NPB (日本プロ野球) は改革できるか? (前編)
2001/08/11
日本のプロ野球改革は可能でしょうか?
と、いきなり言ったところで、「改革って必要なの?」 っていう人がいるのかもしれません。
まずはその話から始めなければいけないでしょう。
一般的には騒がれていませんが、一部で日本のプロ野球の行く末の不安が囁かれています。いろいろな要素があるのですが、特に象徴的な現象として考えられているのが、プロ野球巨人戦の視聴率の低下、そしてスポーツ紙一面の現象です。
ビデオリサーチによるデータによると、長い間20%前後を保っていた視聴率が、昨年、巨人優勝(通常は20%越え)にも関らず、18.5%。今年は 7月までの平均が15.5%。例年、優勝が決まった後の試合が平均を下げるので、今年はもしかしたら15%を切る可能性も出てきました。
もちろん趣味の多様化が進んでおり、最近は TV 全般の視聴率が下がっています。しかし、ドラマやバラエティに比べて、その下がり方が突出しているのです。このデータは間違いなく、以前はプロ野球巨人戦を見ていたけど、最近は見なくなったという人が増えたデータだと考えていいと思います。
スポーツ新聞の一面に関しても、昨年までの日本のプロ野球が毎日のように一面を飾っていた状況とは一変しました。今、一番売れるのはサッカー日本代表が一面の時。まあ、日本代表はしょっちゅうやっているわけではないので、例外的だと考えるとしても、MLB 関連、サッカーの海外移籍関連が一面の多くを占め、日本のプロ野球はめっきり減ってしまいました。
実際のところ、これらの結果に思い当たる人が多いのではないでしょうか? 「日本のプロ野球がつまらなくなった」、最近そういう声をよく聞きませんか? 芸能人、知識人、などがメディアで 「巨人ファンをやめた」 と公言している話も聞きますね。これらは、最近の話ですから、上記データと合わせ、やはり 「つまらない」 と感じる人が増えたのでしょう。
では、なにがつまらなくなったのでしょう?
やはり一番大きいのは、逆指名、FA制度による、巨人の有力選手の独り占め状態に対して、ファンが嫌気をさしたからではないでしょうか? 勝っても当たり前、負けたら情けない……。つまり、勝っても負けても満足できない、そんな気持ちになったのではないでしょうか? しかもこれらの制度は巨人が自分達が有利になるとわかって、半ば他のチームを脅して強引にルール変更したもの。いくら正当な企業努力による戦力アップだ、と言い張ったところで、実際のファンが共感しなくては、なんの意味もありません。
また、巨人のせいばかりでもなさそうです。それは MLB の影響です。
MLB のレベルが高いから? いえ、実際のところ、MLB と日本のプロ野球のレベルは、思っていたより差がないというのが事実でしょう。これは新庄がそこそこ通用することから推測されます。ただし、MLB が以前よりレベルが高くないといっても、それは MLB のチーム数拡張の影響であって、MLB が日本同様 12チームしかなければ、かなりのレベル差があるでしょう。
問題はレベル差ではありません。明らかに日本の野球と違うのはゲームのテンポ。それから、ドームではない明るいスタジアムと美しい天然芝。MLB の方が面白いのではないか? そう感じる人が多いのでしょう。一方で、ほとんど屋内スポーツと化して、しかもやたら時間がかかる日本の野球。見るのをやめてしまった人がいてもおかしくありません。
その他、日本のプロ野球の問題について語ると、他にもいといろあるのですが、それは別の機会に譲るとして、ここでは次の話に進めましょう。
「それで、視聴率が下がったら困るの?」 というのが次の疑問。これ、甘く見ている人が多いようです。実は、プロ野球の死活問題かもしれな重大な問題なのです。
現在、プロ野球の球団としての収支は、巨人が大幅な黒字、中日がある程度の黒字。残りのセリーグのチームが、トントンか若干の黒字と言われています。そして、残りのパリーグがほぼ赤字と考えていいです。(観客が増えてきたダイエーが黒字に転じつつあるようですが。) この際、パリーグの話は無視します。というのは親会社が大会社で、最初から赤字分は埋めるつもりだから。問題なのはセリーグなのです。実際の話、セリーグのチームの黒字分とは、巨人戦の放映権料によるものなのです。
この事実は、インターリーグ問題からもはっきりしました。コミッショナーがこのように発言しているのです。ファンが望むインターリーグ、すなわちセパ交流戦を行なうと、現在のセリーグの巨人戦が減ってしまう。すると、セリーグの各球団は、放映権料収入の低下、パリーグの不人気チームとの対戦、などからいくつかのチームは赤字に転ずる可能性がある。そして、体力のない広島などは、2年赤字になるとチームの存続が危ない、と……。だからインターリーグはできない、というのです。
昨年から今年の視聴率の低下により、放映が全くなくなるということはないにしても、放映権料の値下げが行なわれるの可能性は高いです。その結果、赤字に転ずる球団が出来るかもしれないのです。そして、コミッショナーの発言が事実だとすれば、経営危機に陥るチームがでるかもしれないのです。
この不景気にチーム売却が成立するとは思えませんし、仮に売却できたとしても、本拠地移転などが行なわれれば、悲しむファンがいるはず。これはどうしても避けたいところでしょう。
だから、NPB (日本プロ野球) の改革が必要なのです。
(後編 に続く)
巨人戦視聴率低下に関する報道
巨人、衝撃の低視聴率に長嶋必死!
巨人戦の視聴率大暴落…開幕ダッシュも恩恵なし
【G新世紀】楽観論ですむのか、ドル箱巨人戦の視聴率低迷
セ首位攻防より、朝放送の米球宴が視聴率上回る
プロ野球12球団の経常利益
プロ野球関係者の中で、最も危機感を感じているのは豊田泰光さんでしょう。(豊田泰光オフィシャルサイト)
豊田さんが視聴率低下について触れた文章。2001年7月、歴史が変わった日。 ( 豊田泰光の今日も絶好調 より)