MLB の話
2001/06/04
今年に入り、イチロー、新庄の活躍で、一気に注目を浴びた MLB の話。
TV のスポーツニュースや、スポーツ新聞で、トップニュース扱いを受けていることから、多くの人が注目しているということがわかります。もちろん多くの人は、イチローを始めとする日本人プレイヤーが活躍している、という部分を見ているのでしょう。しかし、一部に 「日本の野球より面白い」 という声があるのも確かのようです。この辺りについて、少し考えてみたいと思います。
一昔前、MLB といえば日本とは段違いのレベル、ということになっていました。日本にやって来る外国人選手は、そのほとんどが MLB では活躍できなかった選手。あるいは峠を越えた選手。それらの選手が日本で 4番を打つような状況ですから、そう考えても間違いはありませんでした。だから日本人選手が MLB に行っても通用できるわけがない、と。ところが野茂が活躍。それならばと、その後に言われたのは、ピッチャーは活躍できるが、バッターは無理。ところがイチローの活躍。当然、MLB ってホントにレベル高いのか?という疑問が出てきました。
ということで、まずはレベルについて考えてみましょう。これはあまり白黒はっきりした話ではないように思います。いろいろな観点で分けて考えてみた方が良さそうです。
まずはイチローの活躍について。はっきり言って、イチローは特別です。日本における 7年連続首位打者というのは、明らかに突出していると考えるべきです。突出するというのは、もはや例外であるということ。イチローの成績を取り出して、MLB の日本のプロ野球のレベルを比較するのは全く無意味です。佐々木に関してもほぼこれに準ずると考えられます。
さて、ということで、モノサシになるのが新庄です。予想外に活躍しているとはいえ、日本だと主力選手である新庄が、MLB では試合に出たり出なかったり。もし、メッツが絶好調だったら、新庄は試合に出られなかった可能性もあります。これが MLB のレベルの基本と考えていいでしょう。明らかに上ではある、が、話にならないほどではない、これが MLB と日本のプロ野球のレベル差。
少し付け足すと、個人的には MLB については守備に関しては思ってたより下手だな、という印象があります。もちろん、日本に来ている外国人選手の守備力に比べたら上手ですが。MLB と言えども、完璧な万能選手はそれほどいないということでしょう。だからこそ、イチローのような万能選手の評価も高いわけです。
実際のところ、ここの何年かのエクスパンジョン(チーム数の拡張) の結果、以前よりレベルが下がったという事もあるのでしょう。チーム数が増えた分だけ、そこに日本人選手が入り込む余地ができたであろうとうことは間違いないと思います。一昔前だったら、イチローや佐々木レベル以外の選手は MLB に行っても出場機会は少なかったかもしれません。
というところで、MLB のレベルは、手が届かないほどではないがそれなりに高い、というあたりで結論としましょう。では、レベルが高いから、面白いとい思う人が多いのでしょうか?
それも大事な理由だとは思いますが、それだけではないように思います。
MLB の面白さは、僕が感じるのは、まずはテンポの良さ。日本の野球は、最近は見ることも少なくなってしまったのですが、はっきり言って投球の間にチャンネル変えてザッピングすることがあります。特に MLB のテンポに慣れてしまった後では、そのカッタルさに我慢できない人がいるのも納得します。
それから、青い空、きれいな天然芝、みていてすがすがしいこと。それからスタジアムの雰囲気がいい、というのあるかもしれません。日本においては野球は夜間や室内のスポーツで、太陽の明るさとは無縁になってますね。
もうひとつ、個人的には、それらと同じくらい強く感じているのが見慣れないプレーについてです。野球好きだった人は、もう過去に、かなり試合数、目にしてきたわけです。その自分達が見てきた野球には、その定石といえる形があります。例えば、ホームランが出るコース、ホームランになるスイング、あるいは、スローイング時の足の運び。ところが、MLB を見ると、我々の常識を外れた野球が行なわれているのです。「えっ!このコースに投げてもホームランになるの?」、「えっ!今のがスタンドまでとどくの?」、「えっ、そのタイミングで投げるの?」 やはりこういった、見たことのない野球を見るのはとても新鮮に感じます。
結局、この点については日本の野球が鎖国状態に近いものであったということなのでしょう。外国との対戦を繰り返しながら、より新しいシステムや戦術を取り入れる種目と違って、野球は国内完結していたスポーツ。気が付かないうちに、それは単純なものになっていたのでしょう。
環境問題で出てくる、環境の単純化。それはちょっとしたきっかけで衰弱していまう弱い環境です。MLB などの世界の野球文化を取り入れないと、日本プロ野球は衰弱してしまうかもしれません。(結局最後は日本のプロ野球の話になってしまいました……。)