地域密着
2001/05/28
これまで何度か、プロスポーツクラブと地域密着の話を書いてきました。
地域密着の内容として思いつくのは、まずは地域でのファンサービス。これは応援に対するお返しという意味もありますから当然ですね。具体的にはファン感謝デーなどですが、さすがにこれをやってないチームはないでしょう。まあ、無料で行なっているかどうかは知りませんが、本来なら無料が当たり前。有料でやっているとしたらその良識を疑います。 (例えばジュビロ磐田はサポーターズクラブ会員に関しては無料です。)
それから、地域住民へのなんらかの具体的な貢献も欲しいです。それは、イベントの開催であったり、他の地域イベント盛り上げの為の手助けでもいいです。(例えばジュビロ磐田の場合は、ファン感謝デーの日のサッカー以外の種目のスポーツイベントを行なったり、スタッフが出張しての健康に関する公演などをやっているようです。他のクラブでは、各種のスポーツ教室や、海岸の清掃というものもありました。)
最終的な理想を言えば、地域住民が利用できるスポーツ施設を作ることです。選手がトレーニングに利用するジムやプールを、空き時間に安価で開放するなどです。
地域密着とは、まずはこのような、応援に来てくれる地域住民とチームとのギブアンドテイクが基本です。
それ以外にも地域密着といえるものがあります。それは、地域の企業とのギブアンドテイク。スタジアムへの交通機関や、宿泊施設、飲食関係など。これらは意図しなくても自然にそうなるケースがほとんどなわけですが、地域経済への貢献と言えるものですから、これらも長年積み重なっていくと強いつながりになるでしょう。
さらにそれらとは別格といえる大きな影響がある地元企業があります。それは地域のマスメディアです。実際のところ、それは地域密着に最も重要な役割を果たしているかもしれません。やはり TV や新聞で取り上げられることで、チームや選手に対して親しみを持つというのは大きい要素です。地域密着を図りたいチームは、自分達から進んでマスメディアに取り上げてもらえるように働きかけなければいけません。
考えてみると、マスメディアが今ほど発達していなかった時代であったら、マスメディアと関係は今ほどは重要ではなかったかもしれません。なぜなら、地域住民が目にすることができたのはその地元チームだけだから。その競技が好きな人は必ずその地元チームの試合も見るわけで、自然に思い入れが強くなります。しかし現在では遠くの国内チームどころか、海外のチームの試合を見る事が出来る時代です。何もしなければ、レベルの高い他チームの試合ばかり見てしまうのが心情。そのうち、そちらのチームに親近感を持ってしまいます。 (例えば、ここ最近、シアトル・マリナーズに親近感を持ちはじめた人がいるはずです。)
このように、マスメディアがチームや選手を数多く取り上げることにより、そのチーム、選手の特徴などを宣伝することで、地域の人達にも、親近感が生まれます。むしろ、それをやっていかなければ、地域住民の支持を得るのは難しいともいえるわけです。
さて、実はここまでは前提。当たり前の話ですね。ここからは、マスコミが地元チームを取り上げることについての別の側面を考えてみたいと思います。
マスメディアが地元チームを取り上げる、これには、その地域において 「そのチーム以外のチームの排除する」 という側面も持っています。マスメディアが特別にそのチームや選手を取り上げるのが可能なのは 1チームか、せいぜい 2チーム程度でしょう。それ以上のチームを取り上げていては、地域密着の為の宣伝活動にならないからです。言い換えると、独占、排他。ちょっときな臭い言葉ではありますが、その代償として地域に利益還元をするなら独占であっても、あまり問題にはならないわけです。
ここで、地域密着のエリアにつて話をしておかなければなりません。地元マスメディアというものを考えると、もっとも現実的なのが都道府県単位です。現在の日本においては、都道府県単位のTV局が多くありますから、それらを利用するのが有効です。新聞社は都道府県か、東海とか中国といった地方単位でしょう。しかし、大抵の新聞は地域ページとして都道府県をいくつかに分割しているはず。また最近では、町のケーブルTVがありますから、それらの単位で考えると都道府県をいくつかに分割したくらいのエリアというのは、地域マスメディアとして機能すると言えるでしょう。
Jリーグによると、将来的にはJリーグチームは、各都道府県に 2チーム程度の100チームくらができるのが理想とのことです。この数字は地元マスメディア単位で考えても現実的な、そして意味がある数字だと思います。
ところが、日本全体というエリアを対象にその地域独占を企てたチームがあります。それが読売ジャイアンツ。これは全国ネットメディアを利用するという強力な手法を用い、実際にかなりの成功を収めました。
ところが、読売ジャイアンツは、その地域密着 = 独占 の代償となる地域還元を行っていません。昨年の30億ほど、その数年前は50億円程度あった黒字は、読売新聞の中部地区、九州地区の赤字の補填に使われています。地域の還元などというものは、これっぽっちもありません。
結局、読売ジャイアンツが行ったマスメディアを利用した宣伝活動がもらたしたのは、自分達のファンを増やしたと同時に、他チームの排除でした。読売の選手ばかりをTVで取り上げた結果は、他チームの選手を知らない野球ファン (= 実は野球ファンではなくただの巨人ファン) を増やしただけ。同じセントラルリーグの所属選手はまだましなほうです。パシフィックリーグの選手の知名度は、実力に対して不当なものでした。野茂やイチローが日本にいた間、我々はそのプレーを何度見ることが出来たでしょうか。
地域貢献しているわけでもなく、結果的に最高レベルの選手のプレーを見せないという事態を作り出してしまったこと。これは野球というスポーツにとって不幸なことでした。このツケは必ず回ってくるでしょう。
ここまで書くと、Jリーグは良い、といった感じですが、多少危惧することがあります。
最近ジュビロ磐田は、東京と大阪から磐田スタジアムへの観戦バスツアーを行なっているのです。また、昨年は東京でファン感謝デーを行ないました。(磐田でも行なってはいますが。)
Jリーグのオフィシャルページには、はっきりとこう書いてあります。
『 「そんなに多くのプロクラブがあって大丈夫なの」と不安に思う人も多いだろう。しかし心配はご無用。Jリーグは、全加盟クラブで 「ひとつのパイ」 を分け合うという構造ではないからだ。 Jリーグの運営の基盤になるのはホームタウンである。テレビ放映権が中心のリーグではなく、ホームゲームでの収入が中心だから、それぞれのクラブには自分自身の 「パイ」 があるということになる。』
ジュビロ磐田は、関東や関西から多くのサポーターが観に来てくれるJリーグ屈指の人気チームになりました。それ自体は一向に構いませんが、クラブ自身がそれら遠隔地でサポーター獲得のための活動をすることは、明らかに隣の 「パイ」 へ手を出していることになります。これはJリーグの理念に反することだと思います。
これらのジュビロ磐田の活動には反対します。これは読売ジャイアンツがやったのと同じ事です。自分たちの利益だけを考えた行動。それはJリーグのチームは絶対にやってはいけないことなのです。
(追記 2001/06/06)
最近になって始まったバレーボールの地域密着の活動
地域密着の陸上クラブ
コラム、フットボールの真実