NPB (日本プロ野球) は改革できるか? (後編)
2001/08/19
「NPB (日本プロ野球) は改革できるか? (前編)」 の続きです。
NPB(日本プロ野球) は改革が必要だ、という主張をもう一度まとめてみましょう。
まずプロ野球巨人戦の視聴率低下。これは現時点での事実です。ここから高い可能性として考えられるのが、将来的な放映権料の値下げです。すると、放映権料のおかげで黒字になっているチームが、赤字に転落する可能性が出てきます。大会社がバックについているパ・リーグと違い、セ・リーグのチームは、決して経営的に余裕があるわけではありません。この赤字が続けば、最悪のケースとしてチームの消滅や売却です。そこまで至らなかったとしても、チームは経営していく為に、高年俸選手の放出に迫られます。これは、チーム間の実力差の拡大につながり、「最近のプロ野球がおもしろくない」というファンの声の原因そのものです。そして、視聴率が低下……。
デフレ・スパイラルという言葉が流行っていましたが、これはまさにプロ野球人気低下のスパイラルです。人気低下を 1リーグ制にして乗り切ろうという声もあるようですが、おそらくその場合は 2〜4チームの消滅や統合を伴うはず。どんな不人気球団であろうと、そこにファンがいる以上は、これがベストな方法だとはとても思えません。
これらを防ぐにはどうすればいいでしょうか?
論点をはっきりさせましょう。最も重要なポイントは、球団経営が赤字にならずに済むようにすることです。その対策は 2つあります。ひとつは、巨人戦視聴率を落とさないこと。すなわち、2年前の水準をキープすることです。
しかし MLB を知ってしまった野球ファンを、再び巨人戦に惹きつけるのは簡単なことではないような気がします。少なくとも、放っておいて元に戻るという事はなさそうです。というのは、これから先も、プロ野球人気が上がる要素より下がる要素の方が多いからです。まずは、人気実力選手の MLB 挑戦が、これからも増えるであろうという点。そして、視聴率の詳しい調査によると、現在のプロ野球視聴者の多くが実は50歳以上であり、その中高年の野球ファンに絶大な人気を誇る長嶋監督が、遠くない将来に監督をやめるであろうという点です。
もちろん、人気が回復する可能性もあります。それはスター選手が現れること。しかし、それは、野球の育成にまったく手をだしていないプロ野球から見たら、全くの偶然に頼る部分。しかもそれほどの (おそらく実力を伴う) 人気選手が、将来的に MLB に挑戦しないわけがありません。
こういったことを考えると、NPB (日本プロ野球) がファンを惹きつけ、再び高い視聴率を獲得する可能性があるとすると、それは面白いペナントレースをする以外にはありません。これについては後述します。
もうひとつの球団赤字経営に陥らないようにする方法は、巨人戦の放映権料に頼らないシステムを確立することです。
これはJリーグがやろうとしていることと同じです。Jリーグでは、TV の放映権料はJリーグが一括して受け取り、各チームに分配します。そして、チームの営業努力とは観客動員による利益に反映されます。ところが現在のプロ野球において、単純にJリーグのような観客動員をチームの基盤とすると、大きな問題が出てきます。飛びぬけて多い観客動員を誇る読売とその他のチームという現状。結局、観客動員の少ないチームが、身の丈にあった経営をするということは、現在保有する高年俸の選手を放出するしかないのです。
このままでは現実的でないこの方法でも、それをカバーする仕組みが MLB にはあるのです。MLB にも NPB (日本プロ野球) 同様、多数の観客動員を誇る金持ち球団と、そうではない貧乏な球団があります。しかし MLB には、金持ち球団の収益を、貧乏な球団に分配する仕組みがあるのです。これを日本でも取り入れない限り、戦力均衡は図れずに、赤字経営にならないとしても、つまらないペナントレースになってしまうでしょう。
しかし、現在の読売のトップは、他球団の経営努力の無さを批判しているのが現実。この MLB の方式を取り入れる見込みは全くありません。従って、巨人戦の放映権料に頼らないシステムを確立することは、そう簡単に実現できることではなさそうです。
これらをまとめてみると、現時点では、無理やりにでもペナントレースを面白くすること以外に NPB (日本プロ野球) の未来はないのです。
では、ペナントレースを面白くするにはどうするか? 分かりきったことです。戦力均衡しかありません。戦力均衡をするにはどうするか? 既に先人の知恵があります。ドラフト制度です。そして、ドラフト制度を有名無実化している、ばかげた逆指名をやめること。 また、FA 制を導入するなら、サラリーキャップ制度か、あるいは FA 行使の権利とドラフト指名権との交換をするなどの条件をつけること……。
などといってみたところで、これが実現する見込みはありません。読売が反対するからです。
前編でも少しだけ書きましたが、NPB (日本プロ野球) の問題点はまだまだ書ききれないくらいたくさんあります。例えば、たいした実績を残した選手でもないのに、読売の選手は引退後の再就職に圧倒的に有利であること。選手だって生活がかかっています。こんな状況で、FA や逆指名で読売に入りたいという選手の意向を否定しろというのは、ちょっと難しいです。
そうなのです、現在の状況では、はっきり言ってプロ野球の改革は実現する見込みはほとんどないのです。
ところが、ただひとつ、全てがあっというまに実現する方法があるのです。それは、読売というチームが突然消え去ってしまうこと。それが可能なら、今のプロ野球に関わるほとんどの問題は解決するのですが……。
MLB で行なわれている分配金に関する記事。
分配金に関して二宮清純氏と森祗晶の対談
プロ野球の経営に関しての提言です。ほんとうのフランチャイズの確立がベースでしょうか。
その他の、プロ野球人気の問題、巨人の問題に関する指摘。
ドラフトは「八百長」ではないのか (マーティ・キーナート)
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