はじめて仙台スタジアムを訪れたのは、99年9月の事だった。当時、ゴール裏を黄金色に染めるサポーターの、試合開始前の歌声にいたく感動した事を覚えている。仙台に、そんな文化が根付いている事など、考えもしなかったが故の驚きでもあった。
昨日行われた仙台スタジアムでの仙台vs山形という、地元では昔から大事な意味を持つ通称みちのくダービーをTV観戦した。アウエイに駆け付けた山形サポーターの応援の声も聞こえてきたが、やっぱりブラウン管を通じて聞こえてきたのは、仙台サポーターの大声援だった。試合は、期待にたがわぬ好ゲームで、2点をリードされた山形がロスタイムの同点ゴール(そう言えばこのチームは、去年の大分との最終戦でも同じような事をやってのけている)で2点のビハインドを追いつき、アウエイでドローに持ちこんでいる。
TV観戦でぼくは満足していた。
昨日(5月6日)、首位仙台vs2位の大分というカードを観戦しに仙台スタジアムに再び足を運んだ。ぼくは、改めてスタジアムに行く事の大事さを痛感した。
スタジアムに詰めかけた18974名の大観衆は、12時半頃にピッチに姿を現したGKコーチに熱い拍手を送ると、続いて登場したGK高橋にわれんばかりの拍手を浴びせて出迎えた。スタジアムの大観衆の拍手はやっぱりいい。ヨーロッパのクラブチームかと見まごうばかりの光景に、しばし言葉を失っているとなかなか姿を現さないフィールドプレーヤーを催促するかのように、バックスタンドを埋めるサポーターグループから歌声が聞こえてきた。そして、選手が登場。再びスタジアムは、前後左右と上下を合わせた全方向からの大音響で選手たちを出迎えた。それは、技術がどれくらい進歩しても味わう事のできない感動的な光景だった。あの光景は一度体験すると麻薬のようなもので、ぜひもう一度見たいと思ってしまうものだ。実際ぼくは、次回の仙台スタジアムでの試合観戦が待ち遠しいほどである。仙台スタジアムでそんな体験をしてみたい方は、ぜひ試合開始1時間前から訪れてほしいところである。
さて、話を別の方向に進めるが、この盛りあがりがJ1のチームならまだ理解はできるのだが、地方のJ2のチームがこれをやってのけた事に驚きを隠せない。そういえば、通路を歩いていた時に聞こえてきたボランティアのおばちゃんたちのしみじみとしたつぶやきが印象的だった。
「ようやく仙台にも熱くなれるものができたねぇ」
そういえば、みちのくダービーのTV放送の実況をされていた関根さんというアナウンサーも放送中に語っていた。
「あまり熱くならないような印象のある東北の方々が、血を熱くさせるサッカーが繰り広げられています」
地元に、血をたぎらせる事のできるものがある。それは、その土地への誇りへとつながるはずだ。そしてそれは、今の日本に必要な地方再生へのしくみでもあると思う。その仕掛けとして、地域密着を謳ったJリーグの挑戦の意味は大きいと思う。
文・江藤高志
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