田、小野、中村が国内リーグにずっと残ると思っていたとしたら大間違い。実際、彼らは海外へと移籍していきました。ならばその補強を考えるのは当然のこと。中田を失った平塚 (現湘南) の凋落は (これはチーム財政の要素も大きいが) サッカーファンならよく知っているでしょう。浦和は小野加入前から人気はあったのでその面での影響は少なかったですが、サッカーの質的な損失は大きかったです。そしてそれらを見てきた横浜(Fマリノス) は奥を獲得するなど、少しでもその損失を減らす努力をしています。
後藤真希の加入時に、つんくは彼女について 『すべてにおいて別格』 と表現しました。彼女の離脱 (独立) は当然加入の時点から予想されていたに違いありません。

ファンタジスタ
チーム内にはいろいろな選手が必要です。点を取る選手も、地味にボールを追いかけて走り回る選手も。しかし、同じフィールドに立つプレーヤーの中で、他の選手とは異なる存在感で輝いている選手がいます。彼らはファンタジスタと呼ばれます。(小野や中村といった選手がそれに相当します。) ファンタジスタがいなくてもチームは成立しますが、ファンタジスタのいないクラブは面白みと言う面ではどうしても見劣りします。幅広く、高い人気ということを考えると、お客さんを集める力はファンタジスタが握っていると言っても過言ではありません。
モーニング娘。のようなグループ内でも、様々な役割があります。歌唱力があること、おしゃべりができること、笑いがとれること。チームとしては様々な要素がバランスがよく含まれていることが重要で、それがモーニング娘。の長期の成功の秘訣であると言っていいでしょう。しかし、アイドルグループにとって最も重要な要素はルックスです。モーニング娘。が幅広くそして突出して高い人気を持つには、サッカーでいうところのファンタジスタに相当する、ルックス勝負のメンバーが必要でした。
モーニング娘。において、初期はこの役割を安陪なつみが担当していました。そして、後藤真希の加入 (1999年) は大きな補強となりました。それがなければ、今ほどの人気を持つのは難しかったのではないでしょうか。
しかし、ここでつんく♂は考えました。「後藤真希はいずれチームを離脱するであろう。安倍なつみも年齢的にチームを離れる時期がくる可能性がある。(というか、“旬” を過ぎるというべきかも。) 」
こうして、ファンタジスタの獲得はチーム最重点補強ポイントとなりました。そして、後藤真希の次のメンバー拡張時 (2000年) に、吉澤ひとみ、石川梨華、を獲得しました。(彼女らはファンタジスタであり、フィジカル面 = 歌唱力は比較的弱い選手。しかし、ファンタジスタを作るのは難しいが、フィジカル面はある程度鍛えることができるのです。)
付け加えるならば、その次の回 (2001年) の補強ポイントはファンタジスタではなくなりました。比較的見た目は個性的で、他の要素で勝負するメンバーを獲得したと考えられます。

レンタル移籍
その将来性を期待されながらも、なかなかチャンスを掴めない選手が出場機会を得る為に、他のクラブに臨時に貸し出される制度をレンタル移籍といいます。特に自分のチームの同じポジションに看板選手がいる場合は、他のクラブでそのポジションで試合出場するのは有効です。また、移籍先のチームで活躍する事でファンに名前を覚えてもらうというメリットもあります。
石川梨華はカントリー娘にレンタル移籍 (2001年) されました。石川梨華は吉澤ひとみ同様に、ファンタジスタ候補として加入したと考えられるのですが、現時点では他のメンバーを押しのけて前面に出てくるのは難しかったと思われます。彼女にグループ内のリーダー格としての対応の経験を積ませる。同時にそれによって一般ファンに顔を覚えてもらうのに、極めて妥当な措置でした。

チームの成熟
クラブチームが成長する際には即戦力が必要です。大学生のプレイヤーや他クラブからの移籍で選手を集める事になります。しかし、チームが成熟してくると、即戦力は必要としなくなります。弱点がある場合はその点に絞った補強が必要ですが、特に弱点がない場合は数年後を見越した将来性重視の若い選手を獲得することが多くなります。近年のジュビロ磐田の新人獲得などがそうです。
上記の吉澤ひとみ、石川梨華と同時に獲得された、加護亜依、辻希美、そしてその後の補強 (2001年) のメンバーは明らかに将来性を見越しての獲得でした。これはモーニング娘。が、チームとして完成した証拠でもあります。

ユースチームの設立
Jリーグのチームには、ユースチームの保有が義務付けられています。地域密着を目指すJリーグにおいては当然の話ですが、単に地元にチームを作るだけではなく、将来のクラブの選手を自分達で育てろ、ということも目的のひとつです。
このたび (2002年) 作られた、 「ハロプロ・キッズ」 が、モーニング娘。のユースチームであることは言うまでもありません。これからは、ここからモーニング娘。入りするメンバーも出てくるでしょう。若いうちから教育することができるし、長期にわたって見守っていく事が出来ます。オーディションで獲得するよりも、より確実な方法です。

退団選手のその後
チームを退団した選手は、そのまま引退することもありますが、後々までチームの運営に関わる事もあります。引退後にそのままコーチとなるケースもありますし、ドゥンガのようにアドバイザリー契約を行って、実際しょっちゅうチームの練習や試合を観に来るというケースもあります。
現在の中澤裕子が、しょっちゅうモーニング娘。と行動を共にしているのが、これらのケースに当たるといえるでしょう。


ほんとうは、つんく♂の話題作りの上手さ、商売上手なしたたかさ、とかを書こうと思ってたんですが、ちょっとひねってこういう路線になってしまいました。

上に出てこない話では、
モーニング娘。を利用するという手法もありますね。
ミニモニ。に参加したことで MIKA は十分に名前が売れて番組のコーナーを持ったり、CM なんかにも出るようになりました。今回の入れ替えで、プッチモニに入るココナッツ娘。の AYAKA、タンポポに入るメロン記念日の柴田あゆみでも同じことを狙っているに違いありません。 (実際、AYAKA はここで顔を売るのはいい判断でしょう。ルックスいいし、英語しゃべれるし、タレントとしてかなりいい素材だと思います。司会者とか番組アシスタントとかでもやっていけると思います。)

ただし、MIKA が売れたの時は偶然だった気がします。そして、偶然発生した形を逃さず上手く応用するのがつんく♂の賢い、(関西人らしい) 商売上手なところかと。この方法で全体シャフルのグループ (これは明らかに“ハロー!プロジェクト”全体の商売を意図したもの) よりもより効率的な方法で、“ハロー!プロジェクト” 内の良い素材の顔を売る方法に気がついた、と。そして、またそれを起点に別グループに注目を集めさせることができる、と。

他にも、つんく♂のしたたかさ、柔軟さと思われるケースがあります。
ミニモニ。はつんく♂が積極的に作ったものではないわけで、仕方なく子供対象でやってみたら馬鹿ウケ。これを見たつんく♂は後藤真希をアダルト路線から子供に好かれる路線に修正。( シングル 「手を握って歩きたい」) 後藤真希のそれまでのアダルト路線は、おそらく山口百恵を意識した (同じく若い頃にアダルト系の歌、結婚前に未亡人の歌、など意図的に年齢を上にずらした歌を歌わせる) ものだったに違いない と思うのですが、あまり成功したとは言えなかったと思います。今の時代だとあんまり面白くない、という感じ。一方の 「手を握って歩きたい」 は、CD の売上的には落ちたのですが、ある子供対象のアンケートでモーニング娘。系の好きな曲のランキングで一位になってました。このままいけば、幼稚園->ミニモニ。、小学生->後藤真希、という住み分けで、若年世代に絶大な支配力を持つ事ができるはず。つんく♂がこれからどういう選択をするか興味あります。


こんなコラムがありました。
僕が思った第4〜5期メンバーについての考え方は、的外れじゃないみたいです。

今こそ言おう。5期メンについて思うこと。


# なお、蛇足であはりますが、モーニング娘。関連の CD は 1枚も持っていないことは、ここに明言しておきたいと思います、はい。