続・パクリの話

2000/10/29

パクリの話」を書いた直後、偶然、別のパクリに関する話題を見つけました。それはこんな内容。『巨人の応援団がロッテの応援をパクった』 。ただし、実はこの一言で済むような単純な話ではありませんでした。
まずはこの話について、簡単に説明した方がいいでしょう。

昨年辺り、巨人の応援でタオルを回すのが話題になったのを覚えている人も多いかと思います。アメリカのプロスポーツや、サッカーの応援でよく見かけられるその応援を、日本のプロ野球で最初に始めたのは千葉ロッテ・マリーンズでした。マリーンズの応援は、サッカーの “サポーター” というコンセプトに影響を強く受けた、プロ野球の中では異質の応援でした。
プロ野球ファンの中でも、そのマリーンズの応援というのは評判が良かったのです。そして、昨シーズン開幕直後から、応援スタイルのマンネリ化に行き詰まっていた巨人応援団のメンバーが「マリーンズの応援を勉強したい」と見学に行ったそうなのです。その後、巨人の応援にマリーンズの応援スタイルの一部が取り入れられました。
自分たちの応援が “あの” 巨人にの取り入れたこと自体に反発している人もいますが、この時点では両者間には合意があったと言われています。しかし以後次々と、タオル回し以外のマリーンズにとって極めて思い入れの強いいくつかの応援パターン (あのマリーンズ18連敗の時に行われた応援など) も、巨人の応援に取り入れられていきました。そして、タオル回しをマスコミが取り上げた際、巨人の応援団が 「自分たちが思いついた」 というようなこと言い始めたのです。(そもそもこの時点で、マリーンズやJリーグで既に行われているタオル回しが、あたかも日本でのオリジナルであるかのように伝えるスポーツマスコミ自体がどうかしてますが。) 事態はだんだん深刻になってきます。ついには巨人のオフィシャルホームページまでにそういう記述が載り、その結果、マリーンズ系の掲示板に 「巨人の応援の真似をするな」 など書き込む巨人ファンが現れる始末。

(他にも、タオル回しをした広島の応援団に、巨人の応援団が「真似するな!」怒鳴り込んだなどの話があります。)


これに対してマリーンズの応援団 (彼らは自分たちをサポーターと呼んでいる?) が「それはあんまりじゃないか」と言ったというのが話の大筋。マリーンズ側の主張は、
「タオル回しをするのは構わないが、自分たちが始めたと言うのはやめてくれ」
「自分たちの強い思い入れのある一部の応援に関しては、そのままそっくり流用するのは止めて欲しい」
です。

これらについて詳しくはこちらを。

巨人の応援を考える (良識ある巨人ファンが問題提起)
(追記 2000/11/05 このサイトが閉鎖されたので、このテーマがなくなっていました。
Giants World 跡地 内の 天声G語 内に多少応援問題の話が残っています。)

チャンステーマパクリを許せるか?

応援論争について

チャンステーマについて (巨人応援団がパクったとされるチャンステーマについて)

正確にはわかりませんが、最終的にはこれらの主張は認められた模様で、一部のスポーツ紙は訂正記事を出し、ある特定の応援に関しては巨人の応援団は使用しなくなったようです。
逆に、皮肉なことにマリーンズではタオル回しは行われなくなったようです。タオル回しを要求する観客がおり 「応援は自己満足ではない」 というポリシーから止めたようです。(この辺り、耳がいたいサッカーのサポーターも多いはず。)


ということで、この事件自体は解決しています。しかし、この件を通じて 『パクリ』 に関しては改めて考えさせられました。

ある、良識ある巨人ファンはこう主張していました。
「真似をすること自体は構わない。応援はお互い真似をし合って成り立っている。例えば各選手毎の応援歌というのは広島カープの応援団が始めた応援だったが、今では全てのチームがやっている。しかし、全くそのまま流用するのはいかがなものか?特に、相手にとって思い入れのあるものをそのまま流用するのはどうか?」


パクリの話」において引用した、佐野元春の言葉は 『 自分自身にしかできない表現の探求の為に真似をするのはOK』 でした。しかし、どうもこれだけでは不十分な気がします。
人のやり方を真似るなら、そこには “敬意” がなければいけないのではないでしょうか?“敬意” があれば、相手がそれを知ったら嫌がるようなパクリはしないはず。また自然と、丸っきりのアレンジなしの流用はなくなるはずです。逆に言うと、まるっきりの流用は “敬意” がないとみなされても仕方がないでしょう。

とすると、佐野元春の 「Young Bloods」 は、どんな意図があったとしても、やはり問題ではないでしょうか。