外国人枠
2001/03/20
シドニー五輪の女子バスケット予選の話です。アトランタのときとは違って、アジアからの出場枠がひとつだったこともあり、女子バスケットは五輪予選決勝で韓国に敗れ、出場権を獲得出来ませんでした。
さて、その少し後だったかと思います。サッカー雑誌にこんな読者からの投稿が載っていました。要約するとこんな感じ。
「女子バスケットが五輪出場を逃したが、女子バスケットは外国人登録選手を締め出している。そんなことをしているから世界で通用しないのだ。サッカーではそんなことをしないようにしよう。」
一見するともっともな意見のように見えますが、とんでもない話です。女子バスケットが外国人締め出しを行なったのはずっと昔の話。そしてその結果、待望の日本人センタープレイヤーが成長し、アトランタ五輪に出場。そしてアジアからの代表チームの中で最も良い成績を収めたのです。
こんなとんちんかんな投稿を載せてしまうサッカー雑誌を見る限り、「マスコミは野球ばかりでサッカーのことわかってない」 なんて批判する資格ないな、という話はここでは置いておくとして……。
さて、ここで外国人枠について考えてみたいと思います。
外国人枠があるということは、裏返すと海外からプレーヤーを招くということですね。国内選手よりレベルが低い選手を招く意味はありませんから、当然、優秀な選手を招くわけです。そのことによって、国内リーグのレベルが上がるのです。
しかし、国内リーグのレベルが上がればいいかというと、それはちょっと違うわけです。国内リーグのレベルが上がっても、代表チームのレベルが上がらなければ意味がないのです。つまり、海外の優秀な選手ばかりで国内リーグを行なった方がリーグのレベルに関しては上がります。しかし、それでは国内選手の出場機会が奪われてしまいます。特に、まだ経験がない若い選手は経験を積むことでレベルがあがります。その出場機会を奪っては大変です。だから、たいていの種目に外国人枠があります。
上記の女子バスケット、WJBL の場合は、外国人排斥ということにしました。確かにこれは良い結果を生んだように思います。というのは、わずか 5人の競技人数であるバスケットにおいては、ひとり外国人選手のウェイトはとてつもなく大きいです。しかもチームの柱であるセンタープレーヤーが入ると、他のチームも同じセンタープレーヤーに外国人選手をいれないと、太刀打ちできないのです。必然的に日本人センタープレーヤーの出場機会は失われてしまうのです。ですからこのケースの外国人排斥は、この競技の特徴、現在の日本の女子バスケットの状況に合わせた決断だと思われます。
男子バスケット、JBL の場合、現在は 2人の外国人選手が出場しています。外国人選手が 2人になって感じるのは試合のレベルの高さです。NBA 経験者を含む外国人選手のゴール下の迫力はなかなかのもの。結果的に出場人数が減った残りの日本人選手は、日本人の中でのトップクラスが残るわけですから、当然ハイレベル。ショースポーツとしてなかなかのレベルです。
しかし、懸念されるのは日本人センタープレーヤーの成長。これは難しいところです。ただ、女子バスケットに比べると、日本人の大型選手も現れており、多少状況が違う気がします。また、比較的バスケットボールという競技は選手交代が自由にできるので、出場機会が全くなくなるというわけでもありません。
さて、ではサッカー、Jリーグ ではどうでしょうか?
サッカーという種目は、バスケットに比べると出場人数が多いですから、一般的な外国人枠 3人でも残る 8人の日本人プレイヤーが出場できます。基本的にはポジション毎に 1人という使い方をすれば、日本人選手の出場機会が奪われるということはありません。
しかし、実際 FW 2人が外国人選手というチームがあります。FW の能力は勝利に直結しますので、弱小チームとしては、そこに力を注ぎたい部分でもあります。これに関しては、日本代表の育成という面では、全てのチームが全ポジションの日本代表選手を育てる必要はない、とも言えます。J1の16チームだけを考えてみると、日本代表レベルの FW は10人もいれば十分ですから、短期的に見ると少数のチームに FW 2人がいても、特に問題はないでしょう。しかし、長期的に考えれば、そのチームの若手にチャンスがなくなりますので、やはり同ポジションに複数外国人選手を出場させるのは、なるべく避けるべきだと思います。
この辺りは、クラブが 「日本人選手を育てる」 という意識を持つことが、最も重要になるのではないでしょうか。
では、このサッカーの外国人枠のルールは 3人で今後も堅持していくべきでしょうか?
例えば、日本サッカーのレベルが上がり、海外進出が増えるならば、日本代表選手の経験という面は、あまり気にしなくて良くなります。今度は国内リーグのレベルアップを重視し、外国人枠の緩和をするなどが考えるべきかもしれません。
こういったように、その時々の国内リーグの状況、競技の特性などによって、外国人枠というのは状況に応じて変えていく必要があると思います。その時点で最も相応しい方式に、柔軟に変えていくべきなのです。
そしてその為には、協会などの統合組織やクラブ自体が長期的な視野を持つことが最も大切です。そういう種目はきっと強くなります。