アメリカとヨーロッパのスポーツ (再考)

2002/07/07

過去に書いたコラム、「アメリカのスポーツとヨーロッパのスポーツ」 、「アメリカとヨーロッパのスポーツ、そして日本」 に関して再考してみました。再考というよりは、書き損ねたことも一緒にまとめてみた、というところですが。

 

アメリカ   ヨーロッパ
リーグシステムの違い
チームを固定したリーグで、ドラフト制度やサラリーキャップ制度などでチーム力を均衡にするのが原則です。
人気のお金持ちチームからお金を徴収し、貧乏チームへ再分配することもあります。
  完全な自由競争。弱いチームは降格して下部リーグへ落ちるのが当たり前です。
国内リーグで勝つと、海外リーグの勝者と戦いますから、世界的なピラミッドの一部分であると言えるかもしれません。
     
フェアに関する考え方
バスケットボールの国際ルールでは審判 2人に対して、NBA では 3人。アメリカンフットボールの審判は 7人。これらから、審判を増やして誤審を減らそうというポリシーが感じられます。このことから、誤審が少ないことが良い事、すなわちフェアであるという考え方があると思われます。
また、ラグビーと同じ楕円形のボールを使うのに、アメリカンフットボールではボールが跳ねる状況はほとんどありません。どちらに跳ねるかわからないボールでは不公平だと考えたのではないでしょうか?
  サッカーやラグビーの審判は 1人。誤審があるのは当たり前だけど審判に従いましょうという紳士のスポーツ。
実際の誤審に対しても、長い目で見れば誤審は両チーム同じように起こるのだから、アンフェアではない、という考え方です。(特定チームに有利な判定が出続けるのはこれとは別の話です。)
ラグビーの楕円のボールはどちらに跳ね返るかわかりません。どちらかが得をすることがあるけれど、どちらに跳ね返るかは両チームにとって平等なわけだから、フェアであると考えます。
     
反則に関する考え方
NBA にはファールゲームという言葉があるくらいで、その等価となる罰則と引き換えに反則をするのは当たり前です。正確には、その等価となる反則をちゃんとルールに規定している、と言えると思います。

プロフェッショナルファール」を参照のこと。
  原則としては、故意のファールは許されません。特に審判を騙すような行為には厳罰があります。
ただし、サッカーにおいては現実問題としては故意のファールは実在するし、ファールしたもの勝ちという状況があり、現在のサッカーの問題のひとつです。
     
時間に関するルールの違い
NBA、アメリカンフットボールなど、プレーが止まった時は時計もきっちり止まります。(アメフトは条件によっては止まらないケースもありますが、その時は制限時間があります。)   ボールが外に出ても時計は止まりません。止まるのは、怪我人が出た時や選手交代の時。しかも、それらは主審の主観で、極めてアバウトなものです。
     
引き分けについて
引き分けはありません。必ず延長を行います。決着を付けないとお客さんが納得しない、という文化があるようです。   引き分けあり、です。
PK 戦が行われるのは、どうしても勝者を決める必要があるトーナメントの時だけ。ラグビーにおいては、PK のようなシステムすらなく、抽選で決めます。
文化的に、引き分けというものが、「どちらかの勝者をきめるとの同じくらい意味がある」 ということだと考えられます。
     
報復行為に関する考え方
MLB において、報復行為は当たり前のようです。
NBA などの乱闘では喧嘩両成敗に見えます。

不文律」 を参照のこと。
  サッカーにおいては報復が一番罪が重いのです。「報復という行為を許していてはきりが無い」、これはスポーツだけでなく他国との付き合いという点から、このような考え方が絶対であり、それがルールとして制定されたと思われます。
     
外国籍選手の扱い
アメリカ 4大スポーツ(NFL、NBA、MLB、NHL,)に関して外国人枠はありません。それら自体が世界の頂点のリーグであるからです。
ここには、移民の国アメリカという考え方が根底にあり、外国人を区別しないという考え方があるのかもしれません。
  基本的には外国人枠があります。それは、リーグの目的のひとつに代表強化のための国内選手育成があるからです。外国人選手ばかりになっては若い選手の育成ができません。
(ただし、欧州の場合は EU 圏内の外国人枠は撤廃になりました。これは政治的な意味合いが大きかったと思います。)

外国人枠」 を参照のこと
     

 

これらの比較から言えると思うのは、原則的にはアメリカの方がより 「リーグやゲームを管理下に置こうとしている」 ように見えます。これは、管理下に置く事で、意図的に面白いゲームにしようという意志があるのではないでしょうか。
ただし、報復行為や外国籍選手に関しては環境 (地理的要因) に起因して、ヨーロッパとは考え方が違うように思えます。

違うところだけを書きましたが、共通した事もあります。それは地域密着であるということ。やはり、自分達の町のチームを応援する事が大原則なのは、世界のどこへいっても同じです。それは自分達の生活の延長上にあるものだから。そして、見物ではなくて、応援であるということ。
それらは、スポーツが生活に密着した文化である証拠なのです。