後に 「バレーボールの話(再考) 」を書きました。


バレーボールの話

2000/07/02

バレーボール女子オリンピック最終予選が終わりました。
興行としては大成功でした。TVではプロ野球巨人戦を裏番組としながらも高視聴率を記録。7日間の入場料収入として 2億円の収入があるそうです。
しかし、参加 8チーム中 4位に入らなければならなかったリーグ戦で 6位に終わり、東京大会から続いていたオリンピックの連続出場 (モスクワ大会を除く) を逃してしまいました。


失意に暮れるバレーボールファンには酷な話ですが、やはり、バレーボールのやり方は間違っている、そう思います。問題と思われることがふたつほど思い当たります。

ひとつめ。マスコミの使い方。
TV中継での試合の合間に、本当にタレントや選手の家族のインタビューが必要なのでしょうか?オープニングにアイドルの歌が必要なのでしょうか?
本当にそこでするべきなのは、TVならではの映像を利用した、レシーブのシステムや、様々なクイック、変化するサーブの打ち方、そういった解説ではないでしょうか?

既に「野球の未来」の中で、「フジテレビに魂を売ってしまったバレーボールは支持しない」云々という話を書きました。(実際はフジテレビだけじゃなかったみたいですね。まあ同じことですが。)
もちろん、マスコミとの協力関係は必要です。しかし、協力するとは言っても、その試合の視聴率を上げることだけを考えているマスコミを上手くコントロールしなければなりません。本当に必要なのは、その試合の視聴率を上げることではなく、多くの人に競技の魅力を知ってもらい、その競技の活動を支持してもらい、競技人口を増やすような効果を狙うことなのです。

ふたつめ。甘い環境。
バレーボールの 3大大会とは、オリンピック、世界選手権、ワールドカップで、それぞれ 4年に一回。そのうち、ワールドカップは日本永久開催が決まっています。その予選は免除。そして、今回のように五輪予選なども日本で行なわれることが多いです。
日本で行われる試合では、圧倒的な応援の中で試合が行なわれます。有利なのは応援だけではありません。日本はほぼ毎日同じ時間、TV放送が行われる夜や夕方に試合を行います。他の参加国は、遠くから遠征してきている上に、午前に試合をしたり、夜に試合をしたり、極めて不利な状況で大会を戦っています。
また、今回の最終予選などでは、開催国特権として 3試合分の対戦相手の日程を決めることができたそうです。最終戦に韓国との対戦を指名したそうですが、おそらく初戦などに格下のチームと対戦するようにもしていたでしょう。これはきっと、TV局の意向に従っているでしょうね。序盤に連敗したら盛り上がりに欠けますから。

(さらに付け加えると、一部では日本贔屓のジャッジも囁かれているみたいです。)

日本で大会を開催することで、日本が弱くなるとは思いません。しかし、あの満員の大歓声の試合を見るたびに思うのです。「ああ、こんな厳しい試合をするたびに、相手チームは成長するだろうな。」
他の競技で聞いた話ですが、(ほんとはあってはならないことなのですが) 外国での大会に参加すると、グランドに釘がまかれていたり、練習へ送迎バスがなかなかこなかったり、練習する体育館の電気がつかなかったり、そんなトラブルが実際にあるのだそうです。温室育ちの選手達とそういった厳しい環境をたくさん経験している選手と、どちらが土壇場で平常心を保てるでしょうか?


実際のところ、日本のバレーボールの国際的な競争力は、いまやほとんど絶望的だと思います。まもなく男子の五輪最終予選があるはずですが、男子の出場もおそらく無理でしょう。
確かに、日本バレーボールにとっての最大の不幸は、この競技があまりに身体能力に大きく依存する競技だからです。他国が技術を持っていなかった時代は、日本の技術力が他国の身体能力を上回っていました。しかし、他国が技術力を伸ばすように、日本が身体能力を伸ばすわけにはいきませんでした。その結果、力が逆転してしまったというのは間違いありません。

とはいいながらも、身体能力で大差ない韓国に勝てなくなったという事実があります。それは技術力や精神力 (これは大事な場所でミスしないということだから実際は技術力の範疇ですが) で劣っているということでしょう。身体能力のせいにはできません。良く言われる「日本はレシーブが上手い」というのも、もはやそうではないと指摘する専門家も多くいます。
やはり、バレーボールはどこかで間違ったのです。


では、バレーボールが間違った理由を考えてみます。
その根元にあるのは、日本のプロ野球を手本にしていることではないかと思うのです。Vリーグを作る時にも、地域密着型のスタイルに踏み切らなかったのもそれを象徴しています。
プロ野球の仕組みは大変上手く行っています。しかしそれは、選手育成を学校教育やアマチュアに任せ、マスコミを利用して人気を高めるという方法です。それは外国のチームと競争する必要がないシステム。世界で戦うのが目的ならば、人気第一の甘えた環境に身を置かず、自分達で選手育成を行う努力をするべきです。
VリーグはJリーグを見本にするべきでした。それは既存の組織にとっては痛みを伴う改革だったかもしれませんが。


最後に少し。これだけ批判をしておいて、言い訳するみたいになりますが、過去においては女子バレーボールは僕にとっての特別な御贔屓スポーツでした。
全日本の試合を代々木体育館に見に行ったこともありますし、日本リーグも結構TVで見ました。全日本を応援しつつ、アンチ日立で、特に益子直美と斉藤真由美がいた頃のイトーヨーカドーを応援してましたが、松下、中西コンビの率いるユニチカが、日立を倒して優勝した際にも判官贔屓で応援してました。日立帝国が崩壊していったのは、いいことだと思ったんですが……。
春高バレーもそこそこ見てました。その益子直美は彼女が高校生の時に見てファンになったし。(あの頃はむちゃくちゃ可憐でした。)
そうそう、早稲田大学に行った友達が、堀江陽子 (ヨーコ・ゼッターランド) と話をしたと言って自慢の電話をかけてきたこともありました。「(堀江洋子を知ってる人があまりいなくて、) お前くらいしか自慢できる相手がいない」と。

そういう意味で、バレーボールの凋落を見るのは、悲しいような、でもJリーグに比べておかしなことをやっているのだからそうあるべきだ、など、とても複雑な思いなのです……。


(追記 2000/09/12)

バレーボールについて書いてあるサイト。

日本バレーボールの衰退 (玉木正之氏のコラム)

日本バレーは、これでよいのか