ブラックバス問題
2001/04/15
「ブラックバスを釣りにいこう〜♪」 と歌ったのは、少年ナイフでした。
この歌を聴いたのは随分前ですが、当時、国内よりも海外で売れている少年ナイフのことですから、外国での情景をイメージしていました。しかし、もしかしたらそれは、日本国内の情景だったのかもしれません。
『ブラックバスがメダカを食う (秋月岩魚、宝島社)』 という本を読みました。
ブラックバス問題というのをご存知でしょうか? それは、人気の趣味、バス・フィッシングに対する批判として始まりました。
そもそも、ブラックバスは国内に存在しない魚でした。それが国内に持ち込まれ、バス・フィッシングの広まりと共に、密放流され全国に広がっていきました。そして、ブラックバスや、その餌さとして持ち込まれたブルーギルなどが、それまでに存在していた食物連鎖の中に入り込み、生態系を変えてしまったのです。
ここでは、まずはブラックバス問題の紹介から始めましょう。ただし、一方の意見のみを取り上げるのはよくありませんから、両方の意見を載せたいと思います。
まずは 『ブラックバスがメダカを食う (秋月岩魚、宝島社)』 側の意見。
そしてこちらが、釣り人側の意見です。
財団法人 日本釣振興会 公式サイト 外来魚について・通達と要望書
TIMCO(釣具メーカー) ブラックバス害魚論に対して
第三者的意見も載せておきましょう。
両者の意見を意見をまとめてみます。
バスフィッシング反対派の意見は、
・ブラックバスやブルーギルが従来の生態系を破壊しているのは明らか。
・元々日本に存在しないはずの魚は駆除するべき。
・違法な密放流をして、私腹を肥やした連中がいる。
・キャッチ&リリースは自然にやさしくない。
といったところ。
肯定派の意見は、
・生態系を壊したのではなく、変えただけ。そういった例は自然界に他の例も存在する。
・すでに変化した生態系を今更変えることはない。
・ゾーニングによって管理し、これ以上環境に影響を与えないようにするだけで十分である。
とりあえず、主な主張はこんなところでしょうか。
さて、では僕の意見を述べましょう。
ブラックバスが日本の生態系を変えたのは明らかでしょう。しかし、肯定派の言うように、既に日本の内水系の魚が、国内外の魚の放流などで埋め尽くされているのも明らかです。そうすると、どうしてブラックバスだけが?という主張はわからないではありません。
こういった話は、魚だけではありません。例えばセイタカアワダチ草やセイヨウタンポポ (セイヨウタンポポ VS 日本のタンポポ)、それらも日本古来の物ではありません。だからといって、それらを全て駆除するというのは現実的ではありません。
これらの話と同じで、100%駆除するべきだとは言い切れないと思うのです。もちろん、状況によっては違います。ブラックバスなどが生態系を変えてしまうのはしかたないにしても、もし、生態系を単純化して弱いものにしているのなら、駆除するしかありません。生態系の単純化は、ちょっとしたきっかけで、生態系全体の生物が絶滅する危険性があるからです。そうではなく、ある程度の安定が見込まれるなら駆除するまでもないでしょう。この部分はまだ現在では結論を出せない部分です。
ただし、まだ分からない部分であるからこそ 「このままでいいじゃないか」 ではいけません。現時点での密放流は厳しく取り締まり、キャッチ&リリースもやめるべきです。その結果、ブラックバスが絶滅するなら、それはそれで仕方のないことです。
それから、バス駆除派に非常に共感できる部分があります。どんなに肯定派が反論したところで、密放流があったのは明らかでしょう。それによって私腹を肥やそうとした人がいるのは間違いありません。もちろん、最初は環境破壊なんて気がつかなかったでしょうが、その後にはわかってやっていただろうし、それを見て見ぬふりをしてこの問題を長い間無視した一般の釣り人にも問題があると思います。それらの責任を償うことなしに、ゾーンニングなどの自分達の都合の良い方向に逃げるのは道義的に納得できません。この問題について、釣り人達自身がこれらの過去についてなんらかの結論を出すことなしには、釣り人側の主張に100%賛同する気にはなれません。
最後にもう一点。キャッチ&リリースについて。
こういう話がありました。自然に接する機会の少ない子供が、バスフィッシングをしてキャッチ&リリースをして誇らしげに 「自然にやさしい」 と胸を張った、と……。
しかし、その背景には上記のような違法な密放流があるのです。そして、そもそもキャッチ&リリースは、自然にやさしいものではありません。単に、また次回大きくなった魚を釣る為に放すだけ。実際、リリースされる魚の何割かは傷ついて死んでしまいます。「エビキャチャー」 でも書きましたが、キャッチ&リリースの方が、よっぽど生き物の命を弄んでいると思います。
「釣った魚は食べる」 それこそが、その命に対する正当な行為だと思うのです。