引き分けの導入について
2001/10/21
Jリーグの改革について、よく言われている話に、(90分での) 引き分けの導入があります。
Jリーグが出来た時から、“VゴールおよびPKによる決着” というルールが取り入れられました。これは、日本における本格的なプロサッカーリーグを開始するにあたって、“引き分け” というルールに日本人は馴染みが少ないであろう、という理由からでした。
確かに、日本の国技である相撲は “取り直し” をしてまでも決着を決めます。また、国民的スポーツである野球も、近年は例外も出来ましたが、基本的には延長戦を行って勝敗を決めます。まあ、だからといって、それが日本人に向いているのかどうかはあまり根拠はないと思うのですが、確かにまだサッカーの見所を知らない初心者にとって、0-0 のスコアレスドローはつまらない試合ということになったかもしれません。
しかし、世界標準ルールは延長なしの引き分けです。
この世界と日本とのズレにおいて、日本代表が戦うときに悪影響が出るのではないかと、いろいろ危惧されています。主な理由はこんなところ。
・“引き分けに持ち込む” という戦術が必要な時があるはずなのに、Jリーグでそのやり方を学べない。
・自然に120分間体力を持たすプレーをしてしまい、90分で力を出し切るということをしなくなる。
確かにそう思います。
特に後者は、同点での試合終了間際に、気がつかないうちにそうなっているのではないかと懸念されます。海外のリーグの選手だったら、残り数分で体力を使い切るような思い切った攻撃をしかけるに違いありません。そういうことに対する守備の経験さえもできないということなのです。
これらの理由から、延長Vゴール方式は廃止した方がいいと思うのですが、全く別の観点から、延長Vゴール方式を廃止した方がいいという理由を発見しました。
それは、引き分けを導入した方が、優勝争いが混戦になるからです。
これは具体的なデータを見た方が分かりやすいでしょう。2001年の 1st ステージの結果がVゴールなしだったとするとこうなります。
順位 チーム 勝ち V勝 引分 負け V負け 現行ルール勝ち点 Vゴールなし勝ち点 1 磐田 9 4 1 0 1 36 33 2 市原 7 3 0 3 2 27 26 3 名古屋 5 5 2 3 0 27 22 4 清水 6 4 0 3 2 26 24 5 G大阪 7 2 0 3 3 25 26 6 柏 6 2 0 5 2 22 22 どっちにしても磐田の独走?
確かにそうですが、やはりよく見ると随分違います。3位名古屋と首位磐田の差は現行ルールより広がってしまいますが、それ以外のチームは全て首位と接近。5位だったG大阪に至っては、届きそうにない11点差から、現行ルールでの2位市原との磐田との差 (9点) よりも小さい 7点差にまで接近します。
これはまあ、考えてみたら常識的な結論です。首位のチームはたいていの場合、Vゴールなどをしぶとく拾った結果の首位です。だからVゴールをなくすと、首位との差が縮まると考えて、まず間違いないはずです。
このようにVゴール制度を廃止して (90分での) 引き分けを導入することですることで、優勝決定のタイミングを遅らせて、しかも複数のチームに優勝の可能性を残し、リーグ終盤まで白熱した優勝争いを続ける可能性が高くなります。
どうもこのところ、磐田の力が突出してきたJリーグ。そういう独走をなくすためにも、ただちに 90分での引き分けを導入するべきだと思います。
付け加えると、120分引き分けに持ち込むというのは大変。しかし、90分ならできるかも、という心理的な効果を生むというメリットがあります。明らかに力の劣るチームが、最初から引き分けを狙う。これも首位を独走するチームへの負担となり、独走を防ぐ効果があるはず。
さらに言うと、ガチガチに引き分け狙いをしてくるチームを攻めるというのも、将来のW杯予選などに向けての重要な経験の場になるはず。引き分け制度のメリットは、思ったよりも大きいような気がします。