海外移籍

2002/01/24

どうやら、やっと中村俊輔の海外移籍が決着しそうです。今回はその海外移籍について考えてみます。

海外に移籍する事に、スポーツの種類による違いはあまりありません。たいていは同じだと考えていいでしょう。ところが、野球とサッカーの海外移籍には、少し異なる特徴があるようです。

共通点は、その海外移籍が “適正のレベルでプレーする” という意味であるという部分です。このレベルというのは、プレーの質、プレーによって得る収入、あるいはプレーすることによって得られる名声や、その満足度まで含んでいます。“適正” という言葉を使ったのは、高いレベルに行くだけとは限らないからです。高いレベルという場合は、野球の場合はアメリカ、サッカーの場合は欧州や南米ですが、野球で台湾に行くケース、サッカーで韓国 (韓国がレベルが低いとは言い切れない部分もありますが) に行くケースが実際にありました。高いレベルでプレーしたいという場合はプレーヤーの欲求によることが多いですが、国内でプレーする場所を失ってしまったけれどプレーは続けたいから仕方なく海外へ行くということもあるわけです。いずれにしても、これらは野球、サッカー問わず同じであると考えてよいでしょう。

ところがサッカーの場合は、上記の適正レベルでのプレーという意味とは異なる理由が挙げられうことがが多いです。それは “自分の成長のため” という理由です。もちろん、野球においてもそれがないわけではないしょうが、明らかサッカーでは、これが一番大きな理由として挙げられることが多いのです。
この違いの原因は、“日本代表” の存在に他なりません。『プロサッカー選手として成功する』 - これが選手の目標のひとつであることに疑いはありません。そして、所属クラブでの優勝を目指してプレーするのは当たり前。しかし、野球と違い、サッカー選手にはもうひとつの、これも当たり前といっていいかもしれない目標があるのです。『日本代表に選ばれてワールドカップに出場する』 です。
『日本代表に選ばれてワールドカップに出場する』 には成長しなければなりません。その為に環境を変え、レベルの高いところでプレーしたいのです。


ところで、サッカーファンの間では選手の海外移籍について、よく議論が行われています。その時の議論の主題は 「通用する/しない」 のようです。僕はそれはおかしいと思っています。上達したいから行くのであって、「通用する/しない」 は二次的な問題。議論するべきは 「現在の環境に比べて成長できる/できない」 が主題なわけです。例えば、海外に出て初めて、自分に足りない部分に気付くかもしれないのです。

具体的な話をしましょう。
ジュビロ磐田の名波浩がイタリアへ移籍しましたが、中田のような華々しい成績を残す事ができずに 1年で日本に帰ってきました。多くの人は 「あれは失敗だ」 と言いました。しかし、アジアカップで、あるいは復帰後のジュビロでの名波のプレーを見て、多くの人が、「彼は成長した」 と言ったのです。成長したのに失敗? そう、あれを失敗というのは間違いです。失敗とは、名波がイタリアに行かずに日本でプレーしていたら、それ以上の成長が出来たという場合、そういう場合だけが失敗と言えるのです。
あの海外移籍時点の名波は、入団して 6年。移籍 2年前にはドゥンガを中心とするチームの一員としてリーグ優勝。移籍直前にはドゥンガが抜けたジュビロで、紛れもない柱として、チームをアジアクラブ選手権優勝、更にステージ優勝、に導きました。MVP こそ獲っていませんが、3年連続でベストイレブン。Jリーグでできることは全てやり尽くしたと言えるでしょう。その状況を考えると、彼は環境を変えてチャレンジすべきでした。その結果、イタリアでにおいての結果こそ残せなかったものの、帰国した名波は、明らかにレベルアップして帰ってきました。移籍は大成功でした。そのまま日本でプレーするよりも、間違いなく成長したと思います。

城の場合はどうでしょうか。現在の状況を見る限り、成功だったという声は聞こえません。個人的にも成功とは言いがたいと思います。ただ、日本でそのままプレーしていても今のままなら、失敗とも言い切れないでしょう。とはいえ、チーム的な観点では、人気選手の流出だけだったとしたら、あまり残念な話。

そういう意味で、今シーズン C大阪に復帰する西澤には注目です。成功かどうかは、これから決まるといっていいのです。
そして現在、海外移籍したが出場機会に恵まれてるとはいえない高原、稲本。彼らの移籍が成功だったかどうかは、ずっと先になってから結論を出すべきです。今、結果が出ているかどうかは二次的な問題です。


ということをまとめてみると、海外移籍するべきかどうかは、現状での上達が望めるかどうかを第一に考えるべきだと思います。高い目標を持つ若い選手でも、目の前に成長できる場があるなら海外移籍する必要はありません。また年齢的な条件もありますから、もはや成長が止まって現状維持の状態のベテラン選手が海外移籍するメリットは、ほとんどないと思います。

これらを考えると、中村俊輔の海外移籍のタイミングとしては、今がベストだと思います。