『スペイン 1-0 日本』 雑感
2001/04/30
スペインでの敗戦で思ったことをいくつか……。
最初に書いておきますが、 僕はワールドカップ・フランス大会での岡田監督による、アルゼンチン戦、クロアチア戦における守備的な戦い方を支持しています。まともながっぷりよっつの戦い方をしたら、(特に当時のメンバーでは、) 日本はサッカー一流国に絶対勝てっこありません。守備を中心にし、幸運に恵まれれば勝てるかもしれない可能性を高める為の努力にに全力を注ぐべきです。実際、あれはそういう戦い方でしたし、世界の常識的に、力の劣る国が守備的な戦い方をするのは、ちっとも恥ずかしいことではないと思います。
ただ、ジャマイカ戦に関しては違います。力的に同等かそれ以下の相手に、守備的な戦い方をするとは何事だ、と怒っています。
さて、このスペイン戦、トルシエ監督は、明らかに守備を重視した戦い方を選択しました。(ちなみに、これはシステムよりは、どちらかというと人選の問題です。システムは 3-5-2 と 5-3-2 とか、トリプルボランチというのは、多少は影響しますが、それだけが守備的と断言するのは早急過ぎます。)
スペイン相手に守備を重視するのは、基本的には仕方ないと思っています。(ただ、この日のスペインは、あの日のフランスほど強くなかったのは明らか。特にメンバーを入れ替えてきた後半などは、攻撃的な戦いをしても面白かったと思います。が、まあそれは置いておくとしましょう。) 僕が今回気になるのは、負けたことや守備的に戦ったことではなく、別のことです。
トルシエが監督にになって 3年。僕はトルシエは、全てを見越してチームを作っていると思っていました。
日本がフランスとガチンコで勝負したら 0-5 で負けるくらいの可能性は十分わかっていると思っていました。「『フランス 5-0 日本』 雑感」 で書いたようにそれは大した事ではありません。サッカーではよくあることです。 それを分かった上で、攻撃的なチームを作っているのだと思っていました。サッカー超一流国と対戦すると運が悪い時は大敗してしまうかもしれないが、同等のレベルの国に勝つには攻撃的なチーム作りが必要だと。
しかし、フランスとの試合後の、言い訳がましい記者会見。大幅なメンバー変更。フランス戦の大敗にほんとうにうろたえたのか、あるいは、見える結果を出さなければいけない、というプレッシャーに押しつぶされたのか……。
スペイン戦の守備的な戦いは、フランス戦で自信を無くした選手に自信を持たせるために必要だった、という意見があります。仮にそうだとしても、それはフランス戦で日本代表の実力の見積もりに失敗したのは明らかです。厳しく言うと、この 2試合を有効に使えなかったということです。
もうひとつは上村の起用です。
上村という選手が悪いという話ではありません。トルシエの選ぶ DF の条件は、前線へのフィード力があること。だから秋田(鹿島)、鈴木秀(磐田) のような、1対1 の守備能力に関しては日本有数の能力を持つ DF が選ばれることはありません。そういうコンセプトだから、納得していたわけです。しかし、スペイン戦での上村は、前線へのフィードどころかミスパスを連発。これでは、このところパスのミスがめっきり減った鈴木秀が選ばれない理由、ベテランとしての経験がかなり生きるであろう秋田が選ばれない理由に説得力はありません。
以前から、チーム作りはともかく、采配に関してはどうも怪しいと思われていたトルシエですが、どうも全てが行き当たりばったりのように思えます。就任当時のコメントで、具体的な数字を忘れましたが、数百ページのテキストがあって、まだ数ページしか教えていない、というのははったりだったのではないか、と……。
かつて、元代表監督のハンス・オフトが、中国との試合前にその試合展開を予言し、その通りになったことで選手達の信頼を得たということがありました。少なくともトルシエはそういうことはできそうになりません。
それでも、そう、トルシエが実は底が浅い監督であったとしても、攻撃的なチームつくりをしてくれるなら、その改革的ともいえる行動力から、彼が監督を続けることは日本にとって無駄ではないはず。しかし、今回のような “ふらつき” を続けるなら、さっさと解任する方が良いと思います。
ところで、上記の話の主旨からは外れるのですがもう一点。
サイドの、服部、波戸。彼らが守備的な意図で起用されたのは明らかですが、実際は彼らはサイドの専門家。従来のトルシエのチームにあまり見られないサイドをえぐる攻撃を見ることが出来ました。個人的には、サイドにゲームメーカー的テクニシャンを置くより、この方が好きなんですけど……。