『フランス 5-0 日本』 雑感

2001/04/10

フランスでの惨敗に対して思ったことをいくつか……。

正直に白状すると、僕も目が醒めたクチです。
とはいえ 「勝てる」 とは思ってませんでしたよ。それでも、局地的な勝負は 7対3 程度はできるんじゃないかと思ってました。もちろん局地的な勝負が 7対3 だと、試合結果は圧倒的な 5-0 であってもおかしくないのです。しかしあの試合とは違って、何度か日本の選手が満員のスタジアムの観客を驚かせるプレー (わずか数本かもしれないが素晴らしいスルーパスだったり、ほんの数回でもプレスの結果でボールを奪ったり、わずか 5回に1回であっても 1対1 で相手を止めるシーンなど) を見ることができるだろうと思っていたのです。しかし、ご存知の通り、観客が歓声を上げるようなプレーを見せることが出来たのは
中田英寿だけでした。

この惨敗に対して、様々な論評が語られています。フィジカル、戦術、天候、芝、時差によるコンディション、フランスのモチベーション、先制点、……。ここでは、それら個別の検証などはやめておきます。ただし、言えるのはどれかひとつだけが原因ではない、ということでしょう。

むしろ今回、今更ながら感したのはその、サッカーという種目の複雑さです。
野球だったら、敗戦の理由はわかりやすいです。ここ一番で失投してしまった、打てなかった、エラーがあった、走塁ミスがでた、など。もちろん、失投した理由、エラーした理由、という風に更に別の理由へとつながっていくのですが、比較的それらの理解はしやすいです。
バスケットでも、サッカーに比べたら単純です。ここ一番でシュートが入らなかった、ターンオーバーが多かった、リバウンド争いで負けた、など。もちろん、シュートが入らなかった理由、ターンオーバーした理由、という風に別の理由へとつながっていくのですが、やっぱり比較的わかりやすいものです。

しかし、サッカーにおいてはそれほど単純ではありません。自然の中で行なわれ、攻撃と守備の切れ目が分かり難いこの種目では、ゲームの大きな要素である 「中盤を支配された」 という現象の解明には、フィジカル、戦術の相性、天候、芝、コンディション、モチベーション、それら全てが密接に絡みあっているのです。
例えば、先制点があの時間に入っていなければ、もしかしたら意外な接戦であったかもしれないのです。あるいは雨が降っていなければあれほどのフィジカルの差は出なかったかもしれません。ワントップを選択して結果的に自分達スペースを狭めていなければ、あるいは、前回の対戦が 2-2 でなければフランスは日本をなめてかかって意外な接戦であったかも……、といった風に、どれかの条件が違えば、内容は違ったかもしれないのです。


……さて、今度は別の話を。
それではこの、フランスに 5点とられての敗戦、2002年の本番は大変だ、と大騒ぎするような出来事でしょうか? 特にフランスと真っ向勝負したトルシエの選択には批判の声もあるようです。フランス大会のように、守備的な戦い方をするべきではないかと。

さて昨年、日本とフランスが試合をして 2-2 だったのが、モロッコで行なわれたハッサン 2世杯でした。この大会の決勝戦はフランスと地元のモロッコの対戦でした。結果は フランス 5-1 モロッコ。モロッコはホームで 5点とられて負けたのです。
そのモロッコってどういうチーム? 実はワールドカップ・フランス大会の出場国です。グループリーグでは、ブラジルに敗れたものの、ノルウェーと引き分け、スコットランドには快勝の 1勝1敗1引き分けでした。ノルウェーがブラジルに勝つという波乱がなければ、決勝トーナメントに出場しているはずでした。日本と比較すると遥かにサッカー強国です。おそらく、世界レベルで言えば日本がフランスに 5点差で負けたことは、モロッコがフランスに 4点差に負けたののと大した違いはありません。むしろ日本の評価はモロッコまで高まったと考えてもいいかもしれません。今のフランスは、ほんとに強いのです。

そして、フランスに惨敗したからといって、我々の目標である決勝トーナメントに全く手が届かないかというと、そういうことはないのです。特に 2002年には、8つのグループリーグに、開催国である日本と韓国、前回優勝のフランスと、おそらくブラジル、アルゼンチン、オランダ、など強豪国 5チームがシードされます。つまり、日本がフランスを含む世界のトップ 6チームとグループリーグで対戦することはないのです。
日本が決勝トーナメントに出場するには、グループリーグで 2位以内に入らなければいけません。しかし、1位にならなければいけないというのではありません。日本がフランスレベルである必要はないのです。日本が互角の戦いをしなければいけないのは、モロッコ、ノルウェー、スコットランド、そういった国々です。

フランス大会では、アルゼンチン、クロアチアという強豪国と戦う必要から、守備的な戦い方を強いられました。その結果、同等、あるいはそれ以下の力だったジャマイカにも負けてしまいました。大会後、攻撃の練習が少なかったと選手達もコメントしています。
2002年のグループリーグでは、アルゼンチンレベルの強豪国が 2チームもグループリーグにいる可能性は低いです。せいぜい、1チーム。残りは対等の相手です。(残念ながら、対等以下という相手はよっぽどの幸運に恵まれない限りないでしょうけど……。)
僕は、2002年に向けては、現状の攻撃的真っ向勝負を続けるので良いと考えます。フランス大会の時とは、するべきことが違うのです。最低 1試合勝つこと、その為にするべきサッカーは、攻撃的なサッカーだと思うのです。


FIFA 世界ランキングがというものがあります。

こちらは、フランス大会直後で、日本が22位、モロッコは16位です。
こちらは 1999年の 8月でしょうか? 日本が45位、モロッコが19位です。

まあ、ご存知の方も多いでしょうが、このランキング、実はそれほど信頼できません。試合をすれば順位が上がるという計算方法になっているので。
それで確か最近、ランキングの決め方が変わっているはずですが、このところ、日本の順位は50位くらいのはずです。